後編
カルストはカルストでどうも自分になびかない私が逆に気に入ったみたいでことある毎にデートなどを求めてくる。
今日なんか、私は諜報部員の報告で我が家に向かってくるカルストを警戒し逃走。
当たり前だ。死にたくないし。しかし、我が家の周りはカルストのいきのかかった者達で囲まれていた。
仕方なく私達はデートすることに……。ああ、破滅……。
私達は街路樹の下を歩いていた。従者を数人従え。
石畳を歩く私達。カルストは何がそんなに歓喜する理由になるのか幸せそうな顔で話しかけてくる。
「ソリア、僕は昨日、君の夢を見たんだ。一緒に広々とした部屋でダンスしていた。その時の周りの人が君を見る目ときたら……って聞いてる?」
ああ、私、夭逝コースにまっしぐら。平日に学校へ行くのが恐ろしい。
あの天使のように可憐な荒野に咲く一輪の花、ナルシアに嫌われて行く行くは……。
私は両肩をガシッと掴まれて妄想の世界から帰宅。
カルストが心配そうに青い目を見開き見つめている。ああ、美青年。こんなにカッコいいのに近づくと他界。
私は慌てて彼を突き飛ばした。そして気づいてしまった。私達を偶然見つめているナルシアの存在を。
彼女も目を見開きこちらを見ている。そういえばこんなエピソードもゲームにあったような。
ナルシアは辛そうな顔で走り去った。ああ、私、終わった。
私はカルストに今日はあの日なんですと嘘をつき帰宅。最低限の荷物を持ち夜中にこっそり我が家を抜け出した。
家出だ。もうこんな生活はこりごりだ。チキンでけっこう。
私は二度とこの地を踏むことはなかった。新天地で数年後、ナルシアと再会しカルストと結婚したことを告げられた。
ああ、それはよかったですね。まあ、私は……私は大丈夫……ええっと。
その夜、チキンだかチキン令嬢だかが料理されたとか……。