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消えゆく力

蛮族雷撃(サンダーフォース)!」

 目の前に立つ男の腕から俺に向かって青い電光が走る。しかし俺は能力を使いつつあっさりとそれを避けていた。……もうこんなやり取りを5回ぐらいやっている。男は苛立ったように叫んだ。

「あーもう! なんでさっきからあたらねぇんだよ!!」

「……気づかないんじゃあ、先は無いぞ」

 俺は男の背後で呆れてため息をつきつつ、ガラ空きになっている背中を思いっきり蹴飛ばした。男は周りのゴミ箱や植木鉢を巻き込みながら、1番奥にあるコンクリートの壁に激突した。

「くはっ……」

「冥土の土産に教えてやるよ。俺の能力は自分の体が万全である時、相手の背後にいつだって転移することが出来る、っていうやつなんだ」

「な、なんだそれ……反則じゃねぇかよ……!」

「反則でもなんでもねぇよ。俺の能力に気づいていれば、フェイントとかでこっちに電撃飛ばすと見せかけて背後に飛ばす、とか対処法は色々あったはずだぞ」

 俺は男の長く伸ばした髪を引っ張って無理やり立たせた。男は汗をかきながら俺に懇願してきた。

「た、頼む……! 見逃してくれよぉ……」

「断る。どうせここで見逃してもまた別の所で戦うことになるんだからな」

 そう言って、俺は男の喉を爪で切り払った。男は絶望したような顔をしながら崩れ落ちた。

「……これで10体か。あっさりと溜まったな」

 俺は力を失った男の右腕を掴み、青い羽ごとその肉にかぶりついた。




 瘴気蛟のグループを討伐してからもう一週間が経った。あれから4人とは連絡をとってない。……正確に言うと、あちらから連絡はくるが全部無視していた。理由は……俺があまりにも弱すぎて、役にたたない存在だったから。

 鳥海の能力は広範囲にわたって相手を気絶させる能力。コントロールだって自由自在だ。対して俺は背後に回るだけ。手に入れた結合能力だって味方相手問わずに殺してしまう自爆物。どちらの方が使えるか、となったら過半数が鳥海の方を選ぶだろう。

 それに俺の命は結合能力があったから助かったような物。結合能力がなければ、結合能力の内容をあいつらが知っていたら、俺はあの路上で田代達に喰われて終わりだったはずだ。

 だから思った。……1人でも戦えるほど強くなりたい、と。長期的にみれば、仲間を作って、最後の相手になるまで共に行動した方が良い、というのはわかっている。でも、自分が仲間の足かせになってしまうのはどうしても許せなかった。

 だから、連絡を絶った。意味が無いことはわかっているけど。

 男の最後のパーツとなった頭を一飲みする。口の中から歯ごたえがなくなってからデバイスを起動させて「SKILL」を見る。しかし新しい結合能力は増えてなかった。

「……またハズレだったか。リーチとかわかれば良いんだけどな」

 結界が解除され、路地裏を染めていた血と青い羽が一瞬で消えていく。俺はそれが完全に消えるのを見ることなく、その場から立ち去った。


ーーー


「小鳥遊ー。最近お前よく外出してるじゃん。どこ行ってんの?」

「どこだっていいだろ別に……」

「良くねぇーよ。気になるじゃん」

 寮に戻り、夕食をとっていると安藤が絡んできた。俺は適当に嘘を言ってごまかすことにした。

「ゲーセンだよゲーセン」

「えー? 金のムダ、とか言ってたお前が?」

「いーじゃないか。面白いゲームが出たんだからさ……」

「ちなみに、それはなんだよ?」

「リフレクだよ。REFRECT BUBBLE」

「あー、あれか。あれやってんだー」

 安藤は納得したように頷くと食堂から出ていった。……そういや、最近寮のやつと絡んでないな、と思った時だった。

「次のニュースです。今朝、中央区にある公道会の本部があるビルが全焼しました。現場からは大量の遺体が見つかっており、現在身元を確認中とのことです……」

 テレビを見ると、遠藤と大垣に一方的に殴られた後連れていかれた建物の成れの果てが映っていた。

 俺は慌てて残っていた夕食をかきこむと、自室に戻りデバイスを起動させた。




 「COMMUNICATE」の欄から、田代と遠藤の表示が消えていた。

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