結局儚くても儚くなくてもいい‼︎
菜美華さんへのお礼…
なにがいいかなぁ?
…
一晩考えたけど、わからなかった。
オレも魚返しする?
でも…そんなに魚いらないか…な?
やっぱり、本人に聞いてみるのが一番いいかな?
朝から菜美華さんは、眠さなんてまるで感じないくらい、爽やかだ。
爽やかっていうか、キラキラしてるっていうか、さっぱりしてる?
もうさ、とにかくシトラス風って感じだ。
そんなシトラス風な菜美華さんに、今欲しいものとかある?って聞いてみた。
そしたらまさかの…
「新人戦で一位になりたい‼︎」
と、息巻いた。
あー、うっかり忘れていたが菜美華さんは、バレーのキャプテンでした。
そして、強いビンタ力を持っていたんだった。
…
それでも好きです。
オレはいつのまにか、菜美華さんという波に溺れていました。
いつからだろう?
…たぶん席替えの時にはもう、溺れてたな。
でも、
オレ…実は泳げません。
だからきっと…このまま卒業するまで、菜美華さんに溺れ続けること、間違いない。
息継ぎだけでも練習しておけばよかった。
…
今からでも遅くない?
遅くなりましたが、どうかご指導よろしくお願いします。と、菜美華さんからもらった魚に訴えたが、相手はぬいぐるみ…
目は見開いているものの…
応答なしですね。
息継ぎの練習…ってどうやるんだろう?
…
それより今は、菜美華さんへのお礼だ。
「焼き肉…」
なぜかいきなり焼き肉が食べたくなり、つい焼き肉とほざいていた。
「えっ?焼き肉⁉︎行くの⁉︎いいなぁー」
と、羨む菜美華さん。
「いや、ただ……あ‼︎行こう‼︎焼き肉」
オレは思わず菜美華さんの手を握っていた。
一瞬、菜美華さんはキョトンとしていたが、すぐに笑顔になり、
「うん、行きたい‼︎でも、なんの打ち上げ?だろ?」
と、じっとオレを見つめた。
…打ち上げ
「あー、アジのお礼する」
「いや、そんな…悪いよ」
「悪くないよ?だって、オレ…もっと菜美華さんを知りたい」
「え、それって…」
「好き。菜美華さんを!」
…
オレは教室で何を言い出したんだ…
しかも、結構声を張ってしまった…
…
「あ、焼き肉も」
と、みんなの視線を回避するために付け加えた。
すると菜美華さんも
「うちも好きー」
と、笑顔で返してくれて拍手が沸き起こってしまった…
一番大きな拍手をしてきたのは、担任だった。
「二人は劇団部だったか?いつ公開だ?」
と、聞いてきたので
「絶賛公開中です」
って答えておいた。
タイミングよくチャイムがなったんだけど…
菜美華さんの好きって…焼き肉?
それとも…
オレと焼き肉どっちが好きなの?って聞いてみる?
メンヘラ?
と、とにかく日程を決めねば。
授業中こっそり、
「オレの焼き肉いつにする?」
と聞いてしまった。
オレの焼き肉って…
お礼って言おうとしたのに…
「ふふ、オレの焼き肉ってなんかすごいね」
「ね…言い間違えた」
「あ、ねぇ焼き肉ってね、親密な仲の人と行くことが多いんだって。鍋とかも」
「なんで?」
「同じ箸でつつくから?だったかな?」
「間接キスみたいな?」
「あー、そうだね。でも、うちらキスすらしてないのにね」
⁉︎
こ、これは、もう付き合ってるであってます?
「じゃあ、今しちゃおっか」
冗談で二人の顔を教科書で覆うと、菜美華さんがオレのほおにいきなりチュっとした。
⁉︎
最高やんけ‼︎
ならばおかえしと、オレもチュってしました。
授業中ですよ?
こんな楽しい授業ありますか?
「焼き肉の日が本番ね♡ふふ」
⁉︎
ほ、本番…
楽しみすぎるって‼︎
「今週とか大丈夫?」
「うん、予定は大丈夫…なんだけど、キスするってわかってると、こころの準備が」
「そうだよね…無理なら言ってね?」
「無理じゃないよ…?」
それは…いいって言ってるようなものじゃないかっ‼︎
「今日一緒に帰らない?」
「うん、いいよ」
オレはつい待ちきれず、帰りにキスしちゃったよね。
焼き肉デートでは、もっとイチャイチャしようと思います‼︎
菜美華さんは正式に、オレの彼女になりました‼︎
ビンタをくらわないように、精一杯菜美華さんを守り抜きます‼︎
どうやってって?
それは、これからイチャイチャしながら二人で考えて模索します♡
おしまい♡