表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山姥(やまんば)  作者: 野松 彦秋
第1章 仲良し3人組と委員長
4/46

4.あだ名(3人組と委員長)

次の日、哲也が学校に行くと、既にカッチとナオケンは到着していた。


『テッカ!、オセェぞ、誘った奴が先に来てなきゃダメじゃね!』


ナオケンが、ワザと怒った口調で言う。言葉と顔は、真逆で、笑顔である。


『スマヌ、スマヌ、ちょっと、寝坊して』


哲也は、その場で作った理由を、カッチと同じように笑顔で返す。


『あとは、松本さんだけだな・・』


『しかし、俺たちが先に来て、松本さんが後に来るってのも、なあ、委員長が一番に来るべきだ』


『いくら、可愛いからといって・・』


ナオケンが、そんな事言うので、カッチがナオケンに絡む。


『ナオケン、お前、松本さんを好きなのか?』


『なんで、そうなる。俺は、事実を言っただけ。クラスの高橋や、竹田のような狂暴女共と比べれば』


『なあ、テッカ、お前はどう思う?』


『エッ、なんで、俺にソレ聞く、俺は知らね』


突然、ナオケンが哲也に話を振るので、テッカは慌ててそう答えた。


3人がそんな会話をしていると、松本いずみの声が遠くから聞こえてきた。


『おはよ~う。待たせてごめんね!野田君、犬崎君、今日はお手伝いに来てくれて、ありがとね』


『そこで、缶コーラを2本買ってきたの、良かったら飲んで!』


いずみは、そういうと自分のカバンから2本のコーラを出し、二人に渡した。


『いいよ、いいよ、貰えないよ』と性格が優しいナオケンが断ろうとする。


『じゃあさ、仕事、終わったら、2本を4人で分けて飲むの、いいんじゃね』


カッチが、断るナオケンを見ながら、冷静にいずみに提案する。


『それじゃ、チャチャと仕事を終わらせて、皆で教室でコーラを飲みましょう!!』


いずみは、ちょっと考えて、教室にあるマイカップの事を思い出し、良い案だとナオケンの提案を聞き入れたのであった。



哲也、ナオケン、カッチの3人は、コーラのご褒美が嬉しかったし、松本いずみの気遣いが嬉しかった。


(松本さんの、こういうところ、好きだあ)と哲也はつくづくそう思ったのである。



3人は、ものすごい勢いで体育館の倉庫から、宿泊研修に持って行く備品を運び出し、学校の玄関先まで持って行ったのである。


30分もしない内に、4人は仕事が終わり、自分達のクラスである5年3組の教室でコーラを飲み始めた。


『今日は、3人とも、来てくれて本当に有難う!!私一人だったら、午前中に終わらなかったかも、あと、本当は誰もいない学校に一人で来たくなかったの。皆がいてくれて、本当に安心したわ』


いずみは、素直にホットした気持ちを皆に話をした。


『丁度、今日、テッカとナオケンと遊ぶ予定だったからな』


カッチが言った言葉に、突然、不思議そうにいずみが質問する。


『野田君、3人はどうして、あだ名で呼び合ってるの??』


『野田君は、カッチでしょ。野田克彦、かつひこだから、カッチ??』


『犬崎君は、犬崎直哉 いぬさき なおや、イヌをケンと読み替えて、なおやのナオと、ケンで、ナオケン』


『佐上君は、??テッカって、どうしてテッカなの、哲也がどうして、テッカなの??』


『松本さん、あだ名に、意味なんかないよ、なんとなく、そう呼ぶ様になったんだよ』


『なんとなく、・・・フフッ、男の子って面白いわね』


『私もあだ名が欲しいな!、そうだ、3人で、私にあだ名をつけてよ!』


いずみは、楽しそうに3人にお願いをする。


『マツモンはどう?』とナオケンが、切り出す。


『ダメ、ポケモンみたいだけど、可愛くない!』


(ああ、やっぱり・・ナオケンはすごい、いつも相談して考える時、必ず、先頭になって考えをだしてくれる)


(しかし、いつも、その考えは、否定される。だけど、ナオケンがいつもそうやってくれるから、ナオケンに続けと次々と案が出て来る・・オレも考えなきゃ)

 

『イズミンは、どうだ』


『ぶうぅ~・・もう、それじゃ、名前とそんなに変わらないじゃない』

 

いずみは、ちょっと面白可笑しく、わざとふてくされた顔をする。


『テッカ、最後の望みは、お前しかいない、頼む!!』


ナオケンが、真面目に頼むので、皆が哲也の顔をみる。


『・・・・委員長、委員長かな??』と哲也が緊張した


『なに、それ、ただの役職名じゃない、あだ名には、ならないわ』


プンプンしながら、怒ったふりをするいずみ。


しかし、『委員長って、良くない!!カッチどう思う??』


ナオケンが、そう言い、カッチに同意を求める。


『一番、しっくりするね。松本さんって、俺たちの中で、やっぱり委員長なんだよ』


『エッ、それって、私が委員長辞めても、委員長って呼ばれなきゃならないの、それってイジメだよ~』


いずみは、そう言いながら抵抗をするが、結局、3人から委員長と呼び続けられ、最終的に本人が折れる事になったのである。


その後、話題は、宿泊研修でいく風越鬼山の話になった。


『10年前、宿泊研修にいった先輩たちの中で、行方不明が、それ本当、作り話じゃないの??』


『委員長、本当だよ、俺たち、今日、一人だけ帰ってきたという先輩に会いに行こうって、話しをしてたんだよ』


ナオケンが、もうあだ名でいずみを呼び、話しかける。


『それって、やばい、すごい怖いよ、けどすごい面白そう』


『私も着いていっていいかしら?その先輩の家・・』


『家じゃないよ、病院、市立病院に入院している佐々木一馬さん』


カッチが、親戚の叔父さんに聞いた、先輩の居場所と、病院の名前をちょっと大きめな声で告げた。


一瞬、誰もいない隣の教室のドアが風で揺れ、ガタッと音がする。


(嫌だよ、行きたくないよ。何か嫌な予感がする)


哲也は、そう思ったが、いずみの次の言葉が4人の運命を決める。


『市立病院なら、私のお母さんが看護婦で働いてるの、バスでの行き方、私知ってるわ。』


『みんなお金持ってる??』


『持ってるよ・・バス代ぐらいなら』


(ナオケンが、そういうと、もう行く事になってしまうから、困ったモノである)

哲也は、心の中でそう思った。


『ヨシ、行こう!』


『やった!行きましょう、仲良し4人組の初冒険よ!』


『・・・仕方ないな』


哲也の最後の言葉だけが、元気が無かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ