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高みの見物

「おー、両方とも派手にドンパチやってるね」

 マスターが見つめる先、そこには二つの画面があり、それぞれ別のプレイヤー達が激闘を繰り広げていた。

「迷宮内牛は必死に鉄斧を出して暴食悪蛇の進行を邪魔して必死に逃げ惑ってる……いや、わざと鉄斧を溶かさせて満足に動ける場所を少なくしてるのか。本気になって巨大化してる暴食悪蛇は早く気づかないと動けなくなって一方的フルボッコになっちゃうから注意が必要だね。……でも、あの巨体状態のまま一発でもぶち込められれば一気にカタをつけられるかもなぁ、迷宮内牛の耐久力だと」

「楽しそうですね」

 後ろから渡し人がモニターを覗き込む。マスターはポテトチップスを口に運びながら頷いた。

「それはもちろん。とうとうラスト4、オリンピックやワールドカップに例えれば準決勝! つまり並み居る強豪を倒してきた強豪同士の対決! 盛り上がらないわけがないでしょ?」

「はぁ、そうですか」

 渡し人はマスターの主張を適当に流して、もう片方の画面を注視した。

「人狼は……元の姿に戻ってますね」

「そうだね、無命闇王が理性を吹っ飛ばさせちゃったからね。ああなったら止められないよー、あの人格は戦闘において足枷になっていたから。あれは戦うには優しすぎたね」

 そう言った後、マスターは不満そうな表情を浮かべて思いっきり首をかしげた。

「にしてもさぁ、なんで無命闇王はそんな自分が不利になるようなことをしちゃったのかなぁ。現に圧倒されちゃってるし」

「それは……わかりませんよ。人格が足枷になっているとは思わず、廃人状態にしてとどめをさそうとしたのかもしれませんし、本気の状態の物を倒して勝ってこそ王者だ、とか変なプライドをもっていたのかもしれませんし」

「まぁ、真意はここに来れた時にのんびり聞くことにしますかねぇ。来れたら、だけど」

 画面の中では人狼の体から発せられる電撃によって無命闇王が呼び出したプレイヤーの幻影を消し炭にしていた。

「あの幻影ってさ、倒されちゃうと一定期間使えなくなるよね」

「そうですね。復活には大体一週間はかかるはずですから、間もなく一騎打ちに陥るでしょうね。そうなれば無命闇王はおしまいでしょう」

「無命闇王ってどれぐらい食べてたっけ? 40くらい?」

「いやそこまで多くはなかったかと、少々お待ちください……無命闇王の所有因子は……32ですね」

「ならもうそろそろジ・エンドか」

 渡し人が端末で確認した結果に対し、マスターがつぶやいた予想が的中するのはそのわずか1分後のことであった。

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