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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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43/99

43.年明け

「5、4、3、2、1……あけましておめでとうー!!」

「おめでとうー」

「おめでとうございます!」


メンバー皆でカウントダウンをして、年が明けた。美月を見ればちょうど目が合って、目を細めて笑ってくれる。今年も一緒に過ごすことが出来て嬉しい。


可愛すぎる萌え台詞も聞けて、思い出すだけで頬が緩む。でもいい事ばかりじゃなくて、さっきは目の前でポッキーゲームを見せつけられたけれど……まさかあんな罰ゲームになるとは想像もしていなかった。私だってやったことないのに。


この後は歌番組に出演させて頂くことになっているから、レッスン場を出てバスに向かう。バス移動の時は大抵1期生と2期生が後ろに座っていて、みんなが気を使ってくれているのか、美月と仲良くなりだしてからは隣に座ることが多い。

不自然に空いてるから最初は避けられてるのかと思って、通路を挟んで隣に座った凛花になんでそっち行くの?? って聞いたら、隣は美月じゃないの? って不思議そうに聞かれたのが懐かしい。


「美月、こっち」


今日も私の隣は空いていて、後から来た美月の手を引いて隣に座らせた。今日もいいのかな、と周りの様子を伺う美月が可愛い。

周りにメンバーは居るけれど、ちょっとくらいイチャイチャしてくれるかな?


「バス乾燥するなー」

「飴あるけど食べる?」

「食べる」


美月がリュックから飴を取りだして渡してくれようとするから、黙って口を開けてじーっと見つめてみれば、仕方ないなー。なんて言いながらも袋を開けて口に入れてくれる。唇に指が触れてついニヤニヤしてしまった。

美月はバスの中で油断しているのか、誰にも見られていないって思ってるのかな。周りからばっちり見られてたのは言わないでおこう。


「みつきたん、はい」

「え? 持ってきたの?!」


余ったポッキーを貰ってきたから、どんな反応をするかなと思って渡してみた。


「うん。いっぱい余ってたから貰ってきた。ポッキーゲームしよ?」

「しませーん」

「なんで?」


美南ちゃんとはあんなにあっさりやってたのに。


「さっきはすんなりやってたじゃん」


思い出してムッとしてしまったら、聞き逃しそうなくらいの小さな声が聞こえた。


「陽葵ちゃん絶対キスしてくるでしょ……恥ずかしいし、皆に見られるとか無理」


それは否定できない……もちろんキスしたいし。あとは恥ずかしがる美月を見たい。


「見られなかったらいいの? 家でならいい?」

「え……1回だけね」


期待した目で見つめてみたら、目を逸らしつつ了承してくれた。言ったね?? 後でやってもらおう。


「ふふ、やった。ポッキー1本ちょーだい」

「……はい」


差し出してくれたポッキーを口で受け取ると、慌てて手を離した。


「想像した?」

「してない」


こっちを向かずにポッキーを食べ続けていて、素直じゃなくてほんと可愛い。


「あ、全部食べないでよ??」

「最後の1本でーす。……あっ?!」

「もーらいっ」


にやっと笑いながら最後の1本を食べようとしたから、ポッキーを持つ手を掴んで口元に持ってきて、半分折って奪い取った。


「わ、半分以上取られたっ」

「ん?」

「いい、いい!」


半分になったポッキーをくわえたまま、いる? と顔を近づけてみたらあわあわしちゃうから、ますますからかいたくなる。


「ねえ、バスの中ってこと覚えてる? 揃うとすぐイチャイチャするんだから」


ニヤニヤしていたら後ろの席に座っていた凛花が呆れたように言ってくる。仲悪いよりはいいでしょ?


「してません!」

「いや、誰が見てもしてた……周り見てみな?」


美月が身を乗り出して通路を覗くと、近くの席のメンバーの生暖かい視線に耐えかねたのか直ぐに戻ってきた。隠れたいのか、私にぴったりくっついてきていてますますニヤケが止まらない。無意識にこういう事をしてくるから堪らないんだよね。


しばらくメンバーとわいわい盛り上がっていたけれど、スタジオが近づくと、自然と空気が引き締まる。

時間の都合で出られないメンバーの分もしっかり頑張ってこよう。


楽屋に入って、各自衣装に着替えてメイクを直す。

出番までの間に一人一人に体調や心配事がないかを確認したけれど、緊張はしていても皆楽しそうだし、問題なさそうかな。


「さて、皆準備はいい? きっと家で見てくれているであろうメンバーの分も、最高のステージにしましょう!」

「中学生メンバーは何人か寝てるんじゃない?」

「寝てそー!」

「いつも22時とかには寝てるって言ってましたもんね?」


楽屋を出る前にメンバーに声をかけると、ツッコミが入った。あ、いつもそれくらいなんだ。中学生だもんしっかり睡眠取らなきゃね。


「そっか……寝てるかもしれないメンバーの分も、思いっきり楽しんでいきましょう!」


言い換えると、メンバーの笑い声が響く。生放送前だけれど、リラックスしていていい雰囲気。


スタンバイ中、皆を見回してみると力強い視線が返ってきて頼もしく感じる。


今自分たちに出来る全力を出し切って、最高のパフォーマンスができたと思う。

今は私がセンターになることが多いけれど、誰がセンターになっても充分やれるなって思えて嬉しくなった。


出番を終えて楽屋に戻ってスマホを見ると、メンバー全員のグループトークに高校生メンバーだけじゃなくて中学生メンバーからもメッセージが来ていて、頑張って起きててくれたみたい。次の生放送は全員で出られたらいいな。


「陽葵ちゃん、今平気? 皆が写真撮ろうって」

「平気。みつきたん、わざわざ迎えに来てくれたの??」


返信をしていたら、美月が傍に来て声をかけてくれる。呼んでくれたらいいのに、迎えに来てくれるなんて優しい。

嬉しくなって抱きついたら、目を細めて笑って、今年も甘えただね? なんて言いながら抱き締め返してくれた。


「え、イケメン。なんか機嫌いい?」

「そうかな? さっきまでのかっこよく歌って踊る陽葵ちゃんとのギャップが可愛いなって思って」


急にそんな事を言ってくるからびっくりする。聞こえてないとは思うけれど、メンバーが居るのに珍しい。いつも通りクールに見えるけれど、実は生放送後と深夜でテンションが上がってる?


「ギャップ萌えってやつ?」

「そうそれ」


優しい目で見つめてくれて、何だか照れる。


「ちょっとー、迎えに行ったんじゃなかったの??」

「イチャイチャしてないでこっち来てー」


呼ばれたから行かなきゃな、と渋々離れると残念そうなのが伝わったのか、また後でね? と優しく笑いながら頭をぽんぽんされて甘々な美月にドキドキする。


「陽葵ちゃん、前行って」


真ん中のスペースを空けてくれたから入れてもらって、後ろに立つ美月をちら、と振り返って腕を引く。


「ん?」

「さっき後でねって言ってたよね?」


こんなにすぐのことを言っていたわけじゃないだろうけれど、後ろから抱きしめてくれないかな、なんて期待しつつ見続けてみる。

さっきと同じように優しく笑って、お腹に手を回してぎゅっと抱きしめてくれるから、まだ甘々な美月は継続中みたいで嬉しい。


「生放送終わりましたー! 見てくれましたかー?」

「わ、動画!!」

「写真じゃないんですか?!」

「あけましておめでとうございまーす」


いつから動画だったのか分からないけれど、すぐに動画用に騒ぎ出すメンバーはさすがの対応力。


「今度こそ写真撮りますねー!」

「はーい」


抱きしめてもらったまま写真を撮り終えて、着替えて帰り支度を始める。


「はー、もう2時過ぎか……これから帰ってからだとそんなに寝れないね」

「美月、ちゃんと起きれる?」

「うーん、もう起きてた方が確実な気がする」

「ちゃんと寝て?」


私も美月も朝から別の仕事が入っていて、同じ仕事ならこのまま一緒に帰って起こしてあげられるのにな、と残念に思うけれど仕方がない。


「さて、帰りますか。じゃ、また午後にね。気をつけて」

「うん。陽葵ちゃんも気をつけて。おやすみ」


今日の午後からは番組の収録で初詣に行くからまたすぐに会えるのに、別々の家に帰るのが寂しいなんて重いかな。言ったらどんな反応をしてくれるかな、とちょっと気になったけれど、可愛いことを言われたらもっと離れ難くなっちゃうから、言うのはやめておこう。

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