お化け屋敷で幽雅(ゆうが)な暮らし。#2
「ん?なんだこいつ?」
そのコメントにはある場所を示したURLと、「本物のお化けが歓迎いたします。」と、コメントが添えられていた。
「本物のお化け」というフレーズからしてこの人は恐らく僕の動画が編集であると見ている人であろう。
僕の動画の視聴者は、純粋に心霊動画として楽しんでいる人から、作り物として、ホラー映画を見る感覚で楽しんでいる人まで幅広く存在する。
そして、たまにこの人のように自分が知っている心霊スポットの場所を教えてくれる人などもいたりする。
僕自身もたまに動画の企画として視聴者から提供されたスポットに遊びに行くこともしていたりする。
「まぁ、前回の視聴者企画から間も空いたし、ここらで視聴者企画やりますか。」
と、タイミング的にもちょうど良かったこともあり、このコメントに示されている場所を訪れることにした。
「さて、場所はどこかなっと…お?家の近所じゃん!!ラッキー!」
地図に示されていた場所は家から自転車で10分もかからないところであった。
「行く前に少しネットで調べておくか」
ネットで調べたところによるとそこは、もう長年だれも住んでいない築50年ほどの5LDKのオール電化の浴室乾燥機付きの床暖房完備、全部屋エアコン付きで更にネットも無料で使い放題で家賃5万円の二階建ての一軒家だった。
「住みたい」
賃貸会社のページを見ながら僕はそんなことを呟いていた。
「明日は土曜日だから早速明日の夜にでも訪れるとするか」
簡単に明日の用意を済ませてその日は床に着いた。
次の日の夜、時刻は丑三つ時、この時間はいつもの自分が動画を撮影する時間である。動画の始めに左手の腕時計を写して現在の時刻を伝えるとこから僕の動画は始まる。
「さぁ、今回もお化けの出るという噂を聞き付けてこちらの民家にやって来ましたぁ」
適当な挨拶を済ませ、この物件に関する簡単な説明を行っていく。
「えぇ、今回はですね、ある視聴者様からコメントを頂き、こちらの物件が中々恐ろしいとのことなので、私が今回入らせていただこうと思います!」