悪魔②
悪魔が地球にやってきている可能性が浮上したためアエラはそれを調べようとする。
「なにこれ?」
食事が終わりアエラがテーブル上に出したのはホログラムのような地球。
「これは天使である我々が悪魔を探すために用いるレーダーのようなものです」
「へえ~……この点は?」
六花はホログラムのような地球を見てメキシコ近郊に2つの点が存在することを指摘する。
「悪魔も本来の形態から人型に変わることが可能なのですがこれに映し出されるのは地球にて悪魔の姿をしている存在のみとなっております。故にこれは……」
「悪魔ってことね……危険だね。行こうか」
夜に2体の悪魔が本来の姿となっている現状に危険と判断して六花とアエラはメキシコまで文字通り飛んでいくことにした。
ビュオー!!
「我ながら早いな~。 というかこっちであってる?」
「はい。このスピードですともう数分で到着するでしょう」
六花は花の絨毯に乗りながらそれを操作して超高速で空を移動中。それに対してアエラは自身の翼にて空を飛んでいる状態だが実は六花についていくので必死だったりする。
「(くっ!?この私が空でも六花様に後れを取るだなんて!?)」
しかしそんなそぶりは決して出さず表では余裕で六花について行っていますを装っている。そんなこんなで家を出て十分少々でメキシコ近郊の空に近づいてきた。
「ここからは姿を隠しましょう。こちらへ」
「はーい」
そう言ってアエラの近くに呼ばれた六花。それはアエラが六花の戦闘中に透明となり見守っている天使の技術。それをアエラの近くにいくことで六花にも適用され近くにいるだろう2体の悪魔を捜索する。しかし付近を捜索し始めた矢先に戦闘音が聞こえてきた。
ダン!ゴン!
「戦闘音?悪魔が誰かと戦ってるのかな?」
「行ってみましょう」
その戦闘音のする方向に行ってみる2人。姿を透明としても近づけば悪魔には気づかれるのでそこに気を付けながら慎重に。すると見えてきたのは2体の悪魔が悪魔同士で戦闘をしているところ。
「なんで悪魔同士で?悪魔って仲が悪いの?」
「たしかに悪魔に仲間意識などはほとんどないでしょうが地球に来てまで天使にバレるリスクを背負い戦うなどはあまり考えられませんが」
「……とりあえずもうちょっと近づいて様子を見よう。なにかわかるかも……」
叫びながら戦闘をしている2体の悪魔。六花とアエラは会話が聞こえる位置まで近づくことにした。
「大罪人リリィ!貴様を処刑する!」
「へっ!たかが将軍ごときが悪魔卿である俺に勝てるかよ!」
「ふん。普段であればそうであろうな。だが!今の貴様は悪魔神サタン様の呪いにより弱体化している!そんな貴様ならば我でも容易だ!」
「チッ!?」
言葉通りに劣勢となる女悪魔。そして話を聞いていた六花がアエラに質問をする。
「将軍って?」
「悪魔の階級になります。一番上から悪魔神→第一階級悪魔卿→第二階級公爵→第三階級将軍→第四階級男爵→第五階級兵士となり階級の差は覆すのはほぼ不可能といわれているのですが……」
つまり自身を悪魔卿と名乗った女悪魔は本来なら将軍の悪魔を相手に負ける道理はないということになるが、劣勢なのは本来は格上の悪魔卿のほうだ。
「……あの子……気になるね……助けてみようか」
そう言って六花が歩みだそうとするがその手をアエラが掴む。
「助ける必要などございません。悪魔は人類を餌としか考えていない下劣な存在。我々の敵です。両方を討伐しこそすれ悪魔をたすけるなど……」
理解できないと言いたげなアエラ。しかし六花は一度女悪魔を見て再びアエラに向き直る。
「うん…多分大丈夫。 行ってくるね!」
「六花様!?」
と、強引にアエラの手を振り払い今にも男悪魔の腕に貫かれそうになっている女悪魔。
「ははは!これで我も公爵に昇格だー!!」
「くっ!?」
しかし間一髪。そこに六花が割って入る。
ドン!
「助けに来たよ!(ちょっと行ってみたかったんだよね~)」
大量の花で男悪魔の攻撃を阻止する六花。オタクとして言ってみたかったセリフを言っての登場だが両悪魔にしてみれば急に得体のしれない人間?が現れたために助けた側の女悪魔にさえも不審がられてしまう。
「なっ!?なんだお前!?」
「馬鹿な!?リリィに人間の仲間がいたというのか!?貴様に悪魔としての誇りはないのか!?仮にも悪魔卿であろう!?」
「う!?うるせえ!?俺だってこんなやつ知らねえよ!?なんだよお前!?人間が邪魔してんじゃねえよ!?」
先ほどまでのシリアスさはどこへやら。謎の人物=六花の登場で両悪魔は混乱中。
「まあまあ。とりあえずさ?私に免じてこの子を見逃してくれないかな?そしたら私も見逃してあげるから」
「てめえ!?何を勝手に!?」
「はいはい。リリィは黙っててね~」
「む!?むう!?むうむう!?」
そう言って花を操作してリリィの口を塞ぎ強制的に黙らせる六花。一方で見逃してあげると言われた男悪魔はといえば。
「……何者かは知らないが……人間ごときがずいぶんと舐めてくれる……貴様らは我々悪魔様の餌であればいいのだーーー!!!」
ビュン!
男悪魔と六花の間は5mもない。そんな近距離から男悪魔は高速で六花に飛来しその身体を刺し貫こうとした。もしかすれば相手を人間と侮り全力は出していなかったかもしれない。しかしたとえこの悪魔が全力を出して六花に挑んだとしてもきっと同じ道を辿ったことだろう。
「花吹雪」
ザサァー!!
大量の花びらが襲い掛かる悪魔に飛来すると一瞬のうちに細切れとなりその姿は塵と消えた。
「見逃してあげるって言ったのに」
こうして六花は初めて悪魔を討伐し悪魔を手に入れた。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




