4 ダブリン魔法学園入学
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僕は茫然と辺りを見回した。
「んーーーーーっと、えっと何て言えばいいんだろう。
入学おめでとう?とか」
「は…?」
「いやいや、デオラデくんは今日からここ「ダブリン魔法学園」の生徒になったんだよ。入学手続きも済ませたのさ。」
な、なにを言っているんだ…
ここはな、なに…。ハレベルさんは…
「は、ハレベルさんは…」
「ん…ハレベルちゃんのことが知りたいのかい?彼女もここの生徒だよ!よかったね、今度から彼女と同じ学校の生徒として親交を育めるね!」
「ハレベルさんもがっこう…?ハレベルさんも魔法が…」
「うんうんうん。気になることはたくさんあるだろうけど、そういう細かいことは本人に会った時に聞くのが良いかもね!
でも、不思議だよねぇ。今や魔法を使える少年少女は魔法学園に通う決まりがあるんだけど…
君はどうして学園の生徒ではないんだい?
それとも、君は…」
彼が不敵な笑みを浮かべて話しかけてきたが、僕にはその言葉の意味をすぐには分解できなかった。
しかし、急にフラッシュバックした家のこと。あの、いつもの暗いベットのこと。
「…。そうだ、い、いえにかえらないと…」
まずい、時間が分からない。
僕はなんてことをしてしまったんだ。
どうして…。
どうしよう…。
怒られてしまうというか…どうなるんだ僕…。
急に視界が真っ暗になった感じがした。
肩が上がるくらい、呼吸がしずらくなる。
「…大丈夫かい?え~っと、家に帰りたいとか、帰らなきゃとか、そういうこと?」
「えっと…」
帰りたい?あの家に?いや。そんなことは…
僕はあの家に必要とされているの…?
だって僕はもうじき…。
「何はともあはれ、まずはハレベルちゃんに会ってから決めてもいいかもしれないよね!
君はハレベルちゃんのお気に入りだからね!
そうだ!申し遅れたけど、僕の名前はケイト。よろしくね。あと、いちよこの学生生活をサポートしてくれるバディをつけることにしたから紹介するよ!
ラムソ、入っておいで。」
金髪の男…ケイトと名乗る人がそういうと、僕と同じくらい…いや少し年上に見える男の子が入ってきた。
明るい茶色の髪ときりっとした眉毛が印象的で、明るいオーラが漂っていた。
「えぇ…。この男の面倒係…。」
入ってくるなり、彼は明らかに嫌そうな顔をした。
「そういうこと言わない!これから仲良くするバディなんだから!
デオラデ君、紹介するね。君と同い年のラムソ。治癒の魔法が使えて、医者を目指している。僕の愛弟子なんだ。ちなみに、いちよ僕は人事部兼保健室の先生兼医者なんだよん。」
シーンと静まり返る部屋。
「うさんくささにもほどがあるよな。この男の言うことは8割信じないほうが良いぞ。」
「おっとなんてことを!」
「…。」
まだこの状況に追いつけていない。
そんなこんなで僕は屋敷での幽閉生活から、魔法学園への生徒となった。
…なったようだった。