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新しいクラス。新しい友達。

 

 始業式を終え休日を挟み、今日から新しい体制、新しい学年とクラスで授業が始まる。

 ひと学年は20クラスほど。30名ほどの学生が同じ教室で学ぶ。

 クラス分け表も混雑緩和のため学年毎にグループABCと分けられ、三日間掲示された。


 始業式が終わったあとお昼を挟み、午後からのクラス分け発表。とにかく自分の名前を探すのに必死だった。

 なにせ掲示されてる人数も多いし、混雑緩和のために自分の名前を見つけたらすぐに退かないと邪魔になるんだもの。


 休日も学園へ行きアルフ様のお名前を探したけれど、全ての学年とクラスで『アルフ』の名を探せるわけもなく。

(それに休日といえどご自分の名前すら見つけられなくて焦っていた学生も相当居たし……そんな中他人の名前を探すのもちょっと……)

 せめて自分のグループ内だけでもと隅々まで探したが、居らず。

 唯一、同じ学年でたった一人だけ『アルフ』の名を見つけることができた。

 その人じゃなかったら聞いて回るしかない。



 ──「では次の方、自己紹介をお願いします」

「はい! ロゼッタ·パールウッズと申します。好きなものは動物で、中でもわんちゃんが大好きです。どうぞ宜しくお願いいたします」


 まずは出席番号順に自己紹介から始まる。

 私のクラスは、貴族・獣人が其々6名ずつ、平民が18名と、バランスの良いクラスだ。

 恐らく殆どがそういう振り分けで決められているのだろう。偶数人でも奇数人でもチームを作れる。


 それにたった6人の貴族階級でさえもバランスが良い。高位貴族なのは私だけだもの。ただ数少ない貴族の中では流石にお友達とは同じクラスにならなかった。

(きっと去年から性格や成績、貴族なら家格も踏まえて時間をかけグループ分けされていたのよ。先生達も大変だわ……)


 あっという間に一時限目が終わり、私はさっそくクラスメイトの獣人さんたちへ話しかけに行こうと席を立った。

 先生が終わりの合図を告げると途端に心躍る砕けた会話が飛び交っている。

 賑やかで楽しくなりそうなクラスだわ。


「こんにちは皆さま、ロゼッタよ。会話のお邪魔をしてごめんなさい、少し聞きたいことがあるのだけれど良いかしら?」

「ッえ、あ、えと、あ、あのハイ……何でしょうか……」


 仲良さそうに話していた狐と狸の女の子たち。私が話し掛けると途端に強張って萎縮している。

 仕方ないわ。だって私、見るからに貴族だもの。


「まあ! 敬語はよしてくださいな。クラスメイトなんですもの! いつも皆と会話している感じで良いのよ? あ、私のコレは“いつも通り”の喋り方なのでお気になさらず」

「え、っと、そう、言うなら……まぁ……気にせず喋るけど……。それで、聞きたいことって?」

「ええ。アルフという獣人の男性を探しているのだけど、お知り合いにいらっしゃるかしら」

「アルフ、っていうと狼獣人かな?」

「その通りよ。瞳も髪も銀色の方なのだけど……」

「あたしの知り合いには居ないなぁ……」

「狼の獣人は知ってるけどアルフって名前じゃないな。しかも女だし」

「そう……。他の皆さんは? ご存知?」


 周りに居た他の獣人や平民の方々に聞いても皆首を横に振る。

 そもそも同じ学年とも限らないし、先輩や後輩だったら探すのも一苦労。なんてったってクラスが多いもの。

 着ていた制服は高等部のものだからそこだけは確実なのだけど……。


 あからさまに残念そうにする私に、狐の子が「何かひどいことでもされたの?」と問う。

 私は「まさか!」と続いて、むしろ一目惚れしたのよ、なんて口走りそうになったから思わず口を噤んだ。

 危ない危ない。殿下にご迷惑がかかっちゃうわ。本人にアピールするならまだしも関係の無い人に言いふらすなんて絶対すぐに広まってしまうもの。


「そのっ、御礼を言いたくて……」

「御礼?」

「え、ええ! 入学式の帰りに男性に絡まれ困っているところを助けていただいたので、なにか御礼をしたくて……っ!」

「ああ。そういう」

「そういうことなら友達にも聞いとくよ」

「まあ! お優しいのですね! ありがとうございます! 私も頑張って探します!」


 そう意気込むと何故か二人は恥ずかしそうに笑っている。

 意気込む私があまりに滑稽だっただろうか。


 ともあれ皆さま気さくな方たちで良かったわ!

 ランチの時間ではお友達の二人にもどんなクラスになったか聞いてみましょう!

 ああ、なんだか何をしててもワクワクするのは恋をしたからかしら!

 何をしても楽しい気がするわ!


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