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山姥(やまんば)  作者: 野松 彦秋
第3章 相談と対策、そして宿泊研修
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1.起死回生のホームラン

結局、哲也といずみの電話では結論は出なかった。


哲也は、いずみと明日学校で会う事だけは決め、ナオケンにも自分が電話するという事にした。


加賀谷先生に電話をするかは、少し考えて決めるといずみに伝え電話を切った。


いずみとの電話を切った後、直ぐに哲也はナオケンに電話をした。


ナオケンも、一馬さんの突然の訃報にはすごく驚いていたし、怖がっていた。


『それって、当然俺たちを逃がしてくれた後だよな?』


『もしかして、俺たちを逃がしたから、アイツに食べられちゃったのか』


『・・・・分からない』


『ただ、もう、子供の一馬さんとは、話せないかもしれない、未だ幽霊になって居るかもしれないけど、何処に居るのか、分らないから』


『そうだな、なんか、どんどんおれ達の状況、悪くなってないか・・』


ナオケンは、そういうと、困ってしまったのか、暫く黙ってしまった。


その沈黙を破ったのは、哲也だった。


『ナオケン、相談なんだけど、オレ、オレたちの事、カガヤンに相談してみたいんだけど』


『ナオケンは、どう思う?』


『カガヤンに?まあ、相談ぐらいはしていいと思うよ。なんせ俺たちの担任の先生なんだから』


『信じてくれるかは、分らないけど・・』


ナオケンの返答は、アッサリとしていた。


『委員長にも、相談したんだけど、最悪、加賀谷先生を巻き込んじゃうんじゃないかって』


『そんなの、相談してみないと、分らないじゃん』


『・・・・!』


『・・・ナオケン、サンキュウな』


『何だよ、急に、オレ、大した事言ってないけど』


『オレ、後でカガヤンに電話だけしてみるよ』


『そうだよな、相談してみないと、分らないよな』


哲也は、自分に言い聞かせる様にナオケンの言葉を繰り返し、ナオケンとの電話を終えた。


その後、哲也は急いで夕ご飯を食べた後、思い切って自分の担任のカガヤンこと加賀谷先生に電話をしたのであった。


哲也の電話に出た加賀谷先生は、突然の教え子の電話に少し驚いていた。


『なんだ、佐上かよ。どうした?』


『学校に忘れモノでもしたのか?』


『違います・・。』


『あっ、ちょっと待ってな・・テレビの音小さくするから!』


『クソッ、勝てないかな』


『エッ、先生、何ですか?』


『いや、悪(わ)りぃ、いま、ナイター見てたんだ。巨人負けてんだよ』


『3対1、阪神に負けてんだ。今年もやっぱり阪神かなぁ。何か強いんだよな』


『・・・』


『スマン、スマン、話が脱線しちゃったな、それで何だ、オレに相談したい事は?』


『恋バナとかは、なしな・・冗談』


『・・・先生、多分信じてくれないと思うけど、おれ達が妖怪に狙われているって言ったら』


『信じてくれる?』


『オイオイ、いくら夏休みだからって、怪談(かいだん)かよ。先生の家、階段(かいだん)ないぞ、アパートの一階だから、ガッハハ・・』


『・・・・』


『佐上、お前さ、少し笑ってくれよ、先生でも沈黙は辛い』


『先生、オレ達がさ、卒業生のアルバム、探しに行ったのも、カッチのお祖父さん亡くなったのも、理由はそれなんだ』


『カッチって、野田か?野田のお祖父さんが亡くなった事、お前理由を知ってるのか?』


哲也は、その後、加賀谷先生に今迄自分達が経験した事を総てを話した。


加賀谷先生は、先ずは何も言わず、黙って哲也のいう事を聞いてくれた。


哲也の話が終わると、加賀谷先生は哲也の話を確認する様に話始める。


『つまり、3日後にいく、宿泊研修の目的地、風越鬼山(かざこしきざん)に住んでる山姥が、お前らを狙っていると、原因になったのが、10年前の卒業生』


『最初に、野田のお祖父さんに相談して、そしたら野田のお祖父さんが亡くなった』


『佐々木一馬さんっていう人の、子供の幽霊に会った、そしたら、今日その一馬さんが・・』


『何か、聞けば聞くほど、怖いな、偶然としては、重なり過ぎてる』


『・・・もし、お前の作り話でも、これ書けば小説になるぞ。ホラーだ。これは』


『先生、信じてくれないの?』


『微妙だな・・・。だけど信じるよ。いや、信じる前提で相談に乗る』


『オレは、佐上がウソをつくような子じゃないって知ってるし、ましてやお前の親友のお祖父さんが亡くなっている事、そんなのを自分の作り話にいれたりは絶対しない』


『だけどな、妖怪ってなると・・・』


『ただ、現実に10年前には、お前らの先輩が行方不明になってるし・・』


『オレが相談にのったからって、どうなるかわからないけど、明日、オレも学校に行ってお前らの話を聞く事ぐらいはできるよ』


『何時に行くんだ?・・学校』


『先生、ありがとう!』


『気にするな、お前が将来お金持ちになって、先生に100万くれるなら、安いもんだよ・・冗談』


『アッ!』


その時、加賀谷先生が、突然大きな声を上げた。


『先生!どうしたの?』


『岡本が打ったんだよ。起死回生の同点2ラン・・未だ未だ、分からんなこの試合・・』


『先生、・・・巨人、勝てばいいね』


哲也たちにとって、加賀谷先生に電話した事が起死回生のホームランになって欲しいと哲也は願った。

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