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初めてのクエスト

「このクエストをやってみませんか?」


 受け付けのお姉さんが紹介するそのクエストとは、


「薬草の採取?」

「え~」


 俺は疑問符をつけ、アティはげんなりした。


 随分と溜めたわりに初心者が受けるようなクエストだ。


 だが、それだけではないだろう。


 なにかしら裏がある。


 そうでなければA級となった俺達に紹介するはずがない。


 それを裏付けるように、お姉さんはニコリと笑った。


「採取してほしい薬草は特薬草といいます。現在、この薬草なら抽出される養分で、エリクサーが出来るのではないかと、そう錬金術師の間では、実しやかに囁かれている曰く付きの薬草なのです」


「エ、エリッ!」


 俺はアティの口を塞いだ。


 今凄いことを言ったぞこのお姉さん。


 エリクサー。


 その薬は死を直前にした者すらも全快させると謳われた伝説の霊薬。


 製法はロストテクノロジーであり、既に失われた。


 この特薬草とやらでエリクサーが作れるのであれば、世界中の人間がこれを求めるだろう。


 こんな所で大声を上げていいワードではない。


 俺はアティの口をチャックすると、お姉さんに視線を移す。


「・・・マジなのか?」


「マジです。尤も、可能性の段階で、研究中らしいですが」


「それでも凄いな」


 これが完成すれば、多くの命が救える。


「確かにこれはAランクの冒険者が出張る依頼だな」


 俺は納得して頷いたが、お姉さんは首を横に振る。


 なんだ?


「それだけではありません。その薬草の群生地帯がカルルタート山なんです」


 なん、だと?


 俺は絶句した。


「カ、カルルタート山だと?」


 カルルタート山はここ王都から一日歩いた先にある山だ。


 この山がヤバい理由は単純で、生息しているモンスターがどいつもこいつも強いってこと。

 その癖複雑な地形で迷いやすい。


 この山は建物や洞窟ではないのでダンジョンとは呼ばれないが、俺からしたら非常に攻略難易度が高いダンジョンみたいなものだ。

 そこで生えている特薬草か。


「実は先日内容が討伐ではなく採取だったので、Bランク冒険者がこの依頼を受けたところ、命からがら逃げ帰って来まして、やはりA級、或いは更に上のランクに頼もうかと考えていた依頼です」


 ゴクリと、アティが唾を飲んだ。


 こいつは厳しい。

 間違っても初心者であるアティが受けるクエストじゃない。


「どうです? この依頼、受けますか?」


 俺は首を横に振る。


「悪いけど、これは辞退して」

「受けるわ!」


 アティが俺の言葉を遮って手を上げた。


「アティ!」


「このクエストを受けましょうレオダス」


「い、いや、しかしな」


「レオダスの最初の依頼に相応しいわ。このクエストを成功させればあなたの名声はぐっと高まるわよ」


「そ、それはそうだが」


 アティにこのクエストは荷が重すぎる。


 俺だって決して油断できる難易度じゃない。


「受けます。この依頼は私達が受けます!」


 お姉さんにそう告げると、彼女はチラリと俺に視線を移した。


 俺は一度目を瞑る。


「・・・その依頼を受ける」


 俺は意を決した。


 アティは、隣で喜んでいるが、この子、この依頼の恐ろしさが解っているのか?


 だが、この依頼を受け、採取できるならば、多くの命が救える。


 俺は勇者パーティーに所属し、多くの魔物を倒してきた。


 それで救われた命も多くあるだろう。


 だが、この霊薬が完成すれば、同じように、或いはもっと多くの命を救える。


 馬鹿か俺は。


 勇者の仲間になったのは、世界を救いたいからじゃないか。


 だが、勇者パーティーから追放されたって、救うことは出来る。


 こんな簡単なことが解っていなかったなんて。


「やろう! アティ」

「うん!」


 こうして、俺達の最初のクエストは決定した。

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