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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
番外編

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4.ソロデビュー

ついに陽葵ちゃんのソロデビューの日がやってきた。これからデビューシングルの発売記念イベントが行われるから、メンバーと一緒に配信を楽屋で見ている。ちょうど休憩中で良かった。


出来ることなら行きたかったけれど、残念ながら今日も仕事。陽葵ちゃんは朝から緊張してそわそわしていたけれど、ステージに立てばそんなことは微塵も感じさせないんだろうな。

昔より弱音を吐いてくれたり、緊張した姿を見せてくれるようになって嬉しい。


「あ、陽葵さん出てきた!」

「陽葵さーん!!」

「なんか動いてる陽葵さん久しぶり!」

「更に美人になってない?」


楽屋にいるメンバーの盛り上がりがすごい。慕われているのがよく分かる。


『皆さんこんにちはー! 工藤陽葵です。本日はデビューシングル発売記念イベントにお越しくださりありがとうございます! なんだか見慣れた顔が沢山で正直ほっとしています』


アイドル時代のファンが沢山いるみたいで嬉しそうな笑顔を見せている。


『今日は、アイドル時代の私をご存知の方も、初めて知った方も楽しんで頂けたら嬉しいです。皆さん準備はよろしいですかー?!』

『『いえーい!!』』

『ありがとうございます! 今日は2曲歌わせていただきます!』


会場の盛り上がりも凄い。早速歌うみたいで、バンドメンバーの皆さんと音を合わせている。なんだかかっこいい……


「生バンド……」

「うわ、かっこいい!!」

「同じグループにいたんだもん、すごいよね?!」


『それでは聞いてください、デビューシングルで××』


事前に聞かせてもらっていたけれど、歌詞もメロディーも凄く好み。陽葵ちゃんの歌声が心地よくて聞き惚れてしまう。


『ありがとうございます。なんだかこうして皆さんの前で歌わせてもらうのが卒コン以来で。ちょっと声が震えてましたかね……大丈夫でした?』

『ちょっとだけ』

『うわ、やっぱり。これでも緊張してるんですよ』

『そうは見えないから大丈夫』


バンドメンバーの方達を振り返って和やかにトークをしている。これから会う機会が多いだろうから、と実は私も会わせてもらったのだけれど、皆さん暖かくて優しい方達だった。


「なんか遠い人になっちゃったみたい」

「うん。ちょっと寂しい」


こうやってグループから居なくなったことを突きつけられると寂しい気持ちになるよね。ちょっと楽屋がしんみりしてしまった。


『さて、続けてカップリング曲も聞いて頂きたいと思います』


カップリング曲も凄く良くて、シングルじゃないの? って思ったくらい。陽葵ちゃんも作詞を始めているみたいで、そのうち陽葵ちゃんが作詞をした曲の発売もされると思うと楽しみ。


『カップリング曲も聞いていただきましたが、いかがでしたかー? わ、アンコール? ありがとうございます! もう少し時間大丈夫ですかね? ……あと1曲なら? はい。皆さん、何か歌って欲しい曲とかありますか?』


もっと聞きたい、という会場の声が大きくて、スタッフさんに確認をして、急遽もう一曲歌うみたい。いきなりで合わせられるのかな?


『何となく希望が多そうだった、私の大切で、大好きなグループでのラストシングルを歌わせていただこうと思います! あ、聞いてなかったですが……大丈夫ですよね?』

『もはや確定事項』

『陽葵ちゃんからの圧』

『信頼が重い』

『え、なんか冷たい。この前ちょうどやったからいいかなって……!』


陽葵ちゃんの問いかけにバンドメンバーの皆さんが笑いながらからかっていて、会場からも笑いが起きている。

結成されてから日が浅いとは思えないくらいチームが出来上がっていて、改めてコミュニケーション能力が高いなって尊敬する。


『では、最後の曲です。聞いてください』


ラストシングルを陽葵ちゃんが1人で歌うと、グループとはまた違った良さがある。ソロ曲の希望も多かったのに、グループの曲を選んでくれたのがなんだか嬉しい。


「大切だって」

「うん。嬉しい……!」

「私も大好きですー!」


さっきは寂しがっていたメンバーも、陽葵ちゃんの言葉に明るい雰囲気が戻ってほっとする。私は陽葵ちゃんと会えてるし、かけてあげられる言葉が見つからなかったから。


『お聞きいただきありがとうございましたー! 改めまして、工藤陽葵です。遂にデビューシングルの発売ということで、またこうして皆さんの前で歌うことが出来て嬉しく思っています。うちわやボードも沢山持ってくださってありがとうございます。今日は嬉しいお知らせがありまして……ツアーが決定しました!!』

『『おおー!』』


もうツアーに向けた打ち合わせは進んでいるみたいで、また忙しく動いている。見に行けたらいいな。


『今後も皆さんを笑顔に出来るように、全力で頑張りますので応援頂けたら嬉しいです。配信の皆さんはここまでになってしまいますが、見てくださってありがとうございました。皆さんに会える日を楽しみにしています! 会場の皆さんで整理券をお持ちの方はこの後のお渡し会までしばらくお待ちください。それでは、本日はありがとうございました!』


配信が終わって、楽屋はさっきの陽葵ちゃんの配信の話で盛り上がっている。


「美月、陽葵さんからCDもらったのー?」

「ううん。いる? って聞かれた時にはもう注文してたから貰ってない」


柚がニヤニヤしつつ聞いてくるけれど、もう注文済み。今日帰ったら届いてるといいな。


「なんか美月らしい。私も買ったから、今度会ったらサイン貰お!」

「え、サイン? 私も欲しいです!」


柚の声に何人かが反応して、いつ会えるか分からないから常にCDケースを持ち歩く、なんてメンバーもいる。可愛いな。

預かってもいいのだけれど、一緒に住んでいることは一部のメンバーしか知らないし、住んでいることは隠すにしても、よく会っているって知られるのもなんだか恥ずかしいよね……


「美月さん、写真投稿してくださいよー」

「陽葵ちゃんとの?」

「そうです! いつ来るかなって待ってるんですけど……!!」


確かに、最近ツーショットは載せていない。毎日一緒にいると何を載せればいいのか分からなくて……

仕事で会ったり、泊まった日とかなら載せやすかったけれど、今は何かがあってっていうわけじゃないしね……


「なんなら今見る?」

「えっ?! いいんですか?!」

「私も見たいです!」

「見せてください!」


気軽に言っちゃったけれど、近くのメンバーも集まってきて、反響がありすぎてちょっと焦る。


「わ、みんなも? ちょっと待ってね」


見られたらまずいやつもあるし、最近の大丈夫そうなやつだけフォルダ分けしようと写真を見るけれど、もはやどの写真なら大丈夫なのかが分からない。

全体的に距離が近いしな……まあ、今までも投稿してるようなやつなら大丈夫かな。


「はい。ここ置くね」


分けた写真をざっと確認してスマホをテーブルに置く。


「あー、もう、可愛い!!」

「なにこれ? え、何? 可愛い!」

「はぁ……尊い……」

「え、この写真の陽葵さんの彼女感……!!」


わいわい盛り上がっているのをそばで見ているのもなんだか恥ずかしいな……


「わっ?!」

「うわ、すみません!」

「え、どうしたの?」


あれ、なんかやばいやつ混ざってた……?


「陽葵さんからメッセージが来て、見えちゃって……」

「なんだろ? ごめんね、ちょっといい?」


スマホを受け取ると何通かに分けてメッセージが来ていた。


陽葵ちゃん

みつきたんおつかれー! 

ミニライブ最高だった! 13:13


ごめん、今気づいたけど靴間違えて履いてきた 13:14


あれ、私のであってるかも 13:14


メッセージを見れば、1人で完結していて思わず笑ってしまった。多分お揃いの靴のことだよね。サイズも同じだし、紐だけ変えたけれどどっちだかよく見ずに履いたんだろうな。別にどっちを履いたっていいけど。


「ふふ、……えっと、続き見る?」


思わず笑ってしまって返信をすればメンバーからじっと見られていてちょっと気まずい。


「写真も見たいですが今は靴が気になります……!」

「え、そう?」


美南ちゃんがキラキラした目で見てくるけど、そんなに?


「お揃いいくつあるんですか?!」

「……そんなにないよ」


靴、洋服、ピアス、ネックレスくらいかな? 多分。


「秘密ってことですね……!」

「あ、そうなるんだ……」


美南ちゃんはもう放っておこう。そろそろ休憩も終わるし、準備を始めようと思ったところで打ち合わせに行っていた望実ちゃんが戻ってきた。


「そろそろ休憩も終わるので各自準備お願いしまーす」


今までは陽葵ちゃんがいれば陽葵ちゃんが、居なければ他の1期生が仕切ってくれていたけれど、今は望実ちゃんが仕切ってくれている。


「よしっ、頑張りましょう!!」

「美南テンション高くない……?」

「久しぶりに陽葵さんと美月さんのイチャイチャを供給してもらって」

「え、何それずるい!!」


グループの雰囲気も変わらずいいし、近々この前あったオーディションに受かった新メンバーも入ってくるからまた活性化されると思う。

陽葵ちゃんの活躍に負けないように、私も頑張らなきゃね。

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黒狼と銀狼
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