第032回『雑多』の感想!
今回は詩です。
詩ってなかなか、
良いものですね。
「詩ですわ」
「詩ですね」
作者:莉猫。
雑多
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「スライム、
今回は、
いろんな詩があるけれど、
どの詩が一番印象に残った?」
「えっ?
どれでしょうね?
では、地球記念日で!」
「わりに適当に選んだ感じね、
でもそんな感じでも良いとも、
思うの」
きっかけはどうあれ、
詩に触れる時間や機会って、
結構、限られてて、
日常、詩を作ることも少ないから、
ふと、詩ってどんなものだったのか?
忘れてしまうことが多いわ。
「地球記念日は、
過ぎ去った地球の年月に、
想いを馳せながらも、
ちょっとくだけた最後に、
ほんのり共感できる、
面白い詩ね」
「ですね、
ではサルシャ姫は、
どれが印象に残りましたか?」
「うーん、
『わたしが一番綺麗に見えるとき』
かしらね?
何気に」
「スライムには分からない感覚ですけど、
楽しかったんですか?」
スライムはいつも潤っているから、
なかなかに、体験することも少ないでしょうけど。
「スライムも、お風呂には入りますけどね、ぷるぷる」
人間なら、
感覚的に分かることだもの、
とはいえ魔族的には、
共感してもいいものかしらね?
「種族が違ったら、
感じることも考えることも、
詩も何もかもがらりと変わるかしら?」
「どうでしょう?
サルシャ姫が人間っぽいのは、
分かりますが」
「そう?」
「でなきゃ人間の詩は分かりませんよ、
ふつう」
詩も歌も、
人間に向けて作られたわけで無いにせよ、
自然に傾向は似てくる。
恋の詩、自然の詩、四季の詩、
文明の詩、思い出の詩、喪失の詩、
どの詩も人間独特の想いがにじみ出てくるとしたら、
魔族はどのように受け取るのが良いの?
「魔王なら姫様ならという、
役割から離れて、
人間のように振る舞えば良いのでは?」
「人間のようにね、
とても難しいことだわ」
魔族独特の文化形態を伴ったものなら、
当然、理解しがたいことにも出くわす、
それを逐一、噛み砕くために、
用意された情報を整理して、
どれをも評することが出来るように、
理解を示せるように尽くすけれども、
人間に近づくのは容易ではないわ。
「小説なら割と入り込めるのに、
詩とくると身構えてしまうのは何故かしら?」
「より日常がにじみ出てくるから?
ですかね?」
「そうね、
生な感じがするわ、
得体の知れない生き物を、
抱きかかえてる感じね」
「ぷるぷる」
「ちょうどスライムを、
抱きかかえてると、
調子も伝わりやすいかしら?」
つかみどころが無くて、
割とドロリとすぐ形を変える、
色んな色を持っているけれど、
ことごとく青く、澄んでいる。
そしてちょっと酸っぱいニオイがする。
「自分で言うのも何ですけど、
そんなに掴みどころが無いものですか?」
「そうね、
詩とスライムは似てるわ、
これは魔族的な共感で、
とても魔族詩的だと思うのだけど、
どうかしら?」
「どうなんでしょう?」
魔族に詩の文化を求めるよりも、
死の文化を求める方が気楽なのは分かりやすい、
詩にも破滅的な言葉があると反応を示すし、
皆、割に破壊に餓えているから、
自然、自然と凶暴になるわけなのだけど。
「詩って鎮静化するものが多いのよね、
静けさとか儚さとか、甘酸っぱさ?
そういうものに魅力を見出せる、
魔族は結構に稀だと思うわ」
「稀なスライムですよ!ぷるぷる!」
日常的に凶暴な連中を相手どって、
物事を考えていると、こうして、
詩に触れあっていること自体、
稀なことで、繊細な描写に、
はっとすることが多いのだけど。
でも割と、馴染みやすい感覚はあって。
「特に、悪意や憎悪、
そういった感覚は、
割と掴みやすくて、
キャッチーなのが魅力ね」
「そうですか?
日常の風景とかも魅力では?」
「でも、そんな日常で、
抱えることがある人間の苦悩って、
結構、闇が深いと想えるのよね」
綺麗なものを見ててキレイと、
言えるのは素直さからだとしても。
どこか曇ってしまった感情から、
吐き出される詩は、心に迫るものがあって、
読んでいて満たされる部分があるの。
「スライムには分からないかもしれないけどね」
「それは差別なのでは?」
感想は多々湧き出してきますが、
とにかく誰かの日常でふつふつと湧き出してくる、
詩に触れるのは良い機会でした。
文字数は、 53,093文字 ですが、
想いを馳せる時間が結構あって、
想像以上の体験だったのは確かです。
時間、あっという間。
共感の仕方ですが、
魔族なら、スライムで例えると、
どんな出来事も、うまく躱せると思うのです。




