悪魔⑩
リリィ討伐のために地球に襲来した悪魔卿ドゥーイ率いる悪魔たち。しかし将軍悪魔×3はアエラに討伐されドゥーイは悪魔卿としての高いプライドと自尊心を六花によってボキボキにへし折られながら六花のお情けでニーアの裏切りに気づかずに2人で魔界へと帰還した。
一方で初めての苦戦を強いられた末に覚醒した六花はといえば……正座させられていた。
/////
「あの~……そろそろ足の感覚がなくなってきたんですけど~?……」
「……まだ3時間しか経っておりません……あれほどの力に目覚めた守護者様でしたらこれぐらいは余裕でしょう……」
「いや~……なんかそれとこれは別って感じで~……人の体って不思議だよね~」
何が起きているかを簡単に説明すると天使のアエラにとって悪魔卿とは悪魔の中でも悪魔神サタンを除けばトップの実力者たち。難敵中の難敵であり1人を討伐するだけで重大事態。そんな悪魔卿ドゥーイをみすみす逃がしたことがアエラには理解できなかった。
ちなみにアエラが机でお茶を飲み床で正座をしている六花だがそ~っとアエラにバレないように足を崩そうとしている。
「……そのまま足を崩すというのでしたら3ヶ月間ずっとピーマンとナスのみです……」
「すいませんでした!!それだけはやめてください!!餓死してしまいます!!」
崩そうとしていた足を即座に正して頭を床にこすりつける六花。六花はピーマンとナスが大っ嫌いだった。
そんな二人のやり取りを見ていたリリィがため息をつく。
「のんきだな~お前ら……今がどれほどに危険な状況かわかってんのか?」
そう言ってリリィは六花に向かって指をさして告げる。
「こいつのせいでいつサタンのやろうが出張ってくるかわからねえんだぞ?もっと緊張感持てよ」
「あなたに言われなくてもすでに天界には報告済みですしそう言った事態になった時には瞬時に動ける用意は進めています」
淡々とそう言うアエラ。アエラの様子からはわからないが実は天界ではアエラの報告で天地をひっくり返したような大騒動になっていた。
「来るんだったら早く来てもらったほうが私としてはうれしいんだけどね……そのために逃がしたんだし……」
「どういうことだよ?いい加減なんでドゥーイの野郎を逃がしたのか説明しろよ」
六花は自身の考えを語る。決して驕りから来た行動ではなかった。
「そもそも悪魔卿クラスが来た時点でサタンの登場は早いか遅いかでしょ。だって悪魔卿の上は悪魔神サタンしかいないんでしょ?」
「そりゃそうだけどよ……だったら逃がすよりも討伐したほうがいくらかは時間は稼げんじゃねえのか?魔界でドゥーイが死んだってわかんのには時間がかかるだろうしよ。それともまさかサタンが六花にビビって来ないことを願ってんのか?」
「ふふっ。そんなわけないじゃん。逆に時間があるほうが面倒なんだよ。だってもしかしたら調査のために密かに強力な悪魔が派遣されるかもしれないでしょ?」
「我々も地球を守るために天使が動員されていますが限界がありますからね。それだったら一気に地球に来てくれたほうがやりやすいと考えての行動でしょう?」
「さっすがアエラ!わかってる~! どうせ戦うことになるんなら裏でごちゃごちゃやられるよりは正面からボスが来てくれたほうが守りやすいじゃん!」
その言葉に呆然とするリリィ。一方で六花は会話中に足を崩したということでこれから3ヶ月間はピーマンとナスのみの食事となり絶望しアエラに縋りつく六花。しかしそんな見ているほうは微笑まし光景にリリィは暗い表情でポツリとつぶやいた。
「……俺を差し出せばよかったじゃねえか……」
「アエラ~!?お願い~!?せめて!?せめて1品だけにしてよ~!?絶対に食べるから~!?」
「考えておきましょう。それよりもあの悪魔が何か言ってますよ」
「ほえ?どうしたのリリィ?」
リリィの言葉が小声だったために聞き取れなかった六花はリリィに問いかけた。その言葉にリリィの感情が爆発する。それはリリィが悪魔らしくない証拠。
「俺を差し出せばよかっただろ!?そうすりゃあ地球が危機に直面することもなかったじゃねえか!?俺はしょせん悪魔だぞ!?人間と天使の敵だぞ!?どうして俺なんかを守るんだよ!?」
そんな必死にリリィに対して六花は笑顔で答える。
「友達だから!」
「とも!? だけど俺たちは!?」
次第に震えだすリリィ。それを六花は見抜きリリィの手を握る。
「……そんなにサタンが怖い?……」
「……」
「それとも自分のせいで多くの人間が死ぬことのほうかな? リリィは優しいもんね」
「……」
リリィはサタンの暗殺に失敗している。悪魔卿ともなったリリィが気持ちがはやり失敗などしない。最高のタイミング・最高の手段でもってサタン暗殺を企てた。殺せなくとも一矢報いることはできる算段だった。だが結果はいともたやすく防がれ逆に殺されずに呪いをかけられた。つまりその場で殺さなくとも問題ないと判断されたということ。悪魔卿のリリィをして悪魔神サタンからしたら地を歩く蟻のように警戒に値しないどうでもいい存在だった。
すでにリリィの心はドゥーイ同様に折れていた。
「大丈夫。私はこのために選ばれたんだから。まっかせてよ!」
「……六花……」
リリィは六花の胸で静かに涙を流した。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




