表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/99

37.デート

腕を引かれる感覚がして目が覚めた。横を見れば美月が私の腕に抱きついて眠っていて、無意識の行動と幼い寝顔にどうしようもなく幸せな気持ちになる。元々泊まりの予定じゃなかったから、美月を呼んでくれた凛花に感謝だな。


美月の寝顔を眺めながら、昨日のことを思い浮かべる。私が配信で1期生の皆と集まりたいと言ったことをファンの方が卒業メンバーのSNSにコメントをしたらしく、収録を終えてスマホを見ると、1期生のグループトークの通知が凄いことになっていた。

私も空いている日を返信して、あっという間に会えるメンバーだけで集まることが決まった。美月に話したら行動の早さに驚いていた。


1期生は人数が多いし、既に家庭があるメンバーもいるから全員で集まる事は難しいけれど、メッセージのやり取りは良くするし、辛い時を乗り越えてきた絆があるというか、卒業しても変わらない関係が続いている。

美月と付き合っていることはみんな知っているから色々と聞き出されたし、みんなして遠慮が無さすぎる……次の日美月とデートだからあまり飲まないと言ったら、二日酔いになっても看病してもらえるね、とどんどん飲ませてくるし。酷くない?? まあ、全然断れる仲だし、飲まなきゃ良かっただけなんだけれど。


なんだかんだ楽しくて飲みすぎてしまって、気づいたら寝ていたみたい。酒癖は悪くないと思っているけれど、美月が心配するから外ではそんなに飲まないように気をつけている。

起きたら美月が居て、嬉しくていつもみたいに甘えてしまった。卒業した1期生も居るし嫌がるかな、とちょっと心配になったけれど、拒否せず受け入れてくれてホッとしたのは内緒。


気持ちよさそうに眠っているし、ゆっくり寝かせてあげたいけれど、早く目を開けて私を映してほしいとも思う。無性に触れたくなって、美月の頬を撫でていたら薄らと目を開けた。


「んー、ひまりちゃん?」

「うん。ごめん、起こしたね」


私を認識して、気の抜けた顔で笑う美月を見られるこの瞬間が大好きで、毎回愛しいなって思う。

抱きついたまま擦り寄ってくるから、ぼんやりとした寝起きの美月をしばらく堪能した。

普段もこれくらい甘えてくれていいんだけどな。でもこんな美月は私だけのものにしておきたい気持ちもあるし、ツンな美月も可愛くて好きだから悩ましい。これも毎回思っている気がする。


「……おはよ。体調は?」


目が覚めたみたいで、照れくさそうに抱きついていた腕を離して、視線を逸らして聞いてくる。照れちゃって可愛い。寝起きのぼんやりした姿も可愛いし、目が覚めた時の恥ずかしそうな姿も最高に可愛い。彼女が可愛すぎて辛い。


「おはよう。もうすっかり。来てくれてありがとね?」

「ううん。会いたいって思ってくれてて嬉しかった」

「美月は? 会いたいって思ってくれた?」


どう答えるかなってわくわくしながら見つめると、じわじわ赤くなって、手のひらで顔を覆った。言葉には出来なくても、もうそれが答えだよね。


「かわいい。やばい。すき」

「ふふ、語彙力」


くすくす笑いながらベッドでごろごろして、ずっとこのままのんびりするのもいいけれど、せっかくのオフだしそろそろ起きようかな。


「美月、おいで?」

「え、自分で起きられるよ」


先にベッドから降りて手を差し出すと、口ではそんなことを言いつつしっかり握ってくれた。ベッドから降りた美月をぎゅっと抱きしめて、手を繋いだまま寝室から出る。


「今日は予定通り映画でいい?」

「うん。ポップコーン食べよー」


そっちがメインなの? なんて笑われたけれど、必要だよね?

朝ごはんを食べるには微妙な時間だから、少し早めにお昼を食べることにして出かける準備をする。デートなんて久しぶりでなんだかそわそわする。


「美月、何着るのー?」


洋服を選びながら聞いてみればパーカーかな、と返事が来たけれど、家に置いてあるのはほとんどパーカーだもんそうなるよね。 私も美月に貰ったパーカーにしようかな。


「あ、それ着てくれるの?」


私が手に取ったパーカーを見て、嬉しそうに笑ってくれた。


「美月はこっちに置いてたっけ?」

「どうだったかな……あー、家だ。せめて色だけでも合わせようかな。陽葵ちゃんと色だけお揃い」


そう言って私のと同じ色のパーカーを取り出して、無邪気に笑っている。こういう時は照れないんだもん、ずるい。


映画を見ながらポップコーンを食べる予定だからお昼は軽めに済ませて、映画館に向かう。クリスマスツリーを見つけたけれど、人が沢山集まっていたから遠目から見るだけで写真は撮らなかった。クリスマスに仕事が入っているのがちょっと残念。仕事は好きだし、メンバーと一緒に過ごすのが嫌って訳じゃないけれど。


平日の昼間なこともあって映画館は比較的空いていて、少しくらいイチャイチャしても暗いしバレないんじゃないかなって思わずにやけてしまう。

試しにポップコーンを美月の口元に差し出してみたら、周りを気にする仕草をしたけれど、そのまま待ってみたら食べてくれた。こっちを見ないあたりが照れてるのかなって思うと可愛い。

何度も食べさせようとしたからか、美月から手を繋いできて、不意のデレに正直映画どころじゃない。


スクリーンを見つめる横顔が綺麗で、映画よりも美月を見ている時間の方が長かった気がする。内容は半分くらいしか入ってこなかった。


「面白かった! やっぱり映画館で見るといいね」

「そうだね」

「でさ、あれが……」


感想を話してくれているけれど、そんなシーンあったっけ??


「……ねぇ、ちゃんと見てた??」

「見てたよー? 楽しかったよね」

「絶対嘘だ!! 見てなかったでしょ?!」


私がそんなところあったかな、って思ったことに気づかれて、ちゃんと見ていなかったことがバレたけれど、イチャイチャ出来て楽しかったなんて言ったら怒られるから言わないでおく。


「この後どうする? 何か買いたいものとかある??」

「んー、特にないかな。美月は?」


クリスマスプレゼントは美月が居たら買えないし、特に思い浮かばない。家に帰ってイチャイチャしたいって言ったら嫌がるかな……?


「私も特にないなぁ……お家でのんびりする?」

「するっ!!」

「ぅわ?! びっくりしたぁ……」


美月の思うのんびりとは違うかもだけれど、即答で返事をしたから驚かせてしまった。

スーパーで夜ご飯の食材を買って、家までの道を歩く。


「荷物重くない? 代わる?」

「平気。こんな明るい時間に帰るなんて変な感じだね」


買い物袋を持ってくれて、途中で代わろうと思ったけれどこの感じだと渡してくれなさそう。美月の言うように普段は仕事の時間帯にこうして2人で家に向かうなんてちょっと照れくさい。


今日も泊まってくれる予定だし、まだまだ時間はある。どうやって過ごそうかな、とそわそわしてしまう気持ちを抑えるのが大変。早く家につかないかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作もよろしくお願い致します★
黒狼と銀狼
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ