『小説家になろう』の全作品の週別ユニークユーザ数を集計して分析してみた シリーズ
『小説家になろう』の全作品の週別ユニークユーザ数を集計して分析してみた(2018年05月29日時点)
『小説家になろう』に来ている全読者数(週単位)ってどれくらいか疑問に思ったことありませんか?
週別ユニークユーザ数(以降、WU数と表記)、それは悩ましい数字。
投稿している作者の方なら、どうしても気になってしまう数字ですよね。
かくいう私もその一人でして、上位に輝く作品群のWU数は、数十万人というとてつもない数で、そんなに多くの読者が訪れているのに、自作品のWU数が伸びない、と疑問に思ったのです。特に突然、WU数が激減したりした日には、一体、何が悪かったのかと右往左往してしまいます。でも、そうそう何か原因がわかる訳でもなく悶々とした日々を過ごすことになり困りました。
例えば、複合商業施設とかなら、今日は全体の入りが少ないから、うちの店にくる客も少ないというように、ある程度、推測できるんですが。そこで調べてみると、『小説家になろう』には、作品の様々な情報(例えば、WU数のような!)を取得できるAPIが用意されていることがわかりました。
これだ!
なら、全体を『見える化』すれば、自作品の質以外のWU数の増減理由が見えてくるかもしれない、と考えました。それと上位群は、書籍化されている作品が多く、それらは読者数が多いことが容易に予想できる訳ですが、では具体的にどれくらいなのかも興味があったので、まずは2018年05月29日集計時点(2018年05月20日~27日の一週間分)について『見える化』してみることにしました。
残念ながら、「小説家になろうAPI」では、WU数が100人未満の場合、0人と値を返却してくる仕様のため、合計57万作品のうち、55万作品は、個別に日別ユニークユーザ数のページを参照して、数えてくるしかありません!
……少ない比率とは予想できてもそれだけ数があれば結構なWUになりそうですよね。なのでやはり調べてみした、55万作品!
書籍化作品と、そうでない一般作品で、全体のWU数に対する割合がどの程度かグラフ化したものがこちらです。
予想通りというか、予想以上というか、全体WU数4309万人のうち1814万人(42.10%)を僅か1081作品(0.188%)が稼ぎ出していました。さすが人気作品群!
でも大丈夫、一般作品群の割合は約六割を占めていて、WU数は約2500万人もあるのです。これは凄い人数です。
あ、ちなみに、書籍化作品群のWU数をグラフ化したものがこちら。
WU数が多い作品だと数十万ですが、そんな人気作品は書籍化作品群の中でも、それほど多くないようです。WU数が100未満の作品も結構ありました。
では、一般作品群だけをターゲットにWU数の内訳を見てみましょう。
なんと、全体の61.8%、35万4037作品がWU数0件です。博物館で言うなら、バックヤードに収納されている非公開収蔵品群といった感じでしょうか。あるいは閉架式図書館でひっそりと収蔵されている書物といったところかもしれません。
WU数0件の作品を除外して、改めて内訳を見てみましょう。
WU数が100人未満の作品が全体の90%以上のようです。残念、100人未満の作品群は合計でも、さほど比率は高くないのでしょうか。
WU数毎の合計をグラフ化して見ましょう。
ちょっと、WU数10000人以上の作品(361作品)の比率が大き過ぎるので除外した図にしてみましょう。それらは書籍化作品予備群ってところでしょうから。
WU数が100人未満の作品群を対象とした、WU数の総合計ですが、全体の17%(※)を占めています。
※書籍化、準書籍化作品群を除外した場合の比率
思った以上に高い比率ではないでしょうか? 人気作品以外のところにも、ちゃんと読者は来ているのだとわかります。ちょっと安心しました。
ジャンル別のWU数分布も見ておきましょう。ちょっと図が大きいですが、次のようになりました。
ジャンル『ハイファンタジー』と『異世界[恋愛] 』がやはり圧倒的な人気で、グラフにすると、他のジャンルが誤差レベルになっちゃってます。これだとよくわからないので、人気の2つを抜いたグラフがこちら。
『現実世界[恋愛]』、『ローファンタジー』、『歴史』、『VRゲーム』あたりが強い感じですね。
ちなみに『ノンジャンル』はジャンル分けされる前に投稿されたと思われる作品が多く占めています。属する作品が多い(26万6900作品)ので、自然とWU数も伸びてますが、他ジャンルとはWU数のグラフのパターンがかなり違うのが見て取れます。
あと、よく目安とされる『ブックマーク数100』ですが、それとWU数、総合得点の関係について、調べてみました。連載作品で、連載を継続している条件にしたところ、ちょうと100件だった作品が19あったのですが……。
この通り、想像以上にWU数はバラバラで、平均化しても、最頻値にしても微妙な感じです。ここまでバラけるとは予想外でした。あまり当てになりませんが、総合得点のほうは300点くらいに達すればひとまずクリアできそうな感じです。
最後に、『見える化』して、わかったことは、予想以上に読者の皆さんの嗜好は細分化されていて、広く薄く、多くの作品が読まれているということ。WU数100人未満でも、毎週、合計200万人が訪れているのですから、大賑わいなのは間違いありません。
太陽(書籍化作品)を隠せば、ちゃんと無数の星(一般作品)が輝いているんだぞ、と。
というわけで、作者の皆様、今後も良い執筆ライフを。
読者の皆様、書籍化作品以外にも多くの素敵な作品がありますので、検索時に除外指定「書籍化」を使ってみてください。良い作品と巡り合えますように。
手間がかかったのが、書籍化作品の調査で、書籍化だけでは検索から漏れたり、脱会してたり、投稿を取り下げていたり、アルファポリスなど他サイトに移動してたりと大変でした。
読んでいた作品も随分多くが、なろうから去っていたんですよね。
『週別ユニークユーザ:100未満』の作品ですが、情報を集めるのに三日もかかったので、流石に、今後は今回の値を元に推定値で出していく予定です。1件ずつなら大した時間じゃないんですが、なにせ五十五万作品もあると……。
2018年06月09日、書籍化作品群の情報に誤りがあったため、本文、図の修正を行いました。すみません。