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悪魔④

天使アエラと悪魔リリィの睨み合いは六花の制止の言葉によってなんとか終わりを迎えた。


「ゴホン……申し訳ありません六花様」

「まあ、アエラも悪魔が信じられないのは天使としてしょうがないとしても、今は知らないといけないことがあるんだからちょっとは我慢してね?」

「はっ……申し訳ありません……」


そう言ってアエラは先ほどのリビングの端まで戻って行った。ここでまた関係のない話をしてはアエラが怒り出すかもしれないと感じた六花は本題に向かう。


「はあ……それじゃあ聞こうかな。どうして悪魔同士が地球で戦ってたの?」


六花のその質問にリリィは少し時間をおいて口を開いた。


「……()()()の野郎をぶっ殺してやろうと思ったからだ……」


サタンとは悪魔たちの頂点に君臨する悪魔神(ヘルゴッド)サタンのこと。そのことを口にするリリィの表情に確かな憎しみがあった。


「なんで?悪魔神(ヘルゴッド)サタンって悪魔たちの神様的な存在じゃないの?」

「ふん。あの野郎をぶっ殺せば俺が次の魔界のトップだ。だから殺そうと奇襲をかけたが下手を打って逆に呪われちまったんだよ」

「呪い?」


先ほどの憎しみを見せまいとしてか少しおどけて言うリリィ。そして六花はアエラに視線を向けて説明を要求した。


「悪魔の力として破壊があります。その強さは悪魔神(ヘルゴッド)ともなれば星の破壊も容易なほどに。ですがそれ以外にもガーゴイルを作り出したり他者を呪ったりなど不可思議な力を擁しているのも事実です」

「へえ~そうなんだ。 つまり殺そうと思った相手に逆に呪われちゃったってこと?」

「……無様な……」

「ちょっとアエラ?」


吐き捨てるようにそう言って再び口を閉ざすアエラ。六花は再度リリィと向き直り質問をする。


「魔界の頂点に立ってどうしたかったの?」

「……てめえに関係ねえだろ……」


リリィはその質問には頑なに答えようとはしなかった。そんなこんなでもはや深夜を通り越して太陽が上がり始めた早朝。


「六花様……結局のところこの悪魔をどうなさる気ですか? まさか共に住むなどとは言いませんよね?」

「へ?私はそのつもりで家に呼んだけど?」


"なにをいまさら"とでも言いたげにアエラに返答する六花。それにはアエラも驚愕の表情。


「なっ!?なぜ悪魔と共に住まわなくてはならないのですか!?あの悪魔は一刻も早く天界に連行するべきです!?」

「なるほど……あそこは天界っていうんだね?」

「六花様!!」


真剣に抗議するアエラに対してふざける六花。それにさらにアエラは怒る。


「まあまあ……なるようになるって……」


ということでなぜか天使と悪魔という本来なら出会えば即殺し合いが発生するような間柄の二者が地球の守護者たる氷見(ひみ)六花の言葉によって一つの屋根の下で共同生活を送る羽目になった。

/////

--数日後--

「悪魔!なんども言わせるな!脱いだ服をかごに入れろ!」

「悪魔!ピーマンをよけるな!貴様は食べさせてもらっていることに感謝して全部食せ!」

「悪魔!貴様も仮にも女だろう!であれば家の中であろうと下着姿でうろつくな!」


完全に手のかかる(リリィ)とそれを叱る母親(アエラ)という構図になっていた。


「……あいつ天使としてのプライドはどこ行ったんだよ……俺の母親か……」


数日でのこの変わりようにはさすがのリリィもアエラに対してあきれていた。


バリバリボリボリ


「それには私も驚いてる。意外と順応性が高いみたい」


バリバリボリボリ


ちなみにいま六花とリリィは2人でリビングにてアニメを見ながらせんべいを食べている。見ているアニメは魔法少女リリィという女児系アニメなのだが悪魔リリィが自身と同じ名前として興味を惹かれたのが始まり。


ちなみにpart2。家にやってきた当初のリリィはアエラの縄で拘束されながらの話し合いだったがもうすでに縄は常時()かれている。これも六花による説得が効果を発揮した。


『いまのリリィは呪いで弱ってるって話だし正直何かしようとしてもすぐに鎮圧できるぐらいには弱いよ。だから大丈夫だよ』


っというリリィとしては屈辱的な言葉によりリリィは自由の身となっていた。


「悪魔!せんべいはボロボロするからテーブルの上で食べるようにいつも言ってるだろう!六花様もですよ!」

「へいへい」

「は~い」


そうして素直に座りなおすリリィと六花。それを見て掃除機片手に2階に向かう。


「まったく!誰が掃除をすると思ってるんですか!」

「「ごめんなさ~い」」


アエラは完全に六花とリリィの母親になっていた。ここは六花の予想以上に和やかな空気が流れていた。

/////

--魔界--

「……取り逃がしたか……」

「どうやらそのようです。申し訳ありません」


そこは荒廃している魔界の中でも一番高さがあり威厳のある建物。悪魔神(ヘルゴッド)サタンが住まいとし有力な悪魔たちが日々集まり魔界を動かしている中枢。そこにて悪魔神(ヘルゴッド)サタンが配下からの報告を受けていた。それはリリィ討伐の失敗について。


「まさかサタン様の呪いを受けて弱体化した今のリリィが逃げおおせるとは……あの裏切り者を甘く見ていたようです。申し訳ありません」


再度頭を下げる悪魔。この悪魔は悪魔神(ヘルゴッド)サタンの側近でありリリィと同じ階級の悪魔卿(ロード)の男。


「……」

「次は確実に裏切り者の首をサタン様に献上すべく悪魔卿(ロード)を動かそうと考えております」

「……天使には感づかれるな……」

「ご安心ください。天使どもの監視の目を欺くなどこのザーバンクルには造作もございません」


そう言いながら不敵な笑みを浮かべ(うやうや)しくサタンに頭を下げる悪魔卿(ロード)ザーバンクル。


六花たちの知らないところで地球に危機が迫りつつある。

読んでくださりありがとうございます!


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