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彼の様子がおかしい

作者: WAIai
掲載日:2026/07/12

下校途中、私と彼は手を繋いで歩いていた。


「今日はこれがあって、あとね」


主に私が喋る形で色んなことを話していく。


彼は文句も言わず、むしろあくびをするライオンみたいに、優しい顔をしていた。


たまに「ああ」とか、「うん」とか、合いの手を入れてくれるので、嬉しくなって私は足取りを軽くする。


するとその時、

「え…」

彼が思わず声を出した。


私はどうしたんだろうと見つめると、前から来た黒ずくめの男性を凝視しているようだった。


この暑い中、長袖を着ており、歳は20代くらいだろうか。

何か変な感じがするのだが、彼は違うことに注目しているらしく、私を後ろに庇う。


私は訳が分からす、混乱していると、黒ずくめの男性とすれ違う。


しかし、彼は足を止めたまま、警戒心を解こうとしない。

天敵に出会ったかのように、鋭い目つきとなる。


「どうしたの?」


私は小声で恐る恐る聞くのだが、彼は無言だった。

額には汗を浮かんでおり、私の入れない雰囲気だった。


しばらく沈黙が続き、彼は動こうとしない。


太陽が陽を伸ばして、早く歩けと命じてくるのだが、2人は汗を垂らしながら、静かにしている。


私は焦れて、彼の袖を引っ張ると、手を叩いて安心させてくる。


私がちらりと振り返ると、男性の姿はもう消えていた。


彼がようやく身体から力を抜き、安堵の息を吐き出す。

それから顔を押さえると、私に言ってくる。


「今の人について言うなよ」

「…え? どうして?」

「どうしてもだ。もしかしたら…その」


私に言おうかどうしようか迷っているようなので、彼の腕を心配そうに掴む。


彼は決意したのか、小声でそっと言ってくる。


「足音がなかった。もしかしたら…暗殺者かもしれない」

「あ…!!」

「しっ!!」


彼が周りを警戒し、素早く視線を走らせる。

まだ緊張は解いていないようで、彼から熱いものを感じる。


私は彼が本当のことを言っていると信じ、小声で言う。


「分かった。内緒にする」

「おう。お前を信じる」


ぎゅっと手を握られたので、私も握り返す。


私が不安そうに視線を動かしたからか、彼は努めて明るく言う。


「この話は終わり。それよりも…」

「それよりも?」

「えっと、その」


彼が言い淀むなんて珍しいと思っていると、彼が急に険しい顔つきとなる。


私は何事かと注目したが、彼は黙ったままだった。


再び警戒態勢になったので、私もじっとする。

そんな中、子ども達がはしゃいで走ってきたのだった。


「大丈夫?」


私が彼の顔の前で手を振ると、彼はまた背中に私を隠し、毛を逆撫でる。


もしかしてさっきの男性かと、私も緊張しだすと、彼が1人で喋り始める。


「…そうですか」とか、「…どうでしょうか」とか、彼にしか分からない世界に没頭しているようだった。


私は不安になり、

「誰と話しているの?」

乾いた唇を動かすと、彼が手を叩いて安心させてくる。


「それはどうも。でも…俺は光のある場所にいたいので、お断りさせていただきます」


また独り言なので、私は口を開こうとしたが、彼が威圧感を出しているので、黙っている。


彼は額にじっくりと汗をかいており、じっと1点を睨みつける。


頭と背中にじりじりと焦げるような痛みを感じていると、ようやく彼がはあと息を吐き出した。


しかもその場にうずくまるので、私は慌てて

「大丈夫!? ねえ!!」

「大丈夫だ。静かにしろ」

「うん」


私は彼と一緒に座ると、顔を覗き込もうとしたのだが、彼が嫌がりそうなのでやめておく。


私は空気が読めるので、彼が殺気を出しているのが分かった。


しばらくして安心を確認すると、彼が私の手を取り、立ち上がる。


「帰ろうか」

「そうしよう。今日はゆっくり休んだほうがいいよ?」


私はようやくいつもの彼だと思い、笑顔を向ける。

彼もリラックスすると、手を繋いで一緒に帰るのだった。

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