第019回『チート・ザ・バトルロワイヤル』の感想!
これもなかなか良かったよ!
読みやすくて!
「さて前回に引き続いて、渾身の一作よ」
「まさか昔話に続編があるだんてプルプル」
作者:弧滓 歩之雄
チート・ザ・バトルロワイヤル
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「この作品は、
昔話の26の世界から集められた、
33の登場人物が、
絶海の孤島で、
お互いに殺しあうという、
とってもハードな内容なの」
「みんな馴染みのあるキャラクターで、
どこか笑いを誘われましたね」
「そうね、チート・ザ・昔話のほうでも、
そうだったけど、昔話のキャラが、
独特の言い回しでチートしてる様は、
異物感がしてストーリーを盛り上げるわね」
「でも昔話の世界が舞台じゃないから」
「当然、昔話の世界独自の、
整えられた世界観は途切れてしまい、
なんだかキャラクターが、
とってもさみしそうなのは、
この作品の特徴ね」
「狼さん出てきませんでしたね」
「敵役だからじゃないかしら?
それをいったら かぐや姫からは、
昔話的に全然注目されてない、
かぐや姫のおじいさんが登場してたし、
非戦闘要員は出てこれないのが、
この作品の特徴であり、
弱点だったかもしれないわ」
「なっ?
チートしすぎると、
お話しがどうでもよくなるだろ?」
「あら勇者」
「俺には分かるんだ、
変にレベルを上げ過ぎたゲームが、
ゲームにならないのはよくあることだって」
確かに、それはこの作品のテーマの様な、
物なのかもしれないわね。
昔話はあくまで昔話の世界観の中で、
通用するお話の数々であって、
チートと昔話がそれぞれ組み合わさって、
混沌を作り上げた時、
そこに意外性は無くなってしまうのかもしれない。
「それでも、これだけの話を、
まとめ上げてしまう作者さんの力量には、
目を回したし、
何よりも強い作品の衝動や息遣いが、
感じられて、楽しみがいはあったわ」
「登場人物は皆知っていたので、
意外性はありませんでしたね」
「それでもこの話がウケているのは、
万人が読んだことのある昔話の、
不変の価値があるからだとおもうの、
それが無かったら作者さんも、
この作品に挑んでなかったといえるしね」
「で、だ、
バトルロワイヤルの、
状況はどうだった?」
「勇者、そうね、
バトルロワイヤルものの弱点としては、
始まりから徐々に規模が小さくなって、
勝ち残っていく中でだんだんと、
お話しが見えてきてしまうところだと思うの、
だから、物語としては、
この話はちょっと薄味に感じたわ」
「だろう?
冒頭のイメージから、
肩すかしってのは、
よくあるもんだよ」
ようするに戦い足りない印象が残るの、
総当たり戦でもないから単純に、
それぞれの性能比較も出来ないし、
誰かが戦ってる時間は、
その他のキャラクターは、
あまり登場できないしね。
出番としては死んじゃうから、
どんどん消耗して行っちゃう、
はじめから消耗戦だってことが分かってて、
なおこのお話の企画を進めた、
その胆力は本当に讃えられるものだと思うわ。
「でも本来、非戦闘要員だったキャラが、
チート昔話で強制的にパワーアップされて、
担ぎあげられてる様はどこか滑稽で、
悲しげだったわ」
「みんな本当は戦いあいたくないはずですもんね」
「それだけに、
この物語のラストに設けられた、
昔話へのリスペクトは、
作者の純粋な気持ちだと考えられるの」
「原作があるからこそ、
二次創作が栄えるように、
大幅な脚色があっても、
それが認められるのは、
きっと原初の物語ってのが、
それだけ盤石だった証拠だよな」
「それだけに昔話という枠組みの中で、
戦うことを決めたこの作品群は、
脚色することの楽しみを、
これでもかと見せてくれて、
演出されたそれぞれの世界の、
エッセンスだけ抽出して、
注入された濃度の濃さが後に残るわね」
「ぷるぷる、もっと欲しくなってしまう」
「ぜひ、この作者さんに、
あげられた作品意外で、
あの昔話だったらどう描く?
あの童話だったらどうするの?
って詰め寄りたくなる、
心が残ったと思うわ」
「本当に昔話って奥深いですね」
さて、感想は以上です、
力作で、中々の長さですが、
それでも単純に読み進められたのは、
昔話のアウトラインがあったからに、
他ならないでしょう。
文字数は丁度ぴったり 150,000文字!
昔話で、
友達と騒ぎ合うのには、
向いてる作品かもしれません。
次があったら、
もっとチートして欲しい、
昔話のリストとか、
公募してみても面白そうだね。




