悪魔⑦
短いです。
--【悪魔卿】リリィ(弱体化中)vs【公爵】ニーア--
公爵ニーアは真っ先にリリィのもとへと飛んで行った。その表情を憎しみで染めて。
ガン!
ズキッ!
ニーアが手に持つ棍にてリリィに振り下ろす。それをリリィは右腕で受け止めるがその込められた破壊エネルギーを相殺できずに受け止めた腕がダメージを負う。
「どうした!裏切り者リリィ!まだ私は本気ではないぞ!」
「……」
しかしリリィはなにも発さない。それにニーアはさらに気持ちを高ぶらせる。
「なにか!!言え!!激情!!」
それは棍を振り回す乱撃。それを受けるリリィはしかし大半を回避し回避不可な場面のみ防御する。その動きはまるでニーアの動きが事前に予測できているかのように。
「……いつも言ってんだろ?パターン化してるから直せってな……」
その言葉に一気に落ち着きを見せるニーア。すると次第に拗ねたような表情になる。そこには先ほどまでの怒りの表情は一切垣間見えない。
「……リリィ姉のことだから察してるでしょ?合わせてよ?……」
「大丈夫だ。ドゥーイにこっちを観察する余裕なんてねえよ」
そう言ってニーアに後ろを見るように促すとそこには悪魔神サタンを除けば魔界最強の一角である悪魔卿ドゥーイが人間の少女に押されているというニーアの予想外な光景が広がっていた。
「……あれってなに?人間なの?……」
「一応は人間に分類されんじゃねぇの?」
六花の存在に困惑中のニーア。しかしずっとこうして話しているというのも怪しまれる可能性が高いので一応は戦っている場面を演じることに。
「もっと来いよ。俺は弱くなってんだからお前が押してる状態じゃねえとおかしいだろうが」
「結構本気でやってるんだよ?腕の一本か二本は持っていくつもりだったから」
「……ずいぶんと怖ええこと言うじゃねえか……」
ニーアの言葉に恐怖心を覚えるリリィ。ちなみに戦闘はリリィの言葉通りにニーアが優勢で時折り良い一撃がリリィに入るように演じている。そんな中でも小声で話す二人。
「……どうして言ってくれなかったの?……」
「……悪い……」
「私にとってもノア姉は大事な人だったんだよ?言ってくれれば一緒に……」
「わざわざ失敗するってわかってんのにお前を巻き込めるかよ……死ぬのは俺一人で十分だ……」
「……でも生きてんじゃん……」
実はリリィが悪魔神サタンの暗殺を狙ったのには理由が存在した。それはニーアの口にしたノアと呼ばれる悪魔がサタンに殺されたことが発端。ノアとはリリィにとって荒んでいた自身を変えてくれた恩人であり親友だった。
「ノアほど悪魔らしくねえやつはいねえよ」
「だね……ノア姉は優しかったから……弱かったけど」
「ふっ……男爵で弱いくせに正義感があって……他人のために汗を流せるやつで……」
「でも死を恐れてた……死にたいわけじゃないって言いながらも他人を守り理不尽に屈せず……強い相手にも立ち向かって……なんどもボロボロになってたよね……私たちが駆け付けなかったらなんど危ない場面があったことか……」
「まさか……サタンを相手に同じことをするとは……」
「ノア姉らしいけど、ね」
そんな言葉では意気消沈している2人だが戦闘は激しさが増している。ちなみにリリィは弱体化しているためニーアのほうが速さも力も何もかもが上であるがニーアを知り尽くしているために次の行動を予測して事前に動くことが可能。
ニーアもまたそれを知っているので遠慮せずにある程度本気で攻撃することができる。
「そもそもニーアはどうするつもりだったんだ?奴らが腕の1本や2本で満足しねえだろ?どうやって納得させるつもりだったんだ?」
リリィとしても悪魔側の考えは知り尽くしているために確実に死んだとわかるような物証を要求するはずだと言うのは理解しているために、己を助けようとするニーアがそこをどう乗り切る作戦なのかが気になった。しかしニーアからの返答はリリィの予想通りに何も考えていないものだった。
「……どうするつもりだったんだろう?……」
「……はあ……」
妹分の考えなしっぷりにため息をつくリリィ。そして視線は六花のほうへ向けられる。
「……六花がドゥーイを殺してくれればなんとか……」
もし六花が悪魔卿ドゥーイの討伐に成功すればニーアが手柄なく帰ってもドゥーイが殺されるほどの相手となれば話は変わってくる。
そう思い六花を見るとリリィの表情は驚きのものとなりまるで己に刃が向けられているような嫌な汗を流していた。
「……あいつ……どこまで……」
果たしてリリィは六花に対して何を見てなにを感じ取ったのか?
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




