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第一章 チュートリアル

 _______『世界中に謎の風船が飛び交っています!この影響で公共交通機関が運行を見合わせており――』

テレビでアナウンサーが必死に中継している様子が流れている。


目の前で場面が切り替わる。まるでテレビのチャンネルを切り替えるように


『何だろうこれ...何かおっきな企画とか...?』

『いやそんなわけないっしょ...うちら大迷惑してるし――』


『ママ!風船さん!』

『そうね。ほらゆうくん。風船さん捕まえたよ~!』

『わーい!』

母親から子供に風船が渡ったと同時に風船が割れる


バン・・・


バンバン・・・


バンバンバン・・・


あぁ、まるで体育館の時と同じような音だ...それにひどい臭い――


『これが、君たちのたどり着いたエンディングだ。』


世界中に音楽が鳴り響く


次の瞬間――


___


_______!


___________!



「――イロ........ロイロ!」

「はっ...!」


必死に自分を呼ぶ声に飛び起きる


「大丈夫...?ひどくうなされてたよ...?」

「はぁはぁ....大丈夫」

安堵しつつ心配そうに神崎が声をかけてくれる。

「悪夢でも見た...?無理もないよ...あんな....」

言葉を途中で止めたのは、思い出さないようにしているのだろう。

その様子を見てロイロも思い出す。

夢であって欲しいと、現実だと分かった今でも願ってしまう出来事



 授業が終わり掃除をした後、僕たちは全校集会に向かっていた。

しかしステージに上がった校長の様子は異質で、何も話さず僕たちを見まわした。

その次の瞬間...


「うっ....おえぇ.....!」

「ロイロ!大丈夫!?」

耳が痛いほど鳴り響いた鈍い音と血生臭いあの瞬間が鮮明に蘇り吐き気が襲う

「ごめん...大丈夫。」

「謝らないで、ほら、深呼吸して...?」


神崎は優しい。自分も同じ心境だろうに僕の心配をしてくれる。


 神崎はクラスで目立つことがなかった。でも神崎は不器用な優しさを持っている。図書室に一人でいたとき話しかけてくれて...でも全然会話が続かなくて神崎が焦った様子に思わず笑ってしまい、そこから仲良くなったっけ...

目立ったといえば陽キャっぽい男子が神崎に絡んだときに氷のような目つきで睨んだという噂が流れたときくらいだ。


そんなことを思い出しながら深く深呼吸をして落ち着きを取り戻す。

「落ち着いた...?」

「うん。ありがとう」


そういえば何か悪夢を見ていたんだっけ...あれ、思い出せないや...。


「――オラぁっ!!!」

鈍い音が部屋中に響く

頭にバンダナを巻いた男の子が白くて大きな扉を思い切り蹴り破ろうとしているようだ。

しかしびくともしていない。

思えば今初めてここがどこだかわからないことに気が付く。


 壁も床もすべて真っ白くて窓が一つもない。

あるとすれば大きな扉と布団

布団は人数分ありそう...人数がわからないからざっくりだけど


「チっ...!くそっ...」

さっきの男の子が悔しそうに床を蹴る。

暴力的だが、これが普通なのかもしれない。

今僕たちは監禁されているのと同じだ。


不安になり神崎に話しかける。

「ここどこなんだろう...」

「私にもわからない。」

自分と同じ境遇だと分かっていながら無駄な質問をしてしまった。

不安でじっとしていられない。

神崎はもう冷静になったようだ。


その時、さっきのドアの前で話し声が聞こえてくる。

「落ち着け、クロト。開きそうにもない。別の方法を――」

「わかってるよ!うるせぇな!」

「だから落ち着けって、みんな怖がってる」

その言葉にクロトと呼ばれた男の子がはっと周りを見る

周りにいたほかのみんなが殴られるのではないかと不安そうに距離を取っている

「っ.....わーったよ。」

頭を掻きながらドアにもたれかかって座り込む。


どれくらいの人がここに監禁されているんだろう....

10人くらいかな...?


しばらく部屋中に沈黙が流れる

そういえば...カンチ.........

体育館の時後ろで血を流し倒れた友達の姿を思い出す。

きっともう...

いったい何が起こってるんだ。


【えーお待たせしましたぁ。みんな起きたんだよね?あ、おっけーでぇす。】

誰かに確認を取っているようだが相手の声は聞こえなかった。

そして今の声を聞いて思い出す。

 体育館で聞いたふざけているような話し方と同じだ。

しかし声が違う。あの時はいつもの校長先生の声と同じだった。

【えーっとぉ、今からチュートリアルというか、このゲームのせつめぇをしまぁす】


「ふざけんなっ!なにがゲームだ!」

さっきの男の子が叫ぶ。

しかし無視して話を進めてくる。もしくは聞こえていないのだろうか


【えーっと...主人公の皆さんにはここから脱出してもらいます。あ、えっとね、ここっていうのはその白い部屋じゃないよ?そのドアはあとから開けるからね。

 はい、つづけまぁす。次に進む部屋に、それぞれの名前が書かれたドアに各々のミッションが記されています。まずはそれらを確認してください。また、ここから脱出する際、命に係わる危険な部屋もありますが、もしそこで死んでしまった場合その方は脱落という形になります。個人の脱落で脱出が不可能になる場合もあります。その場合脱出失敗という形になります。

 また、脱出に成功・脱出失敗・個人の脱落の際はそれぞれのエンディングが流れます。


 は~疲れた。えっとぉ要するにぃ。君たちの目的は「ここから外に脱出すること」ってことだよぉ。かたっくるしい言い方だと別の解釈しちゃうことあるからやめてほしいよねぇ。ということで、チュートリアルはこれにてしゅ~りょ~。じゃ、がんばってねぇ】


そういい終わると、固く閉ざされていた大きな扉が開く。

プロローグから大分期間が空いた割に短い内容ですみません。

わりとこれくらい不定期更新になると思いますが許してください。

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