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山姥(やまんば)  作者: 野松 彦秋
第1章 仲良し3人組と委員長
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3.動く舌

『もしもし、電話かわりました。佐上(さがみ)だけど』


『あ、佐上(さがみ)君、私、松本です。クラスメートの松本いずみです。』


電話に出ると、聞き覚えのある、少し緊張している女の子の声が聞こえてきた。


クラス委員長の女子、松本和泉(いずみ)である。


『松本さんか、どうした、何かオレに用?』


『ああぁ、やっぱり、佐上君、今日の帰りの先生の話、聞いて無かったでしょ!』


『宿泊研修に持って行く、備品を、明日倉庫から学校の下駄箱(げたばこ)まで持って置くように先生から言われたでしょ、私と、副委員長の田中君と、そし美化係の佐上君が、当番にって言われたでしょ!』


松本和泉は、クラスで一番背が高い。髪を肩までのばし、口を開かなければ印象は清楚なお嬢様という感じの女の子である。顔は正直可愛い。クラスの男子の中で、彼女を意識していない者はいなかった。


哲也もその一人である。


しかし、実際はテキパキしていて、モノの言い方も、同級生というか、少し世話焼きのお姉さんタイプである為、全然お嬢さまらしくは無いのである。


(ああ、確かに、そんな事が、通知表の事で、頭が一杯で・・全然聞いてなかった。)


(さっき)ね、田中君から私に電話があって、おばあさんが入院しちゃって、明日学校に来れないらしいの』


『だから、明日は佐上君には、学校へ絶対来てって言いたくて』


『ウン、ワカッタ。時間は?』


『10時に、学校のカギは私が預かってるから、10時に校舎の入り口の前で待っててくれれば』


『明日、もしよければ、カッチ、とナオケン・・野田と、犬崎も連れて行こうか?』


『エッ、野田君、犬崎君も、・・そうね、男の子が多い方が、早く終わるしね、是非是非(ぜひぜひ)


『それじゃ、佐上君、明日、絶対来てね。野田君と、犬崎君にも、宜しく言っておいてね!』


松本和泉は、元気な声でそう言って、電話を切った。


その後、哲也は急いで、カッチとナオケンの家に電話をして、学校での作業の手伝いをお願いした。


二人は、快く哲也のお願いを聞いてくれたのだが、女子の松本から電話が来た事を伝えると、ものすごく驚いていた。


ナオケンなんかは、哲也と松本が付き合っているのか?なんて、恥ずかしい事を聞いて来たので哲也は焦った。


すごく恥ずかしくなって、哲也は大きい声で思いきり、否定したら、妹が驚いて様子を見に来てしまうぐらいであった。


カッチに電話をした時、松本いずみの件とは別に、カッチが意外な事を教えてくれた。


『テッカ、ヤマンバの話、俺の親戚のお兄さんが、俺たちと同じ、勝平小学校で、10年前の失踪事件があった時、同じ5年生だったって聞いた』


『俺の母さんが言うには、3人が行方不明になったんだけど、一人だけ戻って来たんだって』


『噂だと、その人、未だ病院で入院しているんだって、市立病院に・・』


『10年間も?嘘だろ・・・』


『もし、よかったら、明日、学校の件、終わったら、市立病院行って、その人に会ってみようぜ!』


『会うって、知らない人だろ。名前も知らなくて、探せるワケが無いじゃん』


『って言うか、正直怖ぇえよ、カッチは怖くねえのか』


『そりゃ、怖いけど、・・なんか面白くね?』


『俺、今から、親戚のお兄さんに、その人の名前、聞いてみるからさ・・』


『ワカッタ、先ず、明日会ってから、ナオケンも入れて、3人で作戦会議な!!』


(カッチは、怖い者知らずだなあ、明日、本気(まじ)で行く事になったらどうしよう)


その日、母は夕食に哲也の好きなカレーライスを作ってくれたのだが、突然決まった次の日の予定と、計画案の事を考えながら食べた為、なんだか何時もより美味しくなかった。


ご飯を食べた後、またベットでごろ寝をしながら、タブレットを見た。


最初に目に入ってきたのが、あのヤマンバの絵であった。


(ヤマンバって、嘘な昔話だろ。居るわけないよ・・)


お腹がいっぱいになり、ウトウトし始める哲也、気がつけば寝息をたてていた。


その時である、人知れず、タブレットが明るくなり、ヤマンバの絵が写しだされる。


その絵のヤマンバの口から出る舌が、ほんのちょっと動く、そして蛇の様にニョロニョロ動いた、動きがドンドン大きくなり、画面からでてきそうな感じであったか、突然画面が真っ黒になる。


それからは、二度とタブレットは自分で光る事は無かった。


テッカ、カッチ、ナオケンの怖くて不思議な夏休みが始まる前日の事であった。

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