メッセージを海へ投げて
ガラス瓶の中に言葉をつめこんで
海へ思い切り放り投んだ
ゴミとして回収されるか
危険物扱いされるか
環境保護団体から苦情がくるか
誰か返事をくれる、かもしれない
淡い期待が胸をよこぎる
途方もない時間
遥かな距離
誰でも入っていける
手頃な世界と真逆のやり方で
海の上を言葉と言葉が漂って
気紛れな波にのまれ
くじらの飛沫を浴びて
幾千幾万の魚の群れの上を
通って
巨大タンカーに潰されそうに
なりながら
奇跡を何度か味わって
誰かの手に私の言葉が届く
「今は夜です
真っ暗です
海へ飛び込むかわりに
言葉を先に放り投げました」
返事がくるとしたら
励ましか労りか
叱咤か、それとも暗号か
返事がくるまで生きていよう
と、思った