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藤城皐月物語 2  作者: 音彌
第5章 楽しい小学校生活
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245 順調に進む修学旅行のしおり作り

 放課後、修学旅行実行委員の藤城皐月(ふじしろさつき)筒井美耶(つついみや)は帰りの会で回収したアンケート用紙を持って理科室へ行った。

 3組以外の委員はもう来ていて、副委員長で児童会長の江嶋華鈴(えじまかりん)がアンケート用紙の回収を済ませていて、書記で児童会書記の水野真帆(みずのまほ)が議事録に回収枚数を記録していた。

「藤城君、みんな集まったらアンケート用紙の回収のお礼を言ってもらいたいんだけど、お願いできる?」

 華鈴が委員会の段取りを考えてくれている。皐月は華鈴に従うだけで委員会を進められる。

「わかった。データの入力はどうする? みんなにも手伝ってもらう?」

「水野さん、どうする?」

「私たちだけで大丈夫。大した量じゃないから」

「じゃあ、みんなにお礼を言ったら解散しようか」

「それでね、これも藤城君に頼んでもらいたいんだけど、印刷が終わって製本する時は委員全員で手分けをしてやってもらいたいの。製本はちょっと面倒だから」

 委員に仕事をさせるのは委員長の仕事だ。皐月の苦手分野だ。

「江嶋って製本の経験があるの?」

「児童会で何度かあるよ。ホチキスで留めるだけだったけど」

「そのホチキスって何個くらいあるか知ってる? 各委員に自分たちのクラスのしおりの製本を頼みたいんだけど」

「4個はあるけど、8個もあったかな……」

「4個あればいいじゃん。ペアでやれば」

「……そうだね。作業に慣れていないから、その方が効率がいいかも」

 3組の田中優史(たなかゆうし)中澤花桜里(なかざわかおり)がやって来た。これで委員が全員揃った。真帆が枚数の確認をして、議事録に記録している。


「では今から修学旅行実行委員会を始めます。今日はアンケート用紙を回収してもらい、ありがとうございました。これで修学旅行のしおりを完成させることができます」

 委員長の皐月が真面目な口調で委員のみんなにお礼を言うと、副委員長の華鈴が集まったアンケートについて話をした。

「アンケートの回収率は9割を超えました。これは各クラスの委員の働きかけのお陰だと思います。募集したイラストもたくさん描いてもらえたので、誌面が賑やかになると思います。いいしおりができきそうです」

 華鈴の補足説明を聞いた委員たちの表情がほころんだ。皐月から業務連絡があるので、華鈴の言葉に続けた。

「委員のみんなにお願いがあります。データの入力と印刷は委員長と副委員長と書記でやっておきますので、製本をみんなに任せたいと思っています。各委員は自分たちのクラスの分の製本をして下さい」

「製本って大変?」

 2組の中島陽向(なかじまひなた)から質問が飛んできた。陽向からの質問には華鈴が答えた。

「手分けしてやるので、そんなに時間はかからないでしょう。明後日の委員会でしおりを完成させられる程度の仕事量です」

「じゃあその日のうちに終わりそう?」

「終わります。二人ペアで40部弱なので、30分もあれば終わるでしょう」

 陽向に限らす、放課後に残って委員会をすることに抵抗のある委員が多い。皐月も最初は嫌だった。だが今では華鈴や真帆と共同作業をすることが楽しくなっている。

「じゃあ、今日はこれで解散。次の委員会は明後日ね。みんなヨロシク!」


 皐月の号令で委員たちが帰った後、残った皐月と華鈴と真帆で入力作業を始めた。

「私、応募イラストのスキャンしてくるね」

 華鈴がアンケート用紙にイラストが描かれているものだけをピックアップして職員室に行った。真帆と皐月はタブレットを立ち上げて、ドキュメントを開いた。皐月は真帆が作ったフォーマットの説明を受け、入力を始めた。

「ねえ、水野さん。思ったよりも量、多くない?」

「大丈夫。私は委員長の3倍は速く入力できるから。とりあえず読んで楽しむのは後回しにして、入力に集中して」

「オッケー」

 真帆の3倍速い入力という言葉を盛っていると思っていた皐月は、真帆のタイピングの速さに驚愕した。3倍速ではすまない速さだ。こんなスピードで打ち込んでいけば、この程度の分量の原稿なんてすぐに終わってしまいそうだ。


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