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悪魔⑪

悪魔の襲来から数日後。ファンタジーオメガ内にて六花は仲間からとある話を聞く。


「ちょっとさ……みんなに相談があるんだけどさ……」


1人の仲間が(おもむろ)にそう口にした。その重い口調に周りは首を傾げる。


「どうした?なにかあったのか?」

「俺が最近働き出したのは知ってるだろ?」

「ああ、もちろん。みんなで祝ったじゃねえか」

「なんだ?()()()()()()に堕ちてくる気になったか?」


()()()()()()とは仕事をしないニートの世界のこと。この相談を持ちかけた男は長いニート生活から脱してとある企業に就職した。


「たしか"あんパン"が就職したのって株式会社ピースフルだったよね?」


その六花の言葉に頷きで返すプレイヤー名あんパン。そして重々しく口を開く。


「……実はさ……嘘であってほしいんだけど……良くない噂を聞いちゃってさ……」

「よくない噂?なにそれ面白そう!」

「でもよ~?ピースフルって確か評判いい会社だろ?」

「慈善事業にも熱心で悪い噂なんて聞いたことねえけど?」


六花はただ面白がるだけだがほかのメンバーはあんパンの言葉に首をかしげている。


「俺も入るまではそうだったよ……いや噂を聞くまでは、かな……」


どうやら相当なことがあるようであんパンの顔はゲームアバターだというのに青白くなってきている。


「おいおい!?大丈夫かよ!?」

「そこまでの反応するってことは結構な確率で正しいって思ってるってことだろ?」

「なんだよその噂ってよ!早く教えろよ!」

「(ゲームなのにあんな表情まで出来るんだ~。この世界の技術すご~)」


六花はゲームの中なのに表情が青白くなったことに感心していたがほかのメンバーはあんパンの聞いた噂に興味津々な様子。そしてやっとあんパンの重い口から噂が語られた。


「……実は……ピースフルの地下で子供が何人も監禁されてるんじゃないかって……」


周りを気にして小声で語るあんパン。その言葉を聞いて最初は驚愕するメンバーたちだったがすぐに冷静に思考する。


「……いやいや……いやいやいやいや……んな馬鹿な……」

「地下で子供の監禁?お前ね?漫画の読みすぎ。もしくはアニメの見過ぎか?」

「さすがにそれは現実離れしすぎてるよ。嘘つくにしてももっとリアルな嘘つけよ」


どうやらあんパンの話を聞いたメンバーたちはその話を信じていない様子。嘘と断言しているメンバーも存在するようだ。


「本当なんだって!?それらしい話をしている人たちを聞いたんだよ!?それに最近夜中に忘れ物を取りに会社に行くと子供の泣き声とか聞こえてくるしよ!?」

「それらしい話って……それこそガチでやってるってよりも漫画とかの話をしてるって展開なんじゃねえの?」

「子供の声も怖がってるあんパンが風の音とかを幻聴で聞いただけだろうしな~」

「いや!?でも!? アイスフラワーはどう思うんだよ!?」


あんパンは形勢不利とみてずっと黙っている六花に話を振った。


「う~ん……どうだろう……」


そう言ってはぐらかすが心で思っていることは違っていた。


「(世間的には薬品実験での事故ってことになってるけど……実際に秘密裏に人体実験をしてたマッドサイエンティストがいたからな~……あながち真実って展開もありえるかも?)」


六花の初仕事だった梁間弥五郎が引き起こした事件はあまりにもショッキングということで世間的には事故として報道され梁間弥五郎も密かに処罰されていたりする。

/////

「────って話が合ったんだけどさ?アエラのほうで調べておいてくんない?」

「わかりました。調べておきます」

「しっかし……人間ってのは悪魔以上に悪魔らしい奴がいたもんだな……」


悪魔であるリリィでも六花の話を聞いてして若干引いていた。


「まあ、ただの噂であってほしいけどね~。そんなことが2つも3つもあってもらっちゃ困るけど」


その日はそれで話は終了。アエラの捜査の方法はハッキングであったり人間では不可能な透明状態での調査など。確証を得るために数日は必要とのことで気になった六花はリリィを伴って株式会社ピースフルの建物を下見する算段になっていた。


「いや~ごめん。約束してたのすっかり忘れててさ!リリィだけで行ってきてよ!日本に慣れるためにも一人で歩くことも大事だよ!」


というわけでゲームオタクな六花はゲーム仲間と約束していた新作のゲームを一緒にプレイするためにリリィ1人で下見をさせることに。


ちなみにこれらからもわかる通りリリィの1人での外出はアエラも(渋々)納得しており地球での1人での散策を許可された。リリィは自由を手に入れたということになる。


「……アニメやテレビで見てるから当たり前に感じるって思ってたが……これが人間の街……」


リリィは今まで自由に1人で街を回るということがなかった。街に出るのも悪魔狩りのための夜が多く昼間に多くの人間でごった返している風景は画面上で見ていて知っていても体感するのでは大違いだと実感していた。


こうしてリリィは自由に街を散策しそして事件に巻き込まれていく。

読んでくださりありがとうございます!


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