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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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46/99

46.決断

今日は年明け最初の美月が泊まりに来る日で、私の方が帰りが早かったから先にお風呂を済ませて、キッチンに立っている。

もうすぐ着く、と連絡があったから早く来ないかな、と待ち遠しく思う反面、話したいことがあるから緊張もしている。


仕事終わりに、運営の方に時間を貰ってずっと考えていた卒業の意志を伝えてきた。卒業後の事はこれから話し合うことになるのだろうと思っていたけれど、有難いことにソロデビューの話を進めてくださっていたようで、卒業後も事務所はそのままに音楽活動を続けられることになった。

いつかはソロデビューをしたいと思っていたから、こんなに早くチャンスを頂けるなんて嬉しい。ファンの方にも、アイドルを終えても応援したいと思って貰えるように頑張らないと。


美月には卒業を決めたことを発表前に知っておいて欲しいけれど、どんな反応が返ってくるかが正直怖い。泣かせちゃうかな、とか卒業後もそばに居てくれるかな、と自分で決めたことなのに不安は尽きない。


いつ話そうかな、と考えながらご飯の支度をしていると、鍵の開く音がして美月が帰ってきた。


「わ、いい匂い」

「おかえり」

「ただいま。アイス買ってきたよー」

「やった。ありがとう!」


何時になっても、すんなりただいまって言ってくれる事とか、確認なく冷凍庫を開けたりとか、そんな日常が嬉しい。アイスを冷凍庫にしまって手を洗っている美月をじっと眺めてしまう。


「何か出来ることある?」

「ありがと。座ってていいよ?」

「んー、それなら見てようかな」


ゆっくりしててくれていいのに、ここに居てくれるんだ。


「あれ? もしかしてもうお風呂入った? すっぴんだし髪が少し濡れてる」

「入ったー。髪はこれくらいならすぐ乾くよ」


隣に立って、確かにすぐに乾くかな、なんて言いながら私の髪を手に絡ませて遊んでいる。

少しすると満足したのか、ちょっと離れてじっと見てくる。そんなに見られるとなんか照れるな……


「陽葵ちゃんこんなエプロン持ってたっけ? 新しいやつ?」

「あ、気づいてくれた。似合うー?」

「うん。可愛い」


どう? って見つめてみれば照れたように頷いてくれて、ちょっと可愛すぎるデザインかなって思ったけど買ってよかった。


「今度は美月がつけて?」

「え、やだよ」


絶対似合うと思うんだけどな。嫌って言ってても、なんだかんだお願いしたらつけてくれるんでしょ?

ご飯が出来上がったからテーブルに並べて、隣り合わせに座る。


「いただきます。美味しいー!」


帰りになにか買ってこようかなと思ったけれど、美味しいって食べてくれて、作ってよかったな。


「陽葵ちゃんって料理上手いよね」

「そうかな? 美月の方が上手いと思うけど」


美月の作るご飯はどれも美味しいし、料理の手際もいい。


「普段も作ったらいいのに」

「1人の時にはしないかなー。美月がいる時なら良いけど」


自分のために作ろうとは思わないけれど、美味しいって食べてくれる人が居ればやる気も出るよね。


「ご馳走様でした。片付けは私やるね」

「ありがとう。じゃあお風呂の用意してくるわ」


片付けを率先して受け持ってくれたから、お風呂の用意をしに行く。美月だけならにごり湯じゃなくてもいいかな、と普段使っていない方の入浴剤を入れる。


「美月、お風呂の用意終わったよ。替わるからゆっくり入ってきて」

「ありがとう。行ってきまーす」


少し残っていた洗い物を終えて、ソファに座る。何か見ようかな、と思ったけれど内容が頭に入ってこない気がしてやめた。お風呂から戻ってきたら話そうかな、と今から緊張する……変な態度になってなかったよね?


「出たよー。あれ、眠くなっちゃった? もう寝る?」

「わ、美月出たの? ううん、眠くない」


目をつぶっていたら眠いと思われたみたいだけれど、まだ話もしていないし寝られない。


「美月、髪乾かしてもいい?」

「すぐ乾くよ」

「私がやりたいからいいの」


ドライヤーを取りに行って、ソファに座って大人しく待っていた美月の髪を乾かす。すぐに乾いて、ふわふわな手触りを楽しんでいたら擽ったそうに首をすくめて、くすくす笑っている。無防備すぎるでしょ……


「はい、終わり」

「ありがと」


触れたくなる気持ちを抑えて、ドライヤーを戻しに行く。そういえば、アイスを買ってきてくれていたな、と冷凍庫から取り出すと、どれも私が好きな味で嬉しくなる。


「美月、アイス食べる?」

「食べるー」


アイスを持って美月の隣に座って、テーブルに2つ並べたアイスの写真を撮ってから片方を美月に渡す。


「そっちも食べたいから半分こしよ?」

「ふふ、いいよ」


言うと思った、なんて笑われてちょっと悔しい。


「美月、そのままこっち向いて?」

「ん?」


何? とこっちを向いた所で写真を撮る。きょとんとした顔が可愛い。


「可愛い。え、可愛すぎない?」

「なにそれ? 可愛いのは陽葵ちゃんでしょ」

「今度は横向いて?」

「横? なんで?」


なんで? と言いながらも素直に従ってくれるから色々と要求してしまった。写真が増えて満足。


「私も撮りたい! 交代」


今度は美月が撮ってくれたけれど、私が撮った以上に撮られた気がする……美月が満足そうだからいいけれど。


「2人でも撮ろ?」

「うん。でもすっぴんだし載せないでね?」


もう今更だと思うんだけどなー。ダメって言うなら載せないけどね。

載せるのはさっき撮ったアイスの写真にしよう。なんで2個? って盛り上がってくれるかな、なんて。


「ご馳走様。買ってきてくれてありがと」

「いいえ。喜んでくれてよかった」


しばらくのんびりして、お互いSNSを更新する。さて、どうやって切り出そうかな……

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★新作もよろしくお願い致します★
黒狼と銀狼
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