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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
番外編

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9.充電

ソファに座ってのんびりしていると、隣から視線を感じる。目が合えばサッと逸らされるけれど、こっちを気にしているのは分かってる。


「見慣れない?」

「うん。でも凄く似合ってる。かっこいい」


お互い仕事が夕方に終わったから待ち合わせをして、長かった髪をバッサリ切った。美月も切るか悩んでいたけれど、結局切らずにヘアカラーだけにしたみたい。


「ありがと。美月は随分伸びたね」

「切ろうかと思ったけど、伸ばして欲しいって言う声が多くて……ウィッグとかエクステ付けるか、このまま伸ばせばいいかなとか、悩み中」


短かった髪が随分伸びて、最近更に可愛さが増している。私の方が短くなっちゃったね。

髪型が変わると服装も変わるし、美月の服を借りようかな、なんて思っている。


「悩んでるならまた伸ばしてみたら? 長いのも似合うし」

「うーん、手入れがなぁ……」


1回短くすると楽だもんね。さっきお風呂に入った時に、そういえばこんなに楽だったなって思ったから気持ちはよく分かる。


「まあ、今くらいがちょうどいいのかもね」


髪に触れるとまだ少し湿っている。そろそろ自然乾燥も厳しくなってきたから、今度は私が乾かしてあげる番かな。いつも断られるけど、出来るなら髪だって洗ってあげたい。


「今日撮った写真載せてもいい?」

「いいけど、どれ?」

「この普通のツーショット」


誕生日の投稿でメンバーとのオフショットと併せて美月とのツーショットを載せたら思った以上の反応があった。ほとんどが肯定的で、卒業してからも見たい、という声が多くて安心した。


あまり頻繁には載せていないけれど、今日みたいに一緒に美容室に行った、っていうイベントがあれば載せやすい。


「それならいいよ」

「こっちは?」

「え? ダメに決まってるでしょ?!」


家に帰ってきてから撮ったちょっとお見せできない写真を見せたら、こいつマジか? みたいな目で見てくる。さすがにね、載せないよ。


「冗談だって」

「陽葵ちゃんの事だから面白がって載せそうで……」

「あー、それは否定できない」

「前にキスの動画載せられたし」

「そんなこともあったね」


前に楽屋でメンバーとふざけてて、美月にウザ絡みして頬にキスしたことがあって、凛花が動画を撮ってたから貰ってそのままストーリーに載せちゃったんだよね。


あの時はファンの皆さんの反応が凄かったな。それ以上に美月の反応も凄かったけど。完全に拗ねてしばらく口を聞いてくれなかった。

メンバーもニヤニヤして見てるだけで助けてくれなかったしな……調子に乗った私が悪いんだけれど。


「ガチだって疑われてるんだからダメだからね? 指輪のこともあるし」

「放送いつ頃?」

「多分今週放送だと思う」


放送されたら更に盛り上がるんだろうな、とついにやけてしまって視線が痛い。

握手会の休憩中に悲壮感漂う電話がかかってきた時には何事かと思ったけれど、もう撮られてしまったのだし、どこかのタイミングで堂々と見せてしまえばいいかな、と思っている。


ピアスとかネックレスとか、お揃いのものがそれなりにあることはもう知られているし、遅かれ早かれオフショットとかでファンの方は気づくだろうな、と思っていたから想定内ではある。そうじゃなかったらオフの時につけて、なんて言わないしね。


「放送されたら少し騒がしくなるかもね。メンバーだと美南ちゃんとか望実ちゃん辺り」

「あー、間違いない。この前のデビューイベントの時も美南ちゃんのテンションが凄かったもん」

「何かあったっけ?」


デビューイベントの時には特に美南ちゃんが喜ぶようなことはなかったと思うけどな……


「靴間違えたかもって送ってきた時、ちょうど写真見せてたんだよね」

「あれか。もうどっちがどっちだか分からなくなったわ」

「紐交換を同時にするからじゃん」


気分で交換出来るように、と靴紐を何本か買ったのだけれど、どうせなら美月の分も交換しちゃおうと思って2足同時に交換したから、その時点でどっちか怪しかったんだよね。


「だって一気に交換したかったんだもんー」

「はは、かわい!」


いやいや、可愛いのは美月でしょ。そんなに無邪気に笑っちゃってさ。


「みつきたん、そろそろ寝よー?」

「あれ、陽葵ちゃんが好きな番組始まるけど見ないの?」

「うん。録画したー」


家にいる時は必ず見てるけど、今日は、ね。ツアー前にゆっくり出来るのは今日が最後だし、しかも明日の仕事は2人ともお昼から。これはもうイチャイチャするしかないよね?


「もうツアー始まるからしばらくすれ違いになるじゃん。充電しておこうかなって」

「充電……」


サッと赤くなるのが可愛くてにやける。今悪い顔してるんだろうなって自覚があるわ。


「あ、想像した?」

「してませんー!!」

「顔赤いのはなんでかなー?」

「さー? あ、投稿まだしてなかった」


顔を覗き込むとサッと背中を向けてスマホをいじり出す。わざとらしすぎ。


「私も投稿しちゃお」


さっき選んだ写真を投稿し終わっても、美月はまだ背中を向けている。まだかなー

……長くない?


「ねー、みつきたんまだー?」

「うん。まだ」

「あとどれ位?」


集中してるのか全く相手をしてくれない。寂しい。


「ねー、聞いてるー?」

「はいはい、待っててね」

「みつきたんが構ってくれないー!」


背中に抱きついてみても軽くあしらわれるし。ちょっといたずらしちゃお。


「ははっ、くすぐったい……! ちょ、撫でないでっ!」


首筋に顔を埋めてお腹に回した手を服の中に入れて撫でればビクッとした。


「ふぁっ?! やっ……ちょっとやめ……っ」


そんなに反応されたらやめられないよね。首に舌を這わせつつ脇腹を撫でればいい反応をしてくれて楽しくなってくる。


「みつき、まだ?」

「……っ、その声やめて?!」


あえて低めの声で聞いてみればバッと耳を押さえてそわそわしている。ドキドキしてくれてるかな?


「ここでシちゃうよー?」

「終わった! 終わったから!!」

「なんだ。残念」

「残念?!」


いい所だったのになー。まだ時間はたっぷりあるし、この辺にしておきますか。


「さて、寝る準備しよ」


美月から離れて立ち上がるとホッとしたような顔をしている。本当にここで襲われると思ったのかな?



「うーん、見慣れない」

「陽葵ちゃんはずっと長かったから余計だよね。コメント凄いんじゃない?」

「どうだろ? 終わったら見てみる」


並んで歯磨きをしながら、鏡に映った自分を見て違和感が凄い。

歯磨きを終えて、ストレッチをしてからベッドに寝転んで投稿を読んでいく。


「30cmくらい切ったんですか? だって」

「どれくらいかな? でももう少し切ってるかもね」

「イケメンすぎだって。ほんとそれ。」

「美月が気に入ってくれて良かった」


無意識なのか、うっとり見つめてくるからかなり気に入ってくれているんだと思う。どんな反応をしてくれるのか、この後が楽しみ。


スマホを枕元に置いて、ベッドに腰掛けている美月じっと見つめる。私の視線は感じているはずなのにスマホから視線を外さない。相変わらず綺麗な横顔を見ながら、早く啼かせたいな、なんて考えてるって知られたらまた変態って言われるんだろうな。


「みつき。もういい?」

「えっ、コメント見ないの?」

「後でじっくり読むよ」


さすがにもう知らんぷりは出来なかったのか、スマホを枕元に置いてこっちを向いてくれた。


「やっとこっち向いてくれた。ここおいで」

「うん」


横に寝転んだ美月をぎゅっと抱きしめると凄く満たされた気持ちになる。抵抗なく腕の中に収まってくれた美月が可愛くて仕方ない。


「可愛い。しばらくすれ違い生活になるね」

「うん。お互い頑張ろうね」

「夜騒ぎすぎて寝坊しないようにね?」

「気をつける」


グループの時はツアーだと相部屋だったり、誰かの部屋に集まったりとわいわい騒いでいて寝るのが遅くなるなんてしょっちゅうだったし。もちろん次の日に影響を出すようなメンバーはいないけれど。


美月は朝が弱いし、起こしてあげられないから心配。凛花とかが相部屋だと安心なんだけどな。

メンバーと過ごす時間が増えるし、投稿とか見て嫉妬しないようにしないとな……きっと沢山の写真や動画が目に入るだろうから。


しばらく抱きしめたまま、触れるだけのキスをしたり服の上から背中を撫でたりしていたらくすぐったいのかくすくす笑っていて、堪らず組み敷けば髪に触れてきて柔らかく笑ってくれる。


「んっ、……はぁ……んんっ……くるし……」


キスを深くしていけば、目に涙をためて肩で息をしている美月に煽られる。


「うわ、えろ……」

「……っ!! それは陽葵ちゃんでしょ?!」

「ふふ、そんな照れなくても。もっと見せて?」

「もー、変態っ!!」

「みつきたんはそんな変態が好きなんだもんねー?」

「知らないっ!!」


反応が可愛くてついいじめたくなっちゃう。進めるうちにどんどん余裕がなくなってくるのがもう……ね。


「かわい。ほら、こっち向いて?」

「いーやー」

「なにそれかわいい」


つーん、とそっぽを向いてるけど笑ってる。そろそろ本格的に攻め始めようかな。


「わ?! ちょっと、はやっ……」

「油断してるからですー」


Tシャツを捲りあげて素肌に触れればびっくりしたような声があがるけれど、抵抗してこないし嫌じゃないでしょ?



そのまま寝てしまって、目を覚ますと美月の綺麗な背中が目に入る。下着の少し上なら背中が開いている衣装でも見える心配はないから平気かな、とキスマークを付けると、薄くつけるつもりが思った以上に濃くなってしまった。

……まあ、背中なら見えないし平気だよね。黙っとこ。


まだ起きる時間には早いからもう1回寝ようと背中に抱きつけばすべすべで気持ちいい。全く起きる様子がないから悪戯心が疼くけれど、朝から手を出したら怒られるだろうしぐっと我慢。


せっかくゆっくり出来る朝に怒らせるなんて勿体ないしね。1日オフの日に、とまだ決まってもいないオフを想像してニヤニヤしてしまう。ツアーが終われば少し余裕もできるし、のんびり旅行にでも行けたらいいな。

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