なんか白い空間に飛ばされたんだが
今まで30年生きてきて、
「まあ、生きてりゃそんな日もある」
って思う日もあった。
それは、人間社会っていうのは自分の能力だけでどうにかなるものではないからだ。
例えば、野球で例えてみよう
自分が頑張って打率10割を打つバッターになったとしよう──まあ、実際はもちろんそういうことはないのだが
だが、あとの8人が打率0だったらチームは勝利することができない。
自分が努力しただけではどうにかなるものではないとき、って絶対にある。
私の職業で言えば、学会の発表にどれだけの人が集まるのかとかそういったところだが、、、
「これは生きててもこんなことはねぇよ!」
と大声で突っ込んでしまう。
もちろん、女子小学生の声で。
いや、なんですかこれ。
今ランドセル背負ってるんですけど。
あ、今の小学生のランドセルのバリエーションってライムあるんですね。
私が小さいときにもあったかもしれないが、たいていの子が赤か黒かを選んでいました。
対戦ありがとうございました。
いや、誰と対戦してんねん。
目の前の白い空間、これはなんかあれか。
巷で話題の異世界転生か?
ご生憎、トラックで轢かれた覚えはないし、そんなに人生うまくいっていなかった覚えもないのですが。
「あれ、俺は…」
これはしゃべり方から言って三日月だな。
ただ、声を発しているのは、中性的な顔立ちの人物。
これは「私たち入れ替わってるぅぅぅ⁉」
ってやつか。
ご生憎、全員都会済みです。巫女ではないです。
対戦ありがとうございました。
いや、誰と対戦してんねん(2回目)
さっきからありえない状況の連続に思考が乱れまくってい入るが。
取り急ぎ、目の前に立っている私、華園四京と三日月みくろの身体のうちどちらかが女子小学生といったところだろうか。
うち、三日月の身体は、寝てる…?
せわしなく動いているのが私の身体の方だ。
「ちょっといいかい…?」
「は、はい!」
明らかにおびえた顔の私の身体。さっきから両手で右胸のあたりを探っている。
そこに視線を落とすと、防犯ブザーがあった。
まあ、確かに目の前に自分が現れたら不審がるよな
「君、名前は?」
「え、私が話してる?
でも声がちょっと違うような」
ここで頭蓋骨と空気の音の伝え方によってうんたらかんたらと語ってもいいのだが、
「私は華園という。君は?」
「え…姫野姫花。第三小学校の6年生」
うん、答えれて偉い。
「ってあなたが華園先生ですかぁ⁉」
と隣からやけにやかましい声が聞こえる。
三日月、君さてはボケキャラだな。
「そうだけど?」
「先生、男性ですよね?」
「そうだけど?」
「今、異性の身体に乗り移ってるってことですか?」
「そうだけど?」
「なんかもっとエ──」
「あ、ごめん。なんか作者がR指定つけたくないって言ってるからとりあえずシバきます」
~10分後~
「君がある意味通常な人で良かったよ」
「暴力シーンってR指定にならないんですか?」
「大丈夫、この10分間は何も描写されてない。」
「お疲れ様です…でいいのかな?」
と隣で姫野が言う。
「姫野くん。防犯ブザーを鳴らすとしたら今のようなときなんだけどね」
「あ、確かに」
「姫野さん、鳴らしてくれてもよかったんだよ。」
「生憎、彼女の防犯ブザーはコチラが持っている」
とここまで騒いでいるのに一人ただ立っているだけの人間が一人。
身体は三日月、頭脳は、、、消去法的に中性的な顔立ちの人物か。
彼か彼女かわからないが、前まで行き顔をのぞき込む。
今の私の身体は女子小学生なので必然的に下から見上げる形となる。
まず三日月の身体は目をつぶっている。
そして息をしている。
そして、いびきをしている。
結論:寝ている
「すいませ~ん。起きて下さ~い」
状況が状況なので話を聞きたい。というかこの状況でよくこの人は寝ていられたな。
「え、あ、どうも。。。ほぇ?」
「お疲れですか?」
「いや、ちょっと最近昼夜逆転気味で…さっきまでカフェにいたと思うのですが…」
良かった。話ができる中だったら一番まともな人間がこの人かもしれない。
「お名前は?」
「常です。ってあれ、僕こんな声だっけ」
違和感に気づいた常。
くどいようだが、常は三日月の身体に入っている。
「なんか白い空間にいるんだけど、心当たりは?あとついでに人格が入れ替わってくるようだけど」
「え、なんか女子小学生がこんなに落ち着いて話してるのって違和感MAX」
中身はアラサーなんだからそれはそうだろ。
ただ、この非現実的な状況を前に長い説明をしたくないので先を急かす。
「オカルト好きな僕が言うのもあれなんですけど、あのカフェってなんか曰くつきで…」
「曰く?」
「あそこで土器で注文をした客の失踪が相次いでいるとかなんとか…」
「三日月?」
「あ、え、あ、シラナカッタデス」
良かった、女子小学生でもにらみって有効なんだな。
あんまり役に立たないライフハックなんだが。
「それで疾走した人たちはどこへ?」
「それが戻ってきてないんですよ。だから、どこに行ったかどうかも不明で、巷では神隠しなんじゃないかと」
神隠し、そのワードを聞くか聞かないかの時、
また土器が割れるあの音がした。




