プロローグ
「そうだ、いいことを考えましたわ!今日から貴女は私で、私は貴女よ。そうよ、それがいいわ。さぁ、早く服を脱いで私のドレスを着なさい。」
一体なにがどうなってこんなことになってしまったんだろう?私は目の前にいる自分のそっくりさんにされるがままに服を交換させられた。
「あの、どういうことですか?」
とにかく分からないことは聞くに限る。
「いい、貴女はこれからこの〈マーテル王国〉の第一皇女"セルビナ・マーテル"よ!そして私は今日からただの一般市民。幸いお金はいくらか持ってきたから、泊まる所に困ることはありませんわ。あ、そうだ。貴女のお名前はなにかしら?」
この人私の話しなんて聞いちゃいないし、もっと分からなくなったぁ!とりあえず質問に答えよう。
「えっと、"夏海"です。」
「ナツミね。うん、ファミリーネームが無いなんて庶民らしいわ。」
ファミリーネームって苗字のことだよね。有るんですけど…。
「セルビナ姫様ぁ〜。どこに行かれたのですかぁ〜?いい加減隠れていないで、お姿をお見せ下さい!」
どこからか、若い男の人の声がする。セルビナって目の前の人のことだよね。探しているみたいだし教えてあげないと。
「マークは私を捜すことに関しては、超一流ですわね。」
セルビナさんはこんなこと言ってるし…。まぁ、いいや。
「セルビナさんなら、ここにいますよー!」
私は目一杯声を張り上げてさっき声がした方に向かって叫んだ。
「なっ!貴女なにをしていらっしゃるの?見つかってしまうじゃありませんか!?」
セルビナさんが焦っているけど、私の知ったことではない。
「おぉ、やっと見つけました。ご協力感謝いたします。」
しばらくして、鎧を着た兵士さんがやって来た。なにこの人、超イケメンなんですけど。ってそんなことより、感謝いたしている人が違うよ!
「あの、この人がセルビナさんなんですけど。」
私が正しい方を指さして言うと、
「姫様、この後に及んで苦しい言い訳はやめて下さい。確かに顔は似ておりますが、姫様がこんな汚らしい庶民の服など着ているわけがないでしょう。」
いやいや、着せられただけだからね。なんて言ったら誤解を解けるかな?セルビナさんは俯いて震えているし。これ完全に笑ってるな。
「さ、城に戻りましょう。」
解決策が見つからないままに、私はイケメン兵士に連れて行かれた。なんかだかよく分からない場所で、よく分からないままに、良くないことに巻き込まれた気がする…。
「頑張って下さいませ♪」
セルビナさんは小さな声でそう言って、手を振ってきた。なんかよく分からないけど、一言だけ言わせてほしい。
「誰かこの状況、説明してえぇぇぇえ!」
私の虚しい叫びがこだました。
プロローグだけでは訳がわかりませんね-w
次話も是非ご覧下さいな。