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初めての校舎裏

作者: 牧野さらら

最初にいじめ…?というほどではありませんが、そのような描写がありますのでご注意下さい。



「ちょっと頭いいからって、調子乗ってんじゃねーよ。ブス。」


 うっわ…。

 今時あるんだね…校舎裏でのイジメ…。




「聞いてんのかよ、一ノ瀬。」


 はい、はい。聞いてますって。

 さっきのがリーダー格Aで、今のがお付きBでしょ。

 でもさ、3人で私を呼び出すとか効率悪いし、誰かに見られちゃう可能性あるよね…?

 例えばさ、上履き隠すとか、クラス連絡網を回さないとか他に楽な手段があるのに。

 ちょっとバカじゃないのかな、この3人。

 あっ…バカだから私呼び出されてるのか。

 そろそろ返事しとかないと、めんどくさくなっちゃうかな…。




 下向いて、準備OK。





「は…はい。」


 私、完璧。


 誰かそろそろ先生呼んでくれないかな。

 わざわざ遠回りして、いろいろな人に校舎裏呼び出されてること伝えたんだけど…。




「一ノ瀬さぁ、前から思ってたんだけど、頭おかしいんじゃないの?仁科先生の周りつきまとったり、本多くん誑かしたりして。あっ…頭おかしいっていうより、むしろ男好き?」


 お付きC、キャハキャハ笑ってんじゃないよ。うるさいな。

 仁科先生には質問してるだけだし、本多くんに関しては、むしろ私がつきまとわれてるし。

 ってか、この3人本多くん狙いなのかな…?

 趣味悪っ。

 まっ…いいや、この際本多くんでもいいから…助けに来てくれ…




「君たち、なーにしてんの。」


 …たよ。

 うわ…目合ったらウィンクされた…

 最悪。



「一ノ瀬がやっと、俺のこと考えてくれたみたいだから来ちゃった。」


 うわ…トリハダタッタ…。



「確かに、君たちの言う通り、一ノ瀬って頭おかしいと思うよ?」

「おま…。」


 危ない、危ない。

 つい、心の声出しちゃうとこだったよ。



「だってさ、一ノ瀬って模試とかで偏差値70とか、ふつうに取っちゃうし。なんか何もできないんですーって雰囲気醸しときながら、運動神経いいし。おまえなに考えてんだーって感じだよね。」



「そ、そうですよね。」

 おっ。

 今意見述べられるなんて、なかなかやるじゃん、A。

 見てごらんよ。

 隣のBとCはちゃんと空気読める子みたいだから、めちゃめちゃ首振ってるよ?



「へぇ。君らは、一ノ瀬のこと頭おかしいって認めるんだね?じゃあ、俺のことはもっと気持ち悪いって思うんだろうね。」


 本多くん…ぽかんとさせちゃってるよ。

 もっと噛み砕いてあげないとわかんないよ。



「そうだね、美佳ちゃん。」


 はっ?なに?

 私の心読めるの?


「んーん。美佳ちゃん限定。愛の力ってやつかな。」

「ふざけてんじゃねーよ。いい加減キモいんだよ。このストーカー。」 つ…つい、心の声を出しちゃったじゃん。

 本多のバカー。

 私のキラキラ、ドキドキ高校生活返せー。




「ストーカーじゃないって言ってるじゃん。か・れ・し、彼氏でしょ?」


 もう、いいや。

 この際猫の皮も化けの皮もすべて剥いでしまおう。


「認めたことねーだろうが。この変態。」

「わーん。美佳ちゃんのツンデレー。」


 デレたことあったっけ…?



「あ…あの。私たち…。」


「あれ…?まだいたの?俺と美佳ちゃんの会話の邪魔するとか、意味わかんないんだけど。」


 うわ…怖いな、あの睨み。

 C、涙目じゃん。

 私に向けられてなくて良かった…。



「あっ、もしかして。さっきの続き気になっちゃってるの?ってか、まだわかってなかったんだね。」


 本多…そんなに大きなため息つかなくても。

 がちでびびってるよ?彼女たち。



「だからさ、偏差値って、50が平凡なわけ。頭いいって騒がれてる人たちって、偏差値70とか80とか、いっちゃうじゃん?つまり、そいつらは、統計学上頭がおかしいやつらってことなんだよ。ここまでわかったか?」



 おおっ。わかりやすいぞ、本多。


「ありがとう、美佳ちゃん。」


 だから、心の中読むなっつーの。


「愛の力で勝手に読めちゃうんだよ。はぁ、愛って偉大だよね。」 本日二度目のトリハダ。

 アホな事言ってる場合じゃないでしょ。

 さっさと続き言えっ。



「もう、美佳ちゃんったら照れちゃってー。で、なんだっけ?あぁ…そうか。だからさ、美佳ちゃんより頭良くて、運動神経も良い俺は、統計学上、もっと異常ってなわけで。君たちが言う『頭おかしい』やつなわけ。」


 なんか、非常にムカつくんだけど。



「だから美佳ちゃんをいじめる前に、俺になんか言うことあるんじゃないかな?って俺は考えるんですよー。わかったかなー?んで。なんか言うことあるなら、今どうぞ。」


 間違ったこと言ってないところも、ムカつく。 私をイライラさせるためにきたのかな、本多は。


「す、すみませんでしたー。」


 ようやく帰った…。

 顔真っ青にして、走っていっちゃったけど、明日から学校来るかな…?

 人気者の本多に目つけられたら、明日から、クラス、いや、学年のみんなからハブかれることは予測出来るだろうし…。

 やっぱり明日から休みの方向か…。





「ねーねー、美佳ちゃん。そろそろ俺のこと考えてよー。せっかく助けに来たのにー。ご褒美ほしいなー。」

「はっ?なに言ってんの?」

「だ・か・ら。ごほうびー欲しいなー。」



 ところどころムカついたけど、助けてくれたのは、事実だし…。

 今回はしょうがないか。



「ご褒美、何がいいの?」

「いつものアレがいいっ。」 あれ…?

 私には、今本多が、尻尾がぶんぶん揺らしてるように見えるんだけど。



「しょうがないな…。」

 躾に大事なのは、アメとムチだよね。

 ほんとに昔から、私にご褒美ねだってきて、なんなのよー。







「ほら…こっち来て。」


 あれ…?

 また背伸びた…?

 くっ…成長期とか羨ましい…。

 私は155cmで止まってるのに。



「今何cmなのよ?まったく…。ちょっとかがんで。」


 いつも通りにほっべたでいいのよね。










「え…。」


 な…なんなの…。



「おめでとう。」

「本多くんおめでとう。」

「良かったね。」



 今…私口にしちゃったよね。

 初めてだったのに…。




「みんな、ありがとう。ようやく美佳ちゃんも俺のこと、認めてくれたよ。隠れて待っててもらってごめん。でも、証人になってくれてありがとう。」

「いやいや、本多くんが一ノ瀬さんに対して、10年以上も片思いしてるって聞いたら、手伝わないわけにいかないでしょ。才色兼備の一ノ瀬さんと何でも出来る本多くんお似合いだなって思ってたし。」

「そうだよね。本多くんって入学式の日から、ずっと男子が一ノ瀬さんに近づこうとするだけで、睨んで追い払ってるから、すぐ気づいちゃったよね、みんな。」

「そんなに睨んでるつもりはなかったんだけどな。でも、美佳ちゃんに似合う男になるためにずっと努力してきたから、日が浅いやつらに負ける気はまったくなかったけどね。」



 初めては、初デートの遊園地で、最後に観覧車のてっぺんでしてもらいたかったのに…。



「さすが、本多。それより一ノ瀬さん大丈夫か…?」


「あぁ。大丈夫。ただ、照れてるだけだよ。」


「そっか。じゃあ、私達そろそろ行くね。」

「ごゆっくりー。」

「本当に今日は、ありがとう。じゃあ、また明日。」




 なんで。なんで。

 校舎裏なのよ。

 私の大事な…大事な…。




「ファーストキスが校舎裏なのよー!!!」

「そろそろ、俺たちの仲進展させようかなって思ってさ。」

「別に私、本多のこと何とも思ってないんだし、なんで進展させなきゃいけないのよっ。初めてのキ…キスは、観覧車が良かったのに…。本多のバカバカバカー!!」


 あーもう。

 なんか、涙出てきた…。



「ちょっ、待って…。泣かないでよ。美佳ちゃん。」


 ここで、タオル出してくれるとか女子力アピールか?このやろう。




「でも、考えてみてよ。美佳ちゃんが気にしてるのは、初めてのキスの場所であって、俺とのキスが嫌だったわけじゃないでしょ?」


 確かに…。

 さっきから、私が気にしているのは場所のことで。

 本多とキスしたことは…イヤじゃない。

 というか、むしろ…。




 えっ。なんなの。 私、もしかして…。


「美佳ちゃん、俺のこと好きでしょ?」


 好き…なの?

 小さい頃から、ずっと一緒に遊んできた本多のこと…?



 確かに、いつも本多がいてくれたから、どんなに辛くても頑張ってこれたし…。

 たぶん、本多がいなかったら。

 …なにも楽しくない…。






 うん…私、本多のこと好きみたいだ。



「ん…?声に出して言ってくれないと美佳ちゃんの気持ちわかんないなぁ。」



 さっきまで私の気持ち分かるとか言ってたくせに。

 今更惚けたように、なんなのよー。

 こういうところ、ほんと、ムカつく。




「す…好きです。」


 うわ…めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。



「ん…?何が?」


 わかってるくせに…。 ケッ。


「あーだめだめ。そんなかわいい顔で睨まれても。ただ俺が胸きゅんするだけだから。」


 いい年した男子が、胸きゅんとか言うな…!!

 そんなこと言ってるのを見る、こっちが逆に胸きゅんするよっ。





 …でも言わなきゃダメだよね。



「本多が…。陵介が…好きです。」


 ヤバい…。

 汗かいた。



「ありがとう、美佳ちゃん。俺は、美佳ちゃんのことだけが、昔からずっと大好きだよ?だからさ…。」








「俺と付き合って下さい。」




 陵介のつむじ、久しぶりに見た…。

 って、そんなこと考えてる場合じゃなくて…。



 陵介知ってたんだ…。 私の理想の告白のシチュエーション。

 校舎裏で男の子が私の前で頭下げて、「好きです。俺と付き合って下さい。」って言ってくれるっていうやつ。




「はい、よろしくお願いします。」

「よっしゃっ。これで俺ら、カレカノだな。」




「わわっ。抱きつかないでー。」


 今私、汗かいちゃってるし…。


「大丈夫。」


 なんで…そんなに満面の笑み浮かべてるの…?




「どんな美佳ちゃんでも…。」







「ずっと、ずっーと、愛し続けるから。美佳ちゃんもずっと俺のことだけ見ててよ。」


 この度は読んでくださり、ありがとうございます!!




 短編第2弾、また告白ネタになってしまいました。



 私は、本多くんみたいに好きな子に想ってもらえるように努力し続ける子好きですね。

 長年片思いしてる人は応援したくなります!!

 読者様の中にもいらっしゃいましたら…私が陰ながら応援していますので(笑)頑張って下さい!!



 偏差値に関する表現に対して不快に思われた方いらっしゃいましたら本当にごめんなさい。

 もちろん、私は偏差値はただの数字としか思ってないのですが…小説の都合上あえて書かせていただきました。



 ご意見、感想等などございましたら遠慮なくおっしゃってください。



*一ノ(イチノセ) 美佳(ミカ) 身長155cm。

 小柄な黒髪黒目の高校一年生の女の子。

 陵介とは幼なじみで、12年程の付き合い。

 何でも出来る陵介にライバル心を幼い頃に抱き、陵介に対抗しようとずっと勉強と運動を頑張っている。

 高校デビューをしようと入学時からおしとやかに装っていたが、本当は負けず嫌いな活発な性格。


本多(ホンダ) 陵介(リョウスケ) 身長175cm。

 黒髪黒目の高校一年生の男の子。

  美佳に対して10年以上恋心を抱いている。

 美佳にかっこいいと思ってもらえるように、小さい頃から勉強と運動を頑張ってきた。

 美佳の鈍感なところに最近我慢の限界であった。

 美佳以外は基本的にどうでもよく、いつも猫をかぶっている。




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