第031回『レベル1→レベル100-即死魔道士成長物語-』の感想!
即死魔法と聴くと、
ゲームなんかで、
全滅させられた思い出がよみがえります。
「今回の作品は即死魔道士のお話!」
「即死? チートか何かですか?」
「スライム、どうやらそう簡単でも無いようね、さて」
作者:コサキサク
レベル1→レベル100-即死魔道士成長物語-
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即死魔法と効いて何を想像するだろうか?
サルシャ姫はただ、即死する瞬間がどういった、
恐怖かを思案して、長考、答えが出そうにはない。
即死魔法と効いて、小動物は恐怖するだろうか?
スライムは、弱小の魔物、生態系の底辺、
即死魔法を食らえばあっという間に死んでしまうだろう。
魔王城の一室、読書感想会を開くために設けられた部屋、
辺りは静かな時間に包まれ、誰もが息を殺して、
ただ、熱心に書物をつま開く時間のみが過ぎていく、
今回はあまりにも多くのものを殺す運命を背負った、
その主人公キルルに想いを寄せて、
ひたすら寡黙にサルシャ姫とスライムは、
本を開く時の紙の擦れる音のみ残して、
その世界観に没入している。
「殺し、殺し、殺し」
即死魔法のイメージを口走るサルシャ姫に、
スライムは恐れを抱いた、何より、
もともと、何をし出すか分からない性格を持ち合わせた、
姫様である、即死魔法に目覚めてしまって、
その矛先をスライムに向けないとも限らない、
長年の付き合いではあるが、情緒面で、
スライムはそれほどサルシャ姫を信頼していないのだ。
不意に身の安全を確かなものにしたい衝動に駆られ、
サルシャ姫から死角となる本棚のほうに身を隠した。
(・・・・・・危険だ、即死魔法だなんて)
今、おびえるスライムは、自らの溶解液を酸っぱいと、
感じるまでにこみ上げてくるのを必至に抑えながら、
今現在の状況に至ったことを記憶を洗い出している。
まず作品の内容はいかだったろうか?
幼少のころから無能の烙印を押されて育った主人公キルルは、
周りの子から日々いじめられながら育つが、両親は決して、
キルルを見捨てたりはしない、その結果か、
キルルの性格は歪みを持つよりも将来の希望を残して、
どこか期待出来る若者に成長を遂げる、
そこに影のようなものはあまり見当たらなかった、はずだが、
キルルに告げられた魔道士の適正検査の結果が即死魔法LV100の適正あり、
他の魔法の適正は無しというものであったことから、
運命の歯車は音を立てて回り始める。
彼が望む、望まざるにせよ国立魔道士養成学校から、
スカウトを受け、特殊魔法学級に通う事になるからだ。
国立魔道士養成学校は、適正のあるものに、
全てを与える、キルルは田舎で質素な暮らしを送っていた所から、
一気に、都にある学校で寮生活を送るようになる。
当然、始まった一人暮らしのうちに、
生活環境の変化と、彼が学ぶ即死魔法によって、
性格に影響が表れ始める。
まず付き合う友達、スーという、
いじめられっこに出会ったことで、
キルルは自分がもともといじめられていたことを、
そしてスーも無能として同じくいじめられてることを、
思い出して、いじめっこに対して、
即死魔法の矛先を向けることを決める。
そして恐るべきは校長の語る言葉である、
かいつまむと、即死魔道士はその特性上、
人を殺しても構わないという形に、
なっていて、即死魔道士の魔法が人相手に向けられることが、
前提として三年間修行に励むことになるのである!
(まさか、とはおもうけど、まさかだよなあ)
スライムは本に影響を受けやすい姫様のことだから、
即死魔法を勉強し始めたりしないか心配している。
なにせ万物の生き死にに関与することに、
どこか密かな喜びを覚え始める主人公キルルが作品内で描かれてることで、
倫理観が狂ってしまわないか大変、心配なのである。
もちろん、特殊魔法学級の、面々は、
どれも不思議な魔法を極める運命にあって、
その様はどこかコミカルに描かれているが、
キルルだけはLV100になった時、
完全な即死魔法で人殺しを行う運命にあるのは見えている。
そしてLV100になることが、
魔法学校では推奨されているわけであり、
何かを殺すことや誰かを殺すことが、魔道士には許されている、
という事実には、何度読み返しても震撼する部分である。
(だけど、救いもあるか)
即死魔道士が生まれる時、
蘇生魔道士もあり、という具合に、
運命づけられてる作品であるから、
今後の展開で、蘇生魔法が即死魔法に、
打ち勝ってくれれば、
死ぬものの数は限られるし、
なにより即死魔法はその上限設定があるようなのだ、
むやみやたらに大量虐殺が出来るようではないので、
キルルの倫理観は狂わないよう一定安心できるものではある。
(でもサルシャ姫様は)
そもそも魔王の娘である存在が、
魔力が無いわけがなく、その魔法の威力は、
スライムも身を持って知っている。
ようは際限が無い魔法の暴力というものが、
存在出来てしまう世界観を生きてきたものにしてみれば、
キルルの即死魔法で死ぬ人数よりも、
多くを一瞬で奪える魔法がいくらでもあることが明らかなのだ。
(まさかなあ)
今さら即死魔法の魅力に見せられるなんてことは、
無いと、本棚の影から伺うが、サルシャ姫は相変わらず、
即死魔法に魅入られているような様子で、
「スライム」
「ひっ!」
スライムがやり過ごそうとしていることがバレたか?
何故、一目散に、この読書感想会の舞台から退場して、
しまわなかったのだろうか?
後悔は役立たずである、このまま、姫の餌食になるのか?
「そんなところにいたら、感想会始められないじゃない」
「ぷるぷる」
さて、感想ですが、
キルルが着々と即死魔法をものにしていく事に、
どこか、不思議な脅威を感じながらも、
淡々と進んでいくので、読んでいて、
怖さよりも、興味と好奇心が湧きました。
文字数は、37,531文字と、
毎話、短めで進んでいくので読みやすく、
無理が無いのが良いところです。
キルルがどんな即死魔道士になるかは、
教育方針が大きく影響してきそうですが、
今のところは即死魔法のLVUPは、
喜ばれてるようですけどね……。
この先が楽しみな作品でした。
学生時代を三年間みっちり描くことになるとしたら、
かなりの長編な予感ですね。




