第003回「異世界勇者ガチャがハズレしか来ない問題」の感想!
第三回は中々、難解だったよ……。
「ねえ、スライム?」
「何でしょうかサルシャ姫様」
「ねえ、盗賊」
「わあっと!ばれてたか姫さん!」
「そこの僧侶も」
「隠れてたんですけどね、サルシャ姫様」
「そしてあなたは新顔ね戦士」
「お初お目にかかりますサルシャ姫様」
「で、勇者と、相変わらずじゃない」
「おいおいサルシャ姫様、感想にまで俺らを呼び出す気かい?」
「うん、これで全員そろったわね」
「ちょっと待って!わたし!魔法使いはぶられてる!」
「あ、忘れてたわ、
で、と本題だけれど」
作者:このさく
『異世界勇者ガチャがハズレしか来ない問題』
https://ncode.syosetu.com/n1155eu/
「あんたたち、勇者のハズレ転生だったらどうする?
神様にめっちゃガチャられてたらどうするの?」
「まっ俺たちは大魔王を倒した勇者達だし、
戦士は王国一の腕前だから、
ハズレ転生なんてことあるわけないけどな」
「私は運命をガチャられる、
ことの辛さ、何となくわかるのよ」
「奇遇ね、サルシャ姫、
わたし魔法使いも同じみたいよ」
「ちょっと姫様! ボーソの話はどうしたんですか?
ぷるぷる」
「ちょっとね、
でとボーソの感想ね、ボーソの感想」
「駄目だぜ姫さん、作品タイトルで言わないと、
ボーソっていうだけじゃ、
読者は作品の中の登場人物ってわからない」
「そうね、盗賊、そう、
ボーソは今回の感想作品に出てくる神様よ、
でもなぜだか、彼のする転生ガチャは、
ハズレだらけなの」
「ハズレでも異世界転生者は、
異世界転生者だろ?
だったら勇者にでもなるだろ?」
「それがね勇者、ことごとく勇者しないのよ、
この作品、ざっと言うと勇者がいないような感じ」
「マッチョなわたし、戦士だらけだと?」
「戦士も出てきた感は無かったわ、
あまりにも唐突に最終決戦に突入して、
なぜか人死にが出たのかよく分からない状態で、
問題が解決してしまったようなの」
「そんなわけないだろ姫さん、
異世界転生させるような異世界の神が、
いる世界だったら、
当然、人死にが出るような戦いで、
物語に決着がつくはずだ」
「ううん盗賊、そんな感じではなかったわ、
はっきり言って、
誰もが持つ運命が作用してないっていうか、
舞台の中で独唱を続けてるようなというか、
なんだか冒険したって感じは無かったもの」
「おかしいな?
もっかい読み直したほうがいいんじゃないか?
サルシャ姫」
「でも勇者、作品の狙いとしては、
あえてテンプレを外すのがメインらしくって、
テンプレから外れているといえば外れてるから、
読み直しても同じ感想になるかもしれないわ」
「んーあたし魔法使い、もっかい一から、
流し読みしてみるわね!」
「わたしは僧侶、頑張ってくださいね魔法使いさん!」
「まかせとけってー!」
「読んだわ僧侶」
「どうでしたか?」
「この話、一話単品で感想をつけるのが、
一番手っ取り早い、ってことが分かったわ」
「それってえーと?」
「つまり?」
「要するに全体から俯瞰して感想をつけると、
もやもやするってこと」
魔法使いは自慢気に黒板に書きはじめる。
「第一全体を俯瞰して総括してるのは、
ボーソの役割だし、
ボーソっていう神様に感情移入が、
出来るわけがないのだから」
「それって一体?」
僧侶は混乱気味に魔法使いに近づき、
やがて周りを見晴らして言い直した。
「もしかしてあまり信仰されてない神様で、
作者っていう土着神と同等格ってことですか?」
「さすが僧侶ね、
半ば当たってるわ、
ようするにボーソは私たちの知ってる
神様の機能を果たさない存在
非常に信仰パワーが集まってなくて、
土着神に負けてしまうくらいの格なのよ」
「魔法使い、わたくし、わかりませんわ」
「サルシャ姫も深く考え過ぎね、
だってこの作品には作者視点も、
ちらほら登場してるのだもの、
意図的に混乱と混沌を作り出してるってわけ」
「魔法使いの考えすぎじゃないか?」
勇者はマグカップになみなみ入ったミルクを飲みながら、
皆との会話を続けた。
「神様なんだろ? ボーソって?
作者とは違うだろ? 盗賊的にはどうなんだよ?」
「そうだな、盗みたくなるようなものは、
これといって無い世界だったかもしれない、
あえて言うと価値感が分かりづらい世界だな」
「価値観が分かりづらい!
それを訊いてはっとしましたわ!
キャラクターたちが共通した価値観を持っていませんの!」
「共通した価値観ってなんだ? 魔法使い?」
「勇者、なんで私に振るのかな?
まあ、いいわ、
ようするにこの世界自体が脅威に!
といっても実際にボーソが確認してるのは、
曖昧な次元干渉の波のようなもので、
現実的な危機ってのが共有できてないのよ」
「でもモンスターらしきは出てきたし、
魔族だって登場したじゃないか?
俺のような勇者の出番、
それだけでみんな転生や転移する意味があるんじゃ?」
「それはボーソがなんとなくそう思ったから、
あるものであって、実際には、
転生者たちは特になにも望んでないのよ、
異世界に対して価値らしい価値も見出してないし
ねっサルシャ姫?」
「魔法使い、わたくし分からないけれど、
ともかくこの作品を読むと、
みんなと話して共有したくなるのは確かですわ、
一人だとなぜか意味がばらけてしまって、
分からなくなってしまいますの」
「じゃあ総括だな! 終わっちゃえや!」
「そうね! みんな揃ってるし」
「わたし僧侶、あなた魔法使い、そして」
「戦士だ! 王国の価値は不変だぞ!」
「ちょっと暑苦しいな、俺は盗賊だが」
「はーいみなさん、ぷるぷる、
スライムですよ!
異世界勇者ガチャがハズレしか来ない問題!
総括すると!サルシャ姫!」
「ボーソのアイデンティティー、
存在意義が揺らいでいる様を、
描いた作品でしょうー」
「おお!」
「おお!」
「おお!」
「おお!」
「おお!」
感想のはずだった、どうしてこうなった?
ともかく勝手なことを自キャラに喋らせてしまって、
申し訳ないが、
とにかく意味を確認するために、
人と共有したくなる作品でしたってのは確かで、
僕は、そこに不変の価値観を見出しました。
ぜひ、この作品、共有してみてください、
人それぞれに悩めるはずですから。
この感想作品は、
皆と共有して、
意味を話し合いたくなる、
良作でしたよー!