第28話♪姑が行く
≪姑の暴走≫
夕方我が家にピンポーンと、老人の爺様が…
耳が遠くてインターホン越しでは話にならない。
出て話を聞くと
「遊びにきたんだけど?」
『知らない方が来ても困ります』
大きな声でやりとりしてると、姑が顔出し
「やだわ〜こっちよ。そっちは次男夫婦の家なのよ」
…あの〜いつものだみ声より声が高いのは気のせい?
『じゃみかんちゃんあとでね!』
あの様子では、姑との付き合いは浅いような…
あの爺様花束持ってたし。
ちなみに仏花では、ありません。
バラが入ってた。
早く爺様帰らないかなぁ〜。
あの爺様と姑どんな関係だろう?
不倫なのかしら?
老いらくの恋?
私の中で想像がどんどん膨らんでいく〜
やっと爺様が帰り、取り調べ開始。
…道で歩いてた爺様を姑いわくボーイバンド(ボーイハントって爺様にも使えるの?今は逆ナンよね)したらしい。
「みかんちゃん素敵でしょ?」
『あのお爺さんいくつなの?不倫じゃないの?』
「今86才だよ。20年前に死に別れたってさ」
『いつ知り合ったの?』
「午前中だよ。」
『だめだよ。家教えて毎日来られたらと゛うすんの〜?』
「爺さん(亡くなった義父)は白髪だったけど、あの人紳士みたいで素敵じゃない?」
…いや〜ちびみかんならごま油塗った頭みたいって言いそうだけどな。
≪使用法注意≫
ちびみかんの幼稚園で、ママ友と話してたら幼稚園の柵越しに杖を振り回してる怪しげな人物。
「みかんちゃ〜ん大変!助けて〜」
『どーしたの?お姑さん何、何?』
「いいから〜早く!」
訳わからんまま家へ。
姑の家に入ると、何やらくぐもった音がどこからか聞こえてくる。
『お姑さん何の音?目覚まし?どこから聞こえてくるの?』
姑が指指したのは、冷蔵庫。
恐る恐る開けると、鍋の中からすさまじい音が鳴り響いております。
蓋を開けると
なんだと思います?
そ・それは防犯ブザー。
姑によると
愛しの電球爺さん(外見のヘアから勝手に命名)のために、掃除を丁寧にしてたら、間違って防犯ブザー引き抜いてしまったそうな。
防犯ブザーの戻し方がわからず、右往左往して、とりあえず鍋に入れ冷蔵庫にしまったとのこと。
その後、我が家のチャイムを狂ったように押したもの誰も出ず、通りすがりの親子連れを見て、私を幼稚園まで探しに来たらしい。
…でも普通鍋には入れないよ〜
しかも冷蔵庫になんぞね。
≪私は無実≫
幼稚園のお迎えに雨の中歩いていると、正面から頭にタオルをほっかむり傘を杖にして歩く謎の人物が〜
よ〜く見ると、やはり我が姑でした。
「お姑さん何してるの?傘なんで差さないの!」
『みかんちゃん足が痛くて、傘杖にしてんの。自転車盗まれちゃったのよ〜スーパーの前に置いといたら』
…あのタイヤが小さくてこいでもこいでも前に進まない自転車。
亡くなった義父が買ってくれたチャリらしい。
「じゃあ後で私探してくるから」
雨の中探したものの見つからず。
翌日、以前姑がぽちっと銀行の防犯ベルを押した場所に行ったら、見覚えのある姑のチャリが〜
鍵もついたまま。
キーコーキーコーと、こぎながら家に戻ると、姑宅から、おまわりさんが〜
聞けば姑が、チャリの盗難届を出すのに足が痛いからと呼びつけたらしい。
書類を書き終え出てきて、姑のチャリに乗った私を見て
「奥さんこの自転車じゃないんですか?」
と言いつつ私に疑惑の目を向けるおまわりさん。
『私嫁です。義母の自転車見つけたので乗って帰ってきたんです。』
「あら〜みかんちゃんどこにあった?」
『あら〜ハハハ』
おまわりさん苦笑いして厳重注意。
私の無実は晴れてるよね
≪姑がぽちっと≫
姑が銀行行くとは聞いてた。
1時頃出たのは覚えてる。
立ち話が好きな姑だからあちこちで捕まらないように帽子もかぶせた。
「お姑さん外暑いから帽子かぶっててね。倒れたら心配だから〜」
…帽子かぶせりゃ姑も視界が遮り、得意の立ち話もないだろうと…
2時間は平気で立ち話当たり前だから。
倒れられたら私が困るしね。
私の足で5分、姑なら20分と計算し、どんな遅くても3時には帰ってくるだろうと…
4時頃帰ってきた。
「お帰り〜遅かったね!」
『みかんちゃんついたら3時過ぎてたんだけど、ベル鳴らしたら、すごい音がしてさ、行員全員出てきたよ。』
えっ!
なぜ、2時間かかったんだぁ?
「それってさ〜もしかして呼び出しのベルと違うんじゃないの?」
『あっ支店長がバタバタ電話してたわね〜。』
やっぱし…
すぐチャリで見に行ったら、非常ベルだったわ。
だから行員も飛び出してくるはずだよ〜
姑に言っても
「あらそうだったの!でも親切にしてくれたわ」
恐るべしおばちゃんパワー
敵に回したら大変だわ




