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主催者達の戯言

「えっくすとりーむ!!!」

「……なんですかそれ」

 渡し人は突然奇声をあげたマスターの前に紅茶が入ったティーカップを置いた。

「え? 最近、今の言葉がゲームの主催者の間で流行ってる、って聞いたんだけど」

「そんなの聞いたことございません」

 渡し人は脇に盆を置くと、そのままマスターの横に座った。

「……ついに4分の1を切りましたね」

「あー、もうそこまでいったかー」

 マスターが右腕をあげると彼らの向かい側に大きなスクリーンがおりてきた。そしてそこに何十体もの魔物の写真が映し出された。

「渡し人くん、君はこの顔ぶれを見てどう思う?」

「……優勝候補だった石眼呪女(メデューサ)が早々にやられるとは思いませんでした」

「それは君の説明不足が原因だったと思うよう。石眼呪女がやられたのって僕がルール説明に奔走する前の話でしょ?」

「…………」

 渡し人は微妙な表情になるとマスターから目をそらした。

「……そういえば、あなたがお気に入りの人狼はしっかりと生き残ってますね」

「だね。九州地区を制圧した強欲罪魔をジャイアントキリングしちゃったりして。彼は本当に運がいいよ、初戦からね」

「そう、ですね。初戦と七戦目は気絶したおかげで能力を使った戦い方が出来た、三戦目と五戦目では敗北したのに食われなかったおかげで生き残れた……って感じですからね」

「ま、運も実力のうち、って言うからね。持ってる因子自体は少ないけど、経験値の高い相手を食らったおかげで身体能力自体は非常に高くなってる。元々接近戦に強い魔物だから、制覇への好条件が整ってはきたよね」

「ちなみに、あの『沈獣共鳴』の突破方法は何なんですか? 見た目だけだと無敵の能力に見えてしまうのですが」

「あー、あれ? 簡単だよ。食われる前に本体を食えば良い。肉を切らせて骨を絶つ、って言うでしょ?」

「なるほど……それでは、マスターが思う現段階での優勝候補筆頭は誰ですか? 人狼以外で」

「ん〜? 個人的には暴壊悪蛇(アジ・ダハーカ)かな」

「意外ですね」

「ん? 何で?」

「だって、彼はプレイヤー以外の人間を殺す、っていうルール違反に近いことを犯してますから」

「……一応人間形態の時に殺してるからセーフになってるんだよね。それにしても、プレイヤーである娘とその従者を喰らうために父親と同僚全員を殺すのは充分やり過ぎの部類に入るよ。でも、その狂いっぷりがこのゲームでは立派な武器になってしまうんだよね……で、君の方は?」

「私のですか? 私は……安パイですけど無命闇王(ヴァンパイア)ですね」

「前回覇者の2連覇達成かー」

「はい。彼女の戦いはまさに『異常』ですから。あの結合能力をああいう形で使うなんて今まで考えられませんでしたからね」

「あー、『歓喜晩餐(ファンシーパーティ)』か。あれは仲間に自分の持っている因子を分け与える能力なんだけど、確かに彼女は別の形で使ってるもんね」

 マスターは納得したように頷くと思い出したように言った。

「そういえば、君が能力を一つ余計にあげた迷宮内牛はどうなの?」

「彼女ですか? フルにその能力を使ってますよ『鉄斧生成』」

「え、迷宮内牛の能力ってそれじゃなかったっけ?」

「違いますよ。迷宮内牛の固有能力は『使命赤糸(ラビリンスアリアドネ)』です。ただし、非常に使い勝手が悪い能力ですから、彼女が使ったことは今のところ一度もないはずです」

「強制的に一騎討ちにする能力か。それは使い勝手悪すぎるね」

「ま、プレイヤーが少なくなってくる後半戦では真価を発揮する……と期待しましょう」

 そう言って、渡し人はティーカップに口をつけた。

「あ、それ僕の分じゃなかったんだ」

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