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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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32/99

32.ライブ

いよいよ9周年ライブ当日。リハーサルは昨日でほとんど終わっているから、今日は簡単な確認だけになる。楽屋で凛花さんと話していると、スタッフさんからカメラを渡された。


「え、何ですか?」

『楽屋の様子を撮影してください』


私が撮影していいってこと? しかももう回ってるし。とりあえず凛花さんを映してみる。


「これ、どうしたらいいですかね??」

「とりあえず楽屋の様子映したらいいんじゃない?」


凛花さんに言われて、楽屋でオフモードのメンバーを撮りに移動する。


「美月、何してるの??」

「多分メイキング撮影?」


誰がいいかな、と見渡すとちょうど柚が気づいてくれた。


「なんで疑問形……」

「さっき急にカメラ渡されて」

「私すっぴんなんだけど」

「可愛いから大丈夫。柚はすっぴんNGじゃないでしょ?」

「NGじゃないから平気!」


柚はすっぴんでも充分可愛い。それはみんなそうだけど。メイクも順番待ちだから、その間自分で軽くメイクをする子とすっぴんのままの子に別れる。柚はすっぴん派で私は軽くメイクする派。


「次は中学生メンバーです! みんなすっぴんかな??」

「はい!」

「もはやメイクなんていらないよね。可愛い!」


ここは是非とも使ってもらいたいな。まだ露出も少ないし、自己紹介と一言コメントを撮ったから、これを見て是非推しを見つけて欲しい。


楽屋にいるメンバーは全員撮り終わったかな、とスタッフさんにカメラを返そうとすると、陽葵ちゃんが取材を終えて戻ってきたからカメラを向ける。


「メイキング? 今撮ってる??」

「撮ってる。ここにいるメンバーは撮り終わったところ」

「可愛く撮ってよー??」


ふざけながらポーズを取っている姿がもう既に可愛いんですけど。


「常に可愛いから大丈夫」

「なに、急に褒めてくるじゃん」


そんな風に嬉しそうにされるとなんだか照れる。


「美月は映った?」

「私は声だけの出演なので」

「顔だしNGなの?」

「そう」


顔だしNGのアイドルって何?! って笑っていて、オフのリラックスした感じでいい映像が撮れたんじゃないかな?

お腹空いた、って言うから差し入れのフルーツがあったよって言ったら目を輝かせて、差し入れが置いてあるテーブルに向かっていく。


「みんなお疲れ! どれが美味しい??」

「お疲れ様です! 苺美味しかったですよ」

「お疲れ様です! マスカットも甘くてオススメです」

「じゃあその2つは決定。えー、悩む!! もう選べないから全部食べよ」


女の子が集まって、きゃあきゃあしながら何かを食べてる姿って可愛いよね。


「あーん」

「うわ、かわ……!!」


カメラに向かって、手に持った苺をあーんってする陽葵ちゃんが可愛すぎて撮りながらつい心の声が漏れてしまった。


「陽葵ちゃん、私の声入っちゃったから、さっきのもう1回やって?」

「じゃあ、今度はマスカットで。あーん」


今度は来るって分かってたから耐えた。不意打ちは耐えられないって。こっちの方を使ってください!! ってスタッフさんにお願いしておいた。


「撮れた? はい、口開けて」

「ばっちり!! 自分で食べるからお皿ごとちょうだい?」

「カメラ持ってるじゃん。誰も見てないって」


カメラを止めて、フルーツを受け取ろうとしたけれど、はい、と唇に苺が押し付けられて渋々口を開いた。


「あ、美味しい」

「ね。次はこれ」


にこにこしながら次を差し出してくる陽葵ちゃんが可愛くて、さっき苺を食べさせてもらったしいいか、と幾つか食べさせてもらった。


メイクを終えて戻ってきたメンバーも撮影をして、スタッフさんにカメラを返す。どんな風に編集されるか楽しみだな。


開演の時間が近づいてきて、皆衣装に着替えて円陣の為集合する。陽葵ちゃんの掛け声を聞くと気持ちが引き締まる気がするんだよね。


始まる前は緊張するけれど、始まっちゃえばステージの上を駆け回って、ステージ裏でも着替えだったりでバタバタしてあっという間に過ぎていく。

ユニットコーナーの最後が私たちで、私はその次の曲でセンターをやらせてもらうから、MCの間に急いで着替えに向かう。

陽葵ちゃん、変なこと言わないでよね……?? ユニット曲を披露したあと陽葵ちゃんはステージに残ってMCがあるから、何を話すのかちょっと心配。


*****


陽葵「はい、ここまでユニットコーナーをお届けしましたが、皆さん、如何でしたかー? 沢山のコールもありがとうございます! 投票頂いたユニットの披露はあったでしょうか? 楽しんで貰えていたら嬉しいです。では、せっかくなのでユニットコーナーの感想を聞いていきますか。まずは、話したそうな美南ちゃんから」


ステージに出てくるなりテンションが高いのがわかる美南ちゃんに感想を聞くと、待ってました! とばかりに目を輝かせた。


美南「それはもう、さっきの陽葵さんと美月さんが凄くて。リハからみんな釘付けだったんですが、衣装になると更にやばくて……全部良かったですけど、美月さんの頬を撫でる陽葵さんの手つきと表情!! 皆さん分かりますっ?!」

凛花「おお……熱量が凄い。ファンの人は予想外だったと思うけど、攻守は誰が決めたの?」

陽葵「振り付けの先生。先生は美月が攻めって考えてたみたいだけど、もうね、とにかく美月が恥ずかしがっちゃって私が攻めになった」


私が攻め側って分かった時にどよめきが起きたから、やっぱり予想外だったみたいだね。


美南「私もてっきり逆だと思ってたので、昨日リハで見た時思わず叫びました」

凛花「昨日も今日もメンバーの悲鳴が凄かったよね。会場も盛り上がってたし」

美南「凄かったです! さっき裏のモニターで見てて、ずっとニヤニヤしちゃって、今もこんなテンションなんですが」

陽葵「喜んでもらえたみたいで」


これだけいい反応してもらえると、やってよかったなって思う。


美南「ほんと最っ高でした!! これ毎回やってください」

陽葵「反応が良かったから機会があればまたやりたいな」


美月次第だけれど、またやることがあれば、今度は違う曲をやるのもいいかも。


美南「あの、リハの時から気になってることがあって。……キスってしてます??」

凛花「モニターだと絶妙に隠れてたもんね」

陽葵「さー、どっちでしょう?」


映らなかったんだ?? それなら、しちゃっても良かったかな。でも別の角度からのカメラもあるからダメか。


美南「えっ?! もしかして本当に……??」

凛花「またそんな悪い顔して……悲鳴上がってるじゃん」

陽葵「あはは、期待されてたかは分からないですけど、してません」

美南「えー」


美南ちゃんが本気で残念そうで、本当ですか?? って疑ってくるけど本当です。


凛花「陽葵は楽しそうだなあ……美月の反応とは大違い。レッスン場で合わせた時、誰とも目も合わせず帰っていったもんね」

陽葵「そうそう。本当はみんなが帰るまで待つ予定だったんだけれどその日に限って誰も帰らなくて。終わったら即帰るって気合い入れてたから」


宣言通り素早くて、置いていかれたしね。


美南「その日は帰っちゃってたんですよね。見たかった……」

凛花「自主練してたメンバー全員、自分の練習やめて注目したもん」

陽葵「すっごい視線感じてた」

凛花「2人が帰った後も皆のテンションがおかしくなってたし」

美南「まさに今の私みたいな感じですね」

凛花「うん、まあ、そうかな?」


凛花、絶対そうって思ってないよね?


陽葵「美南ちゃんはいつもいい反応してくれるよね」

美南「もうお二人の絡みが好きすぎて。皆さんも好きですよねー?! ……ありがとうございます!! 私も皆さんと同じ気持ちです!!」


美南ちゃんが会場の皆さんを煽っていて、歓声が上がっている。好きだと言って貰えて嬉しい。


陽葵「じゃあ次は凛花」

凛花「私は、柚ちゃんとやらせてもらったんだけれど、ファンの皆さんが選んでくれた曲が凄くしっくりくるというか、さすが分かってるなと」

陽葵「確かにね。1位の曲以外もどれも2人の雰囲気に合うのばっかりだったもんね」


他にも見たいのがいっぱいあったから、今回だけじゃなくてまたやって欲しい。


凛花「そうそう。陽葵のところは見事にアレな曲ばっかりだったけど」

美南「それはね、そうなりますよね」

陽葵「みんなそんなに見たいの? 披露した曲は断トツ1位だったし、みんな好きだねー」


見たいー!! という声が客席から聞こえて、思わず笑ってしまった。


凛花「まあ、予想通りだよね。陽葵が気になったユニットは?」

陽葵「私は、高校生4人組がフレッシュで可愛かった。なんと言っても制服がいい!」

美南「分かります!! 現役ですからね」

凛花「私たちはコスプレになっちゃうけどあの子たちはやっぱり若さが違ったね」

陽葵「そろそろ次の準備が出来たみたいです。ここからは後半に突入しますが、まだまだ声出せますかー?! では、引き続き楽しんでください」


後半1曲目は美月がセンターだから見たいけれど、着替えをしなきゃならなくて見られない。配信もされているから、映像で我慢しよう。時間のある時に一緒に見るのもいいな。


ライブ後、反省会も終わって解散になったけれど、写真を撮ったり、動画を撮ったりとわいわい盛り上がっている。今日はメンバーのSNSにオフショットが沢山上がりそう。


私も普段あまり話す機会のないメンバーを中心に声をかけて写真を撮っていく。


「普通にピースでいい? 何か希望ある?」

「何でもいいんですか?!」

「え、何させる気?? キス以外でお願いね?」


きゃあきゃあ盛り上がる子達が可愛らしくて、よしよしっていう気持ちになってしまった。


ほとんど撮り終わったかな、という所で美月を探すと、美月も探してくれていたのかすぐに目が合った。手招きして呼ぶとぱっと嬉しそうな顔をしたけれど、直ぐに真顔に戻ってやけにゆっくり近づいてくる。


なんでもないような顔して、本当は喜んでくれてるって気づいてるよ? 嬉しくて思わずにやけてしまう。もしかしたら恥ずかしがって近寄ってきてくれないかなって思ったけれど、自分から来てくれてよかった。まあ、逃げられたとしても捕まえるけど。


「陽葵ちゃん、お疲れ様。何ニヤニヤしてるの?」

「美月もお疲れ。ん? 随分素直に来てくれたなぁって」

「え、だって呼ばれたから」


陽葵ちゃんが呼んだんでしょって言葉ではつんつんしてるけれど、照れ隠しだってちゃんと分かってる。


「呼んだけど、ユニットもやったし、もしかしたら来てくれないかなって思ったから」

「あー、ユニットね……終わってから散々弄られた。キスしたのかすごい聞かれて、避ける方が本当にしたっぽく見えるかなって」


してないのにねって照れくさそうにしているから、思わず頭を撫でると嬉しそうに笑ってくれた。メンバーがいる所では甘えた姿を見せたがらないのに、今日はなんだか素直で可愛い。


「そんなに期待してもらってたならしておけばよかったね?」

「しませーん」

「じゃあ次回のお楽しみってことで」

「次回もありませーん」

「えー」


むっと拗ねた振りをして後ろを向いたら肩に顎を乗せてきて、拗ねたの? なんて聞いてくる。え、今日は本当にどうした?! 調子に乗って美月の腕を引いてお腹に回させるようにしてみたけど、これも嫌がられない。ライブ後で気分が高揚してるとか?


「そこ何イチャイチャしてるのー?!」

「写真、いや、動画?! そのままでいてくださいー!!」


カメラを向けられてもそのままでいてくれて、頬を擦り寄せてみたら同じように擦り寄せてくれる。私から抱きつくのは見慣れてるメンバーも珍しい状況に沸いていて、ちょっとした撮影会になった。美月の珍しいデレに自分でもにやけてるのが分かっちゃうくらい嬉しくて幸せ。


これを機にメンバーの前でも美月から触れてくれるんじゃないかなって期待してもいいのかな?

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黒狼と銀狼
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