悪魔⑤
深夜の夜遅くに1人の酔っ払いが缶ビールを片手にフラフラとなりながら歩いていた。
「ウィ~……ひっく……枝原のやろうが……年下のくせに生意気言いやがってよ~……ひっく……」
そんな愚痴を言いながら男が歩く道は普段から人通りが少なく深夜ともなれば男以外に人がいない状況。それは悪魔にとっては絶好の狩場だった。
ドン!
「できれば若い女の魂が好みだがしょうがない」
男の前に1体の悪魔が降ってきた。目の前に突如として現れた悪魔に男は酔っぱらっているためか不思議に思うことなく道をふさがれたことに腹を立てて喧嘩を売ってしまう。
「なんだてめえ?俺様を誰だが知らねえのか~?……ひっく……俺様はかつて新宿の破壊王と恐れられた」
悪魔が酔っぱらいの男の口上に最後まで待つ道理などなく、なにも発さずに酔っぱらいの心臓めがけて右腕を突き貫こうとした。しかし酔っぱらいの男の命が散ることはなかった。
「菊一文字!」
ザン!
「グガアア!?」
もう少しでごちそうにありつけそうだった悪魔は予想外のところから阻まれ右腕を切断された。
「ふう……間一髪だったね……」
「六花様が迷うからですよ」
「ん~……兵士だな。雑魚だ」
ただ食事をするだけと考えていた兵士の悪魔は目の前に現れた3人に驚愕する。特に驚きだったのが天使と悪魔が横並びで存在すること。
「なっ!?なんなんだお前ら!?どうして天使と悪魔が一緒に!?ハッ!?貴様の顔!?貴様はサタン様の命を狙った裏切り者!?まさか天使の下僕に成り下が『っるせーんだよ。滅弾』っばべ!?」
そうして言葉をまくしたてる悪魔にリリィは悪魔が放つ共通の技で討伐した。その名は滅弾と呼ばれ破壊のエネルギーを扱う悪魔がそのエネルギーを集めて放つ黒い球体のエネルギー弾。術者によって威力が変わるそれは呪いにより弱体した悪魔卿のリリィからしたら見るに堪えないほどに低威力だった。
「……チッ……」
「ナイス~リリィ~」
「では次は私が」
ビュン!
六花にそう言うとアエラは一直線に隣の建物の屋上へと飛び上がる。そこにはこれまでの一部始終を見ていたであろう人たちが2人いた。
「な!?なんなんだあんたら!?」
「天使とか悪魔とか……翼も生えてたり……俺は酔ってんのか……」
普通の人間が今の状況を見たら混乱もするだろう。普通の人間ならば・・・
「聖なる一撃」
アエラは1人の前に来ると天使の槍を召喚し必殺の突きを繰り出した。
「グギャアア!?」
「なっ!?」
なんとアエラが人殺しを!?っというわけではなく一突きにて死亡した男の姿が死した影響にて真の姿へと変わる。それは当然悪魔の姿だった。
「馬鹿な!?どうして!?」
「悪魔に話す道理はありません」
ザシュ!
「がふっ!?」
逃げようとした悪魔であったがアエラは仮にも女神ティエラにて最強の天使として六花のサポートに選ばれいくつかの神器の所有を認められた存在。たかが兵士程度の悪魔が反応すらできるような安い相手ではない。
「終わった~?」
「はい。このあたりの悪魔の討伐は完了いたしました」
建物の屋上に上がってきた六花とリリィ。そこでリリィは少し不服そうな表情。
「全員兵士の雑魚しかいなかったじぇねえか……俺は必要なかっただろ……」
リリィは気になったアニメを一気見しようと準備をしていたところに悪魔の出現で強制的に出動させられた形なため若干の不満があった。
「言ったはず。悪魔のあなたを見張るためにも1人にしておくわけがないと」
「そもそもがザルい監視をしてる天使が悪いんじゃねえのか?兵士でさえ地球にやってきてんじゃねえか?監視はどうなってんだよ?」
「あ!それは私も気になったかも。特に最近は悪魔の出現回数が上がってるよね?なにかあったの?」
アエラはリリィの言葉と六花の質問に苦虫をかみつぶしたかのような苦い表情をする。
「……わかりません……これまでは魔界の監視を抜けてくるような悪魔は少数だったのですが……ここ最近は多くなっていまして……」
「う~ん……抜け道的ななにかがあるってこと? そもそもリリィは天使の監視はどうしたの?」
「あん?俺は弱体化したとはいえ元悪魔卿だからな。監視する天使を欺くなんざ容易だよ。だが俺の芸当をあんな雑魚悪魔ができるとは思えねえ……誰か高位の悪魔が裏にいやがるんだろうぜ」
「高位の悪魔ね~……この流れは……嫌な感じだな~……」
さらなる嫌な予感を感じつつも六花たちは悪魔の出現が確認されれば速やかにその現場に急行する。幸いとして事態を重く見た天界にて魔界の監視の強化と地球への天使の増員が決定されたことにより悪魔による人間の被害は減少しつつある。
/////
--魔界--
「チッ……なぜ我がザーバンクルに命令をされねばならんのだ……」
魔界にて悪魔卿のザーバンクルを呼び捨てにするのは同じく悪魔卿のドゥーイ。背中には弓を下げているその悪魔はどうやらイライラしている様子。
「ドゥーイ様。これはザーバンクル様からの命令ではございません。サタン様よりの命令でございます」
そう返答するのは第三階級の将軍悪魔の1体。しかしその返答にドゥーイに睨まれてしまう。
「……いつ我が貴様に意見を求めた……あまつさえ我が間違っていると?……」
その睨みと発する威圧に返答した悪魔は戦々恐々。さらに悪魔を恐怖に陥れていたのがこのドゥーイに流れる噂。
「ヒイイイイ!?も!?申し訳ありません!?」
土下座にて全力で謝罪する悪魔。ほかにもその場に悪魔たちはいるのだがその様子を見ても悪魔たちに仲間意識はないので我関せず。
「……よかろう……許してやろうではないか……」
その言葉に悪魔は望外な喜びを感じ頭を上げるがドゥーイのニタリとした笑みを見て絶望する。
「貴様には特別に今宵のショーのメインを飾らせてやろう」
そう言って気色悪い笑みを浮かべるドゥーイ。ドゥーイには人間を攫ったり同種族の悪魔を相手を痛めつけることで上げる悲鳴を見て・聞いて興奮する特殊な性癖があった。それを可能としているのも悪魔卿たる強さが所以。
「ドゥーイ様。それは帰ってからに。最優先すべきはサタン様からの命令にあります」
「ニーアか……ふん。わかっておるわ……」
悪魔卿ドゥーイ*公爵ニーア*将軍×3に下された指令は地球にいるリリィの抹殺だった。
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