第76話 『特務隊結成 前編』
キラが王族派と合流した頃、アルバトロス連合のカイザーも諜報でロイース王国の内情を知る。
両国の停戦のため、彼が下した決断とは……。
キラが王族派との合流を果たしていたその頃、アルバトロスでは重大な任務を帯びたジョイスが複雑な表情を浮かべていた。
任務内容はただ違和感のないようデートする、というだけなのだが、そのデートのお相手はロイース王国の女スパイである。
カタリナというそのスパイは民間人を装い、将軍職であるジョイスから情報を聞き出そうと近付いてきたのだった。
ヴェロニカの発案でカタリナを泳がせ、逆にロイース側の情報を入手しようと模索するアルバトロス。
そのためにジョイスは、相手がスパイと知った上で以前と変わらないようデートを続けるよう言われていた。
今日も二人でカフェの席につき、偽装デートが行われている。
「大丈夫ですか、ジョイスさん? 顔色が良くないようですけど……」
こうして彼を気にかけるカタリナの態度も、全ては情報を得るための演技だ。
「いえ、最近激務が続いておりまして」
取り繕うジョイスもまた大変だった。
元々公私混同はしない彼のこと、若い娘とデートだからと浮かれて仕事内容を喋ってしまうようなことは無かった。
現在の任務もカタリナから情報を引き出すことではなく、ただ怪しまれないようこれまで通りでいること。
それでも真実を知ってしまった以上は、筆舌に尽くし難い心境である。
かつては春の到来を感じさせる癒やしの時間だったデートが、今や苦悶をポーカーフェイスで取り繕う時間となってしまった。
それでもボロを出さぬよう、ジョイスは上手くやり過ごした。
「じゃあ、また今度。身体には気をつけてくださいね?」
「ええ、はい。ではまた」
カタリナと別れた後、ジョイスはカフェの壁に手をついてうなだれ、深い溜息をつく。
(想像以上に辛いな、これは……)
戦場では無敵と謳われた猛将も、これには参った。
今回の”任務”を終えたジョイスは、重い足取りで気分転換のために酒場へ立ち寄る。
機密事項を部下に漏らすわけにもいかないため、カウンター席で一人で飲んだ。
「お客さん、良くない飲み方してるね」
酒場のマスターは、やけ酒を煽るジョイスに声をかける。
「軍人さんにも色々あるだろうから事情は聞きませんが、以前のあなたはそんな飲み方をする人じゃなかった」
「いかんと、分かってはいるのです。分かっては……」
そう言いつつ、ジョイスは味も分からなくなった安酒を喉に流し込む。
「ならせめて、安酒はやめなされ。こいつは私からの奢りです」
マスターはジョイスのコップを取り上げ、代わりに少量の酒の注がれたグラスを差し出した。
ジョイスが試しに口をつけてみると、甘酸っぱさと少し遅れてくる苦味が、安酒の不味さをさっぱりと洗い流してくれた。
「伝説のカクテル『ヴィットリオ』です。教皇領から仕入れた貴重品ですよ」
その名は彼も聞いたことがある。
教皇領でしか造られていない銘酒をベースに、ライムなどの果汁と少量の香草をブレンドした高級酒だ。
実際に飲むのはこれが初めてとなる。
「かたじけない。気分が晴れました」
こんな時だからこそ、マスターの気遣いが痛み入る。
これ以上安酒で酔うのはよそうと、カクテルの後味を噛み締めながら会計を済ませ、ジョイスは城へと戻った。
「隊長じゃないですか。今日もデートだったんですよね? どうなんです、進展は」
すれ違った兵士は何気なく彼に問いかける。
カタリナの正体がスパイであることは、諜報部含め僅かな者しか知らない機密事項。
ジョイスが偽装デートをさせられているなどと、一般兵士は知る由も無い。
「あー、うむ。進展は……無いな」
困った顔を浮かべながら、歯切れ悪く答えるジョイス。
相手の兵士は照れているのだと勘違いしていたが、彼の困惑は全く違う理由から来るものだ。
それからも何度か部下に声をかけられカタリナについて聞かれたが、ジョイスは茶を濁してやり過ごした。
ようやく自分の執務室へと戻り、深いため息をつく。
「はぁー……」
こんな状態が後何ヶ月続くのか、ジョイスにも見通しが立たない。
まだロウソクに火も灯していない薄暗い部屋に、ノックの音が飛び込む。
「隊長、失礼するっス」
ジョイスが指揮する護衛部隊の副官、ケーニッヒだった。
彼はカタリナの一件を知る人物でもある。
「む、ケーニッヒか。続報は?」
慌ててジョイスは執務室の照明をつけた。
「大丈夫っスか? やつれてきてるっスよ」
心労が祟ってジョイスも痩せてきていた。
片手で顔を覆い、またため息をつくジョイス。
「辛い時間ももう終わりみたいっス。議長閣下が緊急招集をかけるらしいっスよ」
「そうか、分かった。すぐに向かおう」
このタイミングでかかる招集、その意味をジョイスもケーニッヒも理解していた。
ジョイスは副官と共に、重い足取りで会議室へと向かう。
夕暮れ時の会議室にジョイスとケーニッヒが訪れると、カイザーとヴェロニカの他にも何人か武将が集まっていた。
二人の到着を見たカイザーは、何事かと困惑する武将達に向けて口を開く。
「よし、これで全員だな。予定より早いが、内容を話す」
彼はカタリナと名乗る女スパイがジョイスに接触していること、そして帝国時代から悪名高き武将オルソ・ダッツィも国を売ろうとスパイに加担していることを説明した。
続いてヴェロニカが、ジョイス含む全員に対して新たに得られた情報を開示する。
「カタリナとダッツィ、両者からロイース王国の内情がある程度分かりました」
眠たそうな目でジャンクフードをかじるのは相変わらずだが、はっきりとした口調で諜報部から受け取った書類を読み上げる。
ロイース王国は現在、大臣であるジョルジオ・バルバリーゴが掌握しており、国王は不在。
王族は王宮に押し入った賊により皆殺しにされ、代理でジョルジオが政権を握っている、というのが表向きの体裁だ。
実際はジョルジオによるクーデターであり、ロイース王家は大臣の手の者により殺害されている。
そしてつい最近、絶えたと思われていた王家に生存者が居たことが判明した。
第三王女キラ・サン・ロイース。
彼女は王家の象徴である聖剣を携えて国外へと逃れ、今は国を奪還すべく王都を目指していると言う。
ここで王女の名前が引っかかったジョイスが口を挟む。
「閣下、そのキラ・サン・ロイース王女と言うのは……」
それに対し、カイザーはうなずいた。
「ああ、確認も取れた。間違いなく、俺達の知っているあのキラだ」
キラ王女の護衛数人の顔触れも、スパイ経由でカイザーは掴んでいた。
その護衛の中に、女顔の魔法剣士が居る。
名前と聖剣、そしてルークで間違い無いと思われる護衛、ピースはほぼはまった。
「どうやら俺達は、とんでもないロイヤルレディをエスコートしていたらしい」
キラを救おうとするルークへの協力を約束したのも、元々は革命の味方としてルークの方を欲していたからに過ぎない。
まさか記憶喪失の少女の方が後に重要人物になるとは、カイザーもジョイスも思っていなかった。
「続けますと、バルバリーゴはその王女の帰還を阻止すべく、動いているようです」
キラ達は王都まで隠密行動するつもりだが、そのことは既に大臣側に知れている。
権力を握っていたい大臣は、確実に何らかの罠を仕掛けると考えられた。
「その上で、諜報部が予想するシナリオはふたつ。片方は我が国へ亡命、もう片方は『王族派』と呼ばれる貴族同盟との接触です」
ヴェロニカもキラのことはカイザーから聞いて知っていた。
連合国の国家元首であるカイザーと顔見知りならば、彼に助けを求めるのが最適解だと諜報部は読んでいた。
アルバトロス連合へと逃れ、そこで亡命政権を擁立して貰い、兵力を集めて大臣政権下のロイース王国と戦う。
現実的な案ではある。
「本格的に、ロイースと事を構える時が来たようですな」
説明を聞き終えたジョイスがつぶやく。
これまでも大臣政権下のロイースは、アルバトロスへ向けて軍事的挑発を繰り返してきた。
この間などは本格的な首都侵攻作戦を仕掛けてきた程で、油断を許さない情勢にある。
「そうだな。亡命政権を立てる手続きはじきに済む。国境線まで迎えに行ってもいいくらいだ」
カイザーもこの話には乗り気だった。
大国同士での戦争が起きることは避けたい事態だが、上手くキラが王国のトップに返り咲けば諸々の問題が解決できる。
カイザーとキラが知り合いである以前に、亡命政権を擁立したことで恩を売れるためだ。
集まった武将達はキラの受け入れと開戦の準備について話し合ったが、そこへ異議を唱える存在が居た。
「待って頂きたい!」
短い黒髪に、眼鏡の下には鋭い目。
こういう会議の場で話が纏まりそうな時、決まって異論を持ち出すことで有名な武将、サイモンだった。
彼もまた招集され、この緊急会議に出席している。
「ヨハンソン殿、諜報部が示唆する”もうひとつの可能性”、そちらが選ばれることは考えられまいか?」
それに対し、他の武将は嫌な顔を浮かべた。
「またあいつか」
「いつもうるさい男だ」
サイモンはその行動パターンから周囲に煙たがられていたが、それでも自分を曲げることはない。
彼は『十人目の男』という思想に基づいて動いており、十人中九人が口を揃えたら最後の十人目は不本意でも異を唱えなければいけないというものだ。
今回もサイモンは己の信念に従い、待ったをかけた。
参加する武将が彼を毛嫌いする中、サイモンに同調する男が一人。
「いーや、ここは俺もその”可能性”とやらに賭けさせてもらいやすぜ」
義賊上がりの武将、ジョン・ドゥである。
短い金髪に涼し気な顔立ち、そしてどこか人を食ったようなにやけ顔が異色を放つ人物だ。
彼は元々『名無しの義賊団』という盗賊を率いていた長であり、革命に参加したことで正規軍にスカウトされた。
ジョン・ドゥという名も本名ではなく、『名無し』を意味する。
軍に加わってからも本名を名乗ることはなく、周囲からは略して『ジョン』と呼ばれていた。
「取り敢えず、その『王族派』ってのがよく分からないんで、解説して貰えますかねぇ?」
ジョンに聞かれて、ヴェロニカは諜報部の立てたもう片方の予測について話す。
「『王族派』とは、大臣に反発する貴族五家の同盟です。今では領地も兵もほとんど取り上げられ、国境沿いの僻地へ追いやられているようです」
その上でまだ5000程の兵力を有しており、キラが生きていると知れば喜んで協力するであろう勢力であることを付け加えた。
確かにキラに友好的ではあるが、戦力としてあまりに心許ない。
大国であるアルバトロスへ駆け込んだ方が遥かに有利に戦えると言うものだ。
「思った通りだ、考えるに値しない」
「たった5000の兵力でどうするつもりだ?」
武将達は鼻で笑うが、サイモンとジョンは自分の説を曲げなかった。
「亡命すれば確実に戦争になる。それを避けたいと考える可能性は考慮すべきだ」
サイモンに続き、ジョンも口を揃える。
「同意ですぜ。誰だって戦争なんざ望んじゃいないんだ。地元の仲間にすがりつくってことは有り得やすぜ」
サイモンは思想によるものだが、ジョンは民衆の側に立っての意見だった。
義賊として戦ってきた彼は、戦争で一番に犠牲になるのが民間人であることを熟知している。
サイモンの発言に便乗する形を取ったが、戦争を避ける道を模索したいというのがジョンの考えだ。
これにはジョイスやヴェロニカも悩んだ。
可能性として高いのは亡命だが、もしそれでアテが外れたのであれば、王族派の兵と共に玉砕するのを指を咥えて見ていることになってしまう。
このままでは収拾がつかず、また会議が紛糾しそうというところで、カイザーはひとつの決断を下す。
「……よし、両方だ。両方の線で準備を進めよう」
「閣下! 戦力を分散させては……」
武将の一人が反論するが、それを踏まえてカイザーは説明する。
「亡命の受け入れはすぐに兵力が必要なことじゃない。書類手続きを進めながら、いつも通り国境を見張ることになるだろう」
その上で、『王族派』と合流して王都を目指す方が正解だった場合は、すぐに兵が必要になる。
亡命に備える側は準備を整えつつキラを待ち、王都奪還の側はその『王族派』に加勢する部隊を用意する。
片や待ちの姿勢、もう片方は攻めの姿勢、動き方が違うのなら同時並行も可能という考えだった。
「そこで特務部隊を編成する。任務はロイース王国へ潜入し『王族派』とやらと交渉、共闘することだ」
もしキラが亡命を選んだとしても、『王族派』に情報を与えて亡命政権の擁立に加わってもらうことはできる。
無駄にはならないと彼は言う。
「まず、部隊の司令官にクラウス」
「御意」
それまで黙って成り行きを見守っていたが、クラウスもこの場に呼ばれていた。
西方諸国のひとつラスカ領の領主にして、今は連合国の議員であり武将という肩書きを持つ。
彼はラスカの安定と発展のため、自らカイザーの連合国に加盟を表明したのだ。
(まずはロイース貴族との交渉から始めねばならん。これは責任重大よのう……!)
西方の田舎出身のクラウスにとって、大陸東方は未知の領域。
それでも抜擢されたのは、領主を努めた政治力が買われてのことだ。
いきなり敵国の軍隊がやってきて手を組もうと言い出しても、信用してくれるところは無い。
まずは王族派と交渉して派兵を受け入れて貰う必要があった。
「国境の案内役にジョン」
「ま、そういう役目でしたらお任せあれ」
肩をすくめながら、ジョンがクラウスの横に並ぶ。
義賊あがりの彼は隠密行動にうってつけだ。
「参謀にサイモン」
するとそこで、またしてもサイモンは反論した。
「待って頂きたい。これは他国への派兵です。連合議会を通さなくてよろしいのですか?」
彼の主張ももっともで、政治も絡む派兵は軍だけで決めていい事柄ではない。
もし拗れれば最悪、両国間の外交問題になりかねず、慎重な判断が求められる。
「言いたいことは分かる。だがこれは、この場に居る者しか知らない極秘任務だ」
公の場である議会に持ち込むには、取り扱い注意な情報であるとカイザーは断った。
「おまけに、もしキラが王族派と共闘する道を選んだなら、急を要する。議会で話し合っている間に玉砕してしまうぞ」
つまりは間に合わないのだ。
民主政治の弱点として、議論している間に時間が経ち、迅速な判断ができないという点がある。
一度は自分で打ち立てた民主主義だが、敵国との戦争へ秒読み段階に入っている今、国家元首による決断が必要不可欠だった。
「この判断は俺の独断で行うものだ。全責任は俺が負う。今は時間が惜しい、それで納得してくれ」
こういった緊急時も想定し、連合議会のトップにして連合軍最高司令官である議長には権限が与えられている。
無闇に振りかざすべきではないが、必要な時は使わざるを得ない。
「……分かりました」
サイモンはまだ釈然としない様子だが、一応は特務部隊に加わることを承諾した。
「でしたら、所属を隠しましょう」
ここでヴェロニカが発言する。
「特務部隊は表向き、王族派が集めた傭兵――そういうことにしてしまえば、外交問題もなるべく避けられるかと」
この乱世において、傭兵部隊は珍しくない。
仕事に困らないからである。
「そういう口実もあるか。よし、それで行こう。クラウス、構わないな?」
クラウスはカイザーにうなずいて見せた。
「外交上、それがよろしいでしょう」
ようはアルバトロスが国として王族派に与していなければ、外交問題は回避できる。
最悪の場合として王族派が大臣に敗れても、協力していたのは雇われた無所属の傭兵ということでしらを切れる。
「閣下、我々は?」
名前を呼ばれなかったジョイスが問う。
「お前とその部隊は有名過ぎる。所属を隠しての隠密行動には向かない」
カイザーとしては、自分の右腕にして連合軍最強の精鋭をキラにつけてやりたいのは山々だった。
だが傭兵を装う以上、名の知れた武将であるジョイスをこの作戦に充てるわけにはいかない。
「代わりに、亡命の可能性に備えておいてくれ」
「はっ」
こうして、秘密裏に派兵する特務部隊の面子はクラウス、サイモン、ジョンの三名とその部隊に決まった。
特務部隊の司令官に任命されたクラウスに対し、カイザーは念を押す。
「お前の政治手腕も考えに入れての人選だ、頼むぞ。王族派に程々に恩を売って、和平に誘導してくれ」
「ご期待に添えるよう、尽力致します」
群雄割拠の西方諸国を渡っていくには、交渉能力も必要だ。
今回はその政治力も踏まえての人選となる。
(しかし、アルバトロスとロイースは長年の敵国同士と聞く。果たしてそう上手く和平を結べるだろうか?)
キラはともかく、王族派は素直にアルバトロスからの派兵を受け入れないだろうとクラウスは考える。
王族派に恩を売る、という下心は確かにある。
だがその目的が両国の停戦であるとは、すぐには信じて貰えないだろう。
相手の出方に対してどう交渉を進めるべきか、クラウスがシミュレートしている間にカイザーは他二人にも声をかけた。
「サイモン、あらゆる状況を考慮に入れて、クラウスを補佐してくれ。ジョン、お前は国境破りの達人だ。友軍を無事目的地まで導いてくれ」
「はっ」
「了解しやしたよ」
連合軍初の特務隊誕生の瞬間だった。
「残りの者は、亡命政権の樹立に向けて準備だ。ロイース側の動きから目を離すな!」
仮にキラが亡命してきたとして、政権を擁立するかどうかの判断は議会で決めることになる。
場合によっては彼女の期待に応えられないことも考えられるが、カイザーはそうならないよう議員の説得に全力を注ぐつもりでいた。
そして王族派と合流する判断をしたなら、そっちはクラウス達に任せてある。
せっかく手にした敵国との停戦の足掛かり、むざむざ捨てるわけにはいかない。
部下達が慌ただしく動き出し会議室から退室する中、カイザーはジョイスに声をかける。
「ジョイス、辛い役目を負わせてすまなかったな。情報を得るだけ得た。もう我慢する必要は無いぞ」
「私も安心できます」
峠はまだこれからだが、彼にとってはひとつ肩の荷が下りた気分だった。
「ところで、女スパイはどうするおつもりです?」
演技だと分かったとは言え、一度は惚れ込んだ女性カタリナ。
ジョイスは今や”用済み”となった彼女がどう処遇されるのか、聞かずにはいられなかった。
「そうだな、すぐにスパイ容疑で逮捕する。判決は……言わなくても分かるだろう?」
スパイは尋問にかけられた後、縛り首と相場が決まっている。
ジョイスもそれは分かっていたことだった。
「辛いだろうが、今回ばかりは仕方がない」
「ええ、分かっております」
少なくとも偽装デートを続けるよりはマシだろうと、ジョイスも納得した。
彼はもはや気に留める余裕も無くしていたが、カタリナと同時にオルソも逮捕の準備が進んでいる。
キラが味方を見つけたその時、カイザー率いる連合軍もまた新たな動きを見せていた。
To be continued
登場人物紹介
・ジョイス
女スパイのストレスで少し痩せた。多分そのうちハゲる。
名が知れ過ぎてるので今回はお留守番。
・クラウス
黙って会議を聞いてたら突然隊長にされた男。
こっちはそのうち胃潰瘍になりそう。
・サイモン
毎回口を挟む奴。うるさいですね……。
けどそれで正解を言い当てたのであながち無駄じゃないのだ。
・ジョン
義賊から正規軍に大出世。けど言葉遣いが変わらない。
サイモンに便乗したら特務隊に混ぜられてしまった。
口は災いの元ってはっきり分かんだね。




