第77話 『特務隊結成 後編』
あけましておめでとうございました。更新再開です。
特務隊に抜擢されたジョン、彼はクラウスやカイザーに思うところがあり……。
諜報活動が実を結び、アルバトロスは最大の敵国であるロイースと停戦できる最初にして最後のチャンスを掴んだ。
連合国議長であるカイザーは軍の精鋭からなる特務隊を編成し、ロイースで政権奪還を目論む王族派に接触するよう指示を出す。
選抜されたのはクラウス、サイモン、ジョン・ドゥの三人とそれぞれが率いる部隊。
まだ特務隊の存在とその任務は公にされていないため、三人の武将は秘密裏に隣国への派兵準備を進めていた。
「合計で9000弱の兵力か。サイモン殿、敵の戦力をいかほどと見る?」
特務隊の初代隊長に任じられたクラウスは、参謀のサイモンと並んで城内の廊下を歩く。
彼の後方にはいつも通り、側近のトマスとナスターシャが続いていた。
「大臣の私兵であるなら、戦力はそこまで多く動員できないはず。多く見て1~2万といったところか」
大国であるロイースの兵力としてはあまりに少ないが、これは情勢を考慮してのサイモンなりの見解だった。
ロイース王国は国王不在のまま大臣が政権を握っており、今回は正当な王族がその権力を取り返す戦いとなる。
もし下手に正規軍をそのまま戦線に投入すれば、キラの側に寝返る部隊が続出することは想像に難くない。
ならば信用できるのは大臣お抱えの私兵のみであり、例え今の最高権力者であってもその数は多くないだろう。
「ふむ……。王族派とうまく協力できれば、こちらは1万を超える軍勢となる。いい勝負ということか」
サイモンの考えを聞いたクラウスは、納得したようにうなずく。
クラウスは偏屈、サイモンは嫌われ者と癖のある両者だが、かつて友軍の裏切りからカイザーを救う目的で共闘して以来、馬の合うコンビだった。
「実際に事を構えるなら、の話だが。キラ王女が亡命の選択肢を取ったなら、我々はただの連絡係だ」
まだ特務隊は可能性に備えて派遣される段階に過ぎない。
政権奪還か亡命か、選択を迫られたキラがどちらを選ぶかはアルバトロス陣営側に分からないことだ。
「私としては、次の女王たる覚悟を見せて貰いたいところであるな」
クラウスとその側近二人は、まだ記憶を失っていた時期のキラを少しばかり知っている。
あの時は戦う術を持たず、後詰めを行うナスターシャに保護される形で騎士団に厄介になっていた。
「ナーシャよ、そなたはどう見る?」
彼は不意に自分の後ろを歩くナスターシャに話を振る。
キラの面倒を見ていたのは彼女であり、この面子の中で一番詳しそうだったからだ。
「はい。私見ですが……キラ王女は、王族派と王都を目指すと思われます」
「ふむ。その心は?」
自他共に認める女嫌いのクラウスは、キラに敢えて困難な道を歩む気概は無いだろうと予想していた。
その主の想定を覆すように、ナスターシャは言う。
「私の知る限り、王女は戦を好まず、なるべく自分の手で解決しようとする人物に見えました」
「自分の手で、か……。つまり、アルバトロス連合の力を借りずに、と」
戦力差を考えれば無謀な行いだが、貴族であり武人でもあるクラウスはその心意気は評価したい気持ちだった。
同時にその方が特務隊が援軍に駆けつける意味も出る上、王族派に恩を売って停戦に持ち込みやすくなる。
女王となったキラは世話になったカイザーとの和平に意欲的だろうが、周りの貴族がそれに同意するとは限らないからだ。
すると向かい側から、特務隊の三人目の武将であるジョンが歩いてきた。
「どーも、お二人さん」
短い金髪の奥から、いかにも軽薄そうな笑みを浮かべて挨拶をするジョン。
サイモンはいつものことなので普通に答える。
「ジョンか。準備の方はどうだ?」
「ま、ぼちぼちってとこでさぁ。お二方はドレスアップはお済みで?」
彼の言葉に露骨に眉間にシワを寄せたのが、隊長のクラウスだった。
「遊びに行くのではないのだぞ」
声には少なからず怒気がこもっていた。
クラウスは人の好き嫌いが激しい男で、軽薄な人間は特に嫌っていた。
「へいへい、分かってますよっと。ちょろっとお隣さんに忍び込んで、お家騒動に首を突っ込んだらぱぱっと撤収。簡単でさぁ」
半笑いで肩をすくめるジョン。
背丈は彼の方が高く、クラウスは不本意ながら見下される形になる。
「茶化すでない。これは重要な任務なのだぞ」
アルバトロスにとって最大の敵国であるロイースと停戦できるかどうかは、特務隊の働きにかかっていた。
クラウスには部隊の総大将という重責もある。
「そんな睨むと、お顔のシワが増えちまいやすぜ、大将」
そう言ってジョンは、ひらひらと手を振りながら四人から離れていく。
「打ち合わせをしにきたのではないのか?」
険悪な雰囲気をどうしたものかと考えていたサイモンは、思わず尋ねた。
「ちょっと顔を見に来ただけですって。んじゃ、俺は仕事前にひとっ風呂浴びてくるとしやすぜ」
一度出発すれば、何ヶ月後に水の豊かな首都に戻って来られるか分かったものではない。
風呂が恋しくならないよう、念入りに入浴してくるつもりだろう。
口笛を吹きながら立ち去った背中を見送り、クラウスは早速難色を示す。
「人を馬鹿にしおって……。あの者は、私が指揮を執ることに不服のようだな?」
「まあまあ……」
憤慨する主をなだめるのは、側近のトマスの仕事と決まっていた。
それでも腹に据えかねるクラウスは、周囲にも聞こえそうな声で文句を垂れる。
「軽い気持ちで務まる任務ではないのだ。議長殿はなぜあのような者をこの任務に就けたのだろうか? 都合が悪くなったら逃げ出すのではあるまいな?」
ため息をついて眼鏡を直しながら、サイモンもトマスに助け船を出した。
「ああ見えて仕事はする男だ。国境越えは任せて、その後は我々が役目を果たせばいい」
クラウスはジョンのことは大層嫌っていたが、逆にサイモンは気の合う武将として気に入っていた。
そのサイモンの言葉もあって、彼は渋々怒りを堪える。
「相手は賊だ、仕事ついでに軍資金を盗まれないよう備えねばな……」
しかしその言葉の一部始終を、立ち去ったかと思われていたジョンは廊下の曲がり角で聞いていた。
「……ふん、所詮は領主。人を身分で判断しやがる」
忌々しげに吐き捨てた彼は、もたれていた壁から背を離すと浴場とは反対方向へ歩いて行った。
むかっ腹を立てたジョンが向かった先は、部隊の詰め所だった。
ここが彼の率いる『無名の旅団』にあてがわれた空間である。
広い部屋の中では、団員達が突然の出撃準備を慌てて整えている最中だった。
「お頭、どうでした?」
「へっ、どうもこうもねぇよ」
他の武将の準備はどうかと様子を見に行ったが、結果はあの様だ。
「それよりお前ら、ちゃんと塗ったか?」
ジョンが言っているのは、部隊の印章のことだ。
今回、ヴェロニカの提案により所属を隠して行動することになり、鎧などの装備に描いた印章を黒く塗り潰す作業に追われていた。
「へーい」
「でも、せっかく俺らでカッコイイの考えたのに、結局塗り潰すなんてよ……」
無名の旅団はようやく部隊章が決まり、喜び勇んで全員の装備に描き込んだ直後のことだった。
団員で話し合ってつけたエンブレムを皆気に入っており、それを隠す今回の作戦には不満も出ている。
だが何も反発する者ばかりではない。
「でもよ、何か義賊時代に戻ったみてぇで、これはこれでイカしてるんじゃね?」
部隊章を黒い塗料で塗った装備を見た一人がそう言う。
無名の旅団は全員が元義賊である。
盗っ人として活動していた頃は、それこそ部隊章などありはしなかった。
反政府レジスタンスに加わった後も同様だ。
彼らのやり取りを見ていて、ジョンは義賊団ごと正規軍にスカウトされた時のことを思い出していた。
カイザー直々の誘いに、最初ジョンは笑った。
冗談か何かだと思ったのだ。
「おいおい、正気かよ旦那? ジョークのセンスねぇな」
だがカイザーは首を横に振り、真剣な眼差しでジョンを見据える。
「冗談じゃない。本気でお前達を雇いたいと思っている」
「確かに、一度はサイラスの下で反乱軍に加わっちゃいたが、俺達はあくまで”賊”ですぜ?」
仲間の中には、自分達が正義だと思い込んで浮ついている者も居るには居た。
だがリーダーのジョンは、所詮自分達は盗っ人であり犯罪者に過ぎないと考えていた。
それがいくら革命に貢献したからと、今までの罪状を洗い流してましてや正規軍の仲間入りなど、天地がひっくり返ってもありえないと彼は思っていた。
「それに、だ……俺が戦うのは貧民のため。悪いがな旦那、アンタのためじゃあねぇんだ。百歩譲って正規軍に入ったとしても、アンタに忠誠を誓うつもりなんざねぇよ」
元より騎士道などという堅苦しい型にはまらない男である。
雇われたとて、カイザーに仕えて忠臣となる気は毛頭なかった。
だがそれを聞いたカイザーは『だからこそ声をかけた』と言った。
「いいか、俺がこれから作ろうとしているのは、国民が国を治める世の中だ。俺は独裁者になるつもりはない。だからこそ、お前のような男が必要なんだ。”俺個人”ではなく、”国民”に忠誠を誓う人物がな」
反乱軍からの協力を取り付ける上でカイザーが約束したことではあるが、ジョン自身はあまり信用していなかった。
いつ前言を撤回して新たな皇帝になると言い出すか分かったものではない、と。
だが直に会って話してみて、疑念が揺らいだジョンはいっそのことと、この場で気になっていたことを尋ねてみることにした。
「じゃあ聞くが、何でそんなややこしいことをしたがるんで? アンタが次の皇帝になるって言うんなら、大半の奴は反対しないでしょうや。権力を握れるし、その方が楽だ。何で楽な方を選ばねぇ?」
人は楽な方に流れる。水がより低い場所に落ちていくように。
カイザーが打倒した帝国も、そうして権力者達が我欲に流されるままに動いた結果、地に落ちた。
楽をする権利を得た者程、その誘惑に駆られて堕落していく。
それがジョンの見てきた”敵”の姿だった。
確かにカイザーはかつてこの国を貪っていた貴族達とは違う人種のようだ。
だがそれにしても、何故敢えて自分で権力を握らず、それを分散させるようなことを行うのか。
ジョンには不可思議でならなかった。
「……お前も知っているだろう。個人が持て余すような権力を握った結果、どんな惨劇が引き起こされるのか」
ひとつため息をつきながら、カイザーは過去の記憶を掘り起こすように目線を頭上に泳がせた。
「俺が最初に革命を決意したのは、コルディオン殲滅戦に参加した時だ。お前も聞いたことはあるだろう?」
「ああ、かなり酷かったらしいってね」
西をアルバトロス、東をロイースに挟まれるような形で存在する小国、コルディオン王国。
大国同士の争いに時に巻き込まれつつも、どちらにもつかない態度を取り続け、両方から警戒された国。
殲滅戦が行われる少し前から帝国時代のアルバトロス寄りの姿勢を見せていたが、それはある日突然先の皇帝メイナード六世の命令によって裏切られる。
突如として帝国軍が大挙して押し寄せ、精強だとされる魔術兵を蹴散らしてコルディオンの国土を踏み荒らした。
それだけならず一体何が皇帝をそこまで駆り立てたのかは知れないが、帝国軍は王国の都市全てで虐殺を行い、焼き払った。
無抵抗な女子供も、容赦なしに。
一説では既に目の上のたんこぶと化していた反乱軍に対する、一種の見せしめではないかともされている。
そのあまりに悪逆非道な作戦の噂は、ジョンの耳にも届いていた。
「あの時、俺はまだ副将だった。フォレスの田舎から出てきて、中央で武勲を立てていい暮らしをしよう……そんなことだけ考えていた頃だ」
凄惨な光景は、能天気に夢を見ていた若かりし頃のカイザーの理想を打ち砕いた。
その時の心境を、カイザーは苦々しい表情でうつむきながら語る。
「あれは酷かった。とても筆舌に尽くし難い。兵士だけでなく、民間人も、それこそ女や子供まで……上官に逆らえなかった、なんてのは言い訳にならない」
苦々しい表情で彼は続けた。
「屍の山を燃やしながら、俺は思った。『こんな行為を繰り返してはならない』と」
この時、カイザーは革命を決意する。
同じく別の部隊で殲滅戦に参加し、打ちひしがれていた同期のジョイスに胸の内を打ち明け、まずは二人で反逆の準備を整えると誓った。
だが”ただ皇帝を倒す”ことだけで悲劇は終わるのか、と疑問を抱く程にはカイザーは賢かった。
準備のためにと過去の革命の歴史を紐解く中、見えてきたのは単なる独裁者の首の挿げ替えだった。
体制は変わるかも知れないが、本質的な部分では何も変わっていない。
そして歴史は繰り返される。
「だから自分が次の統治者になっても、結局また元の木阿弥だと思ったんだ。じゃあどうすればいいのか……こいつはかなり悩まされた。だが、その答えもまた歴史書の中にあった」
カイザーが見つけた”答え”、それは今のような大国が出来上がる前の、古代の記録にあった。
『都市国家』と呼ばれる都市規模の小さな国が分散していた時代、それぞれの都市国家は様々な体制を布いていた。
中でもカイザーの目を引いたのは、民主政を行っていたという国だった。
そこでは市民一人ひとりが積極的に政治に携わり、国の方針に関して互いに意見を交わし合っていたと言う。
そして議論の末に、何が最善策かを多数決で決める。
国の舵取りを一人の統治者ではなく、国民の手に委ねていたのだ。
これは当時のカイザーに大きな衝撃を与えた。
国民が自らの国の方針を決められる政治。
そんなものが、ましてや遥か昔に既に存在していたとは予想もしていなかったからだ。
残念ながらその都市国家は、異なるイデオロギーを持つ他の国との戦争で敗北し、民主政の生命線は一度絶たれる。
「なら復活させればいい。そう思って、大昔の記録を読み漁った。民主政のメリットとデメリット、今の時代で実現可能かどうか……洗いざらい調べた」
「流石はエリート将校、学のあるお方は違うねぇ」
平民生まれで、ろくな教育も受けられなかったジョンは皮肉るようにそう言って笑った。
「教養が上流階級の特権という時代にも、終止符を打つさ。民主政を布くには、国民の学力も必要だ。彼らに国の舵取りを委ねるわけだからな。無償教育の提供と平行しつつ……と言ったところか」
「そりゃあ大した展望で」
「これが上手く回り出せば、俺が死んだ後でも国民が権力の暴走を抑止できるようになる。コルディオンの悲劇は繰り返されなくなるはずだ」
まだ半信半疑のジョンは、思い浮かんだ疑問を率直に口にした。
「そうは言いますがね、その国民が第二第三のコルディオンを望んだら、そんときゃどうするんで?」
「異を唱える人物がいることを信じよう。そのための教育だ」
理解が追いつかないながらも、ジョンは自分なりにカイザーの言葉を咀嚼した。
「ま、ようするに自分が死んだ後のことまで考えてるってわけですかね。心配性なお人だ」
「誰かが”本当の革命”を起こさなければ、惨劇は何度でも繰り返される。別に英雄になりたいとか、歴史に残りたいとか、そういう見栄じゃない。そう、確かに……心配性なのかも、な」
そう言って自嘲気味に笑うカイザーは、恐らく誰よりも国と国民の行く末を案じているのだろう。
だからこそ、自分の死後のことまで考え、まだ見ぬ未来まで持続できる社会を作り出そうともがいている。
(確かに、後世で新たな独裁者を生まないシステムをってのは分かる……。さて、どこまで信用したもんかねぇ)
しばし考えた後、ジョンはカイザーの最初の申し出を引き受けることに決めた。
「一応、軍門に下るのはOKだ。だが忘れなさんな、アンタの気が変わって次の独裁者になったそんときゃ……俺がアンタの背中を狙い撃つ」
軽薄そうに笑っていたジョンが、鋭い目線をカイザーに向ける。
胸に秘めておかず敢えて明言したのは、カイザーが自分の決意を言葉にしたことに対する、ジョンなりのけじめだった。
「ああ、それでいい。お前達は今まで通り、民衆に仕える姿勢でいてくれ。それがこれから先の『連合国軍』には必要だ」
こうして『名無しの義賊団』は表向き解散となり、事実上生まれ変わったアルバトロス連合国軍の一部隊に加わった。
その過程で団を抜けていった者も居れば、残った者もいる。
そして遂に大仕事を任される日が来て、今に至る。
「お頭ぁ、何ボーッとしてんスか?」
義賊時代からの仲間にそう言われ、ジョンは我に返った。
「ん、ああわりぃ」
「どうせまた、今まで口説いた中で一番美人だった村娘のことでも考えてたんじゃないっスか?」
意識を過去から現在へと戻しつつ、ジョンは笑う。
「ま、そんなとこだな」
部隊は今、隣国のロイースへ向けて遠征に出る準備の真っ只中だ。
ジョンの周囲では、隊員達がせっせと出撃準備を行っている。
「見ろよ、支給されたクロスボウ! 最新モデルの、それも新品だぜ」
「矢も撃ち切れないくらい回ってきたよな!」
正規軍に入った大きなメリットは、装備の充実がひとつあった。
義賊時代は中古の安物でやりくりしていたが、軍に入ってからは良質な武具が回ってくるようになった。
支度は順調に進んでいた。
周囲を見渡してふと思い出したジョンは、隣に居る仲間に話しかけた。
「そう言えばお前んとこの妹、病気はもういいのか?」
「ええ、貰った給料でいい医者に診てもらえたんで、治るまでそんなに時間はかからないらしいっス」
連合国軍の一員となったことで、団員達の待遇は大幅に改善された。
軍から逃げ回りながら、奪った金で細々とやりくりしつつ、それすらも痩せ我慢して貧民に分け与え、結局自分達は野草を食べて食い繋ぐ。
そんな生活とはもうお別れだ。
この団員だけでなく他の”兵士”も、ボロ屋だった家を立て直す目処が立ったり、給料の仕送りで一族が貧困生活から抜け出せたりなど、彼らを取り巻く状況は変わった。
リーダーであるジョンの決断は正しかったと言えるだろう。
「そいつは結構。だがな、『お頭』じゃなくて『隊長』って呼べって言ってんだろ! もう賊だった頃とは違うんだからよ」
「いやぁ、つい昔の癖が出ちゃうんスよね」
「さて、俺も油売ってないで、仕事しますかね……」
そう言いつつ、ジョンは自分の装備の再確認にかかった。
国から支給された備品をチェックしつつ、今もカイザーが居るであろう城に振り向き、目をやる。
(さて、今回の決定は民主的じゃなかったが……どうなりますやら)
急を要する事態で、議会を通している時間が無かったことはジョンも理解している。
そしてこれが長く争った両国が停戦するための、またとないチャンスであることも。
その上で、自ら語った民主主義を貫き通せる人物かどうか、カイザーについて注意深く観察するつもりでいた。
(本当に世の中を変えられる男かどうか、この目で見極めさせて貰う)
まずはこの作戦を指示した判断が正しかったかどうか。
見極めるためにも、ジョンは最善を尽くすべく入念に準備を行うのだった。
To be continued
登場人物紹介
・ジョン
こいつらのエンブレムは黒く塗らねぇのか?
貴様、塗りたいのか?!
もう塗りました。仕事が早い。




