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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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31/99

31.リハーサル

ライブを明日に控えて、会場でのリハーサルが始まった。みんな真剣で、いいライブになりそうだなって今から楽しみ。

ユニットも多く、自分が参加しない曲のリハ時間も長いから、振りの確認をしたり、リハを見学したり楽屋でゲームをしていたりとそれぞれ比較的自由に過ごしている。


ユニットコーナーのリハがスタートして、最初の方のユニットを客席から見学しているのだけれど、隣に座っている美月は出番が近づくにつれ、落ち着きがなくなってきている。

他のメンバーも多く見学に来ていて、この感じだと私たちの時にもある程度の人数に見られることになりそう。


「あー、どうしよ。冷や汗やばい……真顔になっちゃいそう」

「もう照れ通り越してるじゃん。そろそろ行こうか」

「ほんとそれ。え、もう? ずっとここにいたい……」


順番が近づいてきたから移動しようと立ち上がって、渋る美月の手を引いて立ち上がらせる。


「この後ですか? 楽しみにしてます!」

「他のメンバーからも見たいから呼んでって言われてるので、ちょっと呼びに行ってきます」

「え、待って、お昼休憩中でしょ? 呼びに行かなくていいよ」


美月が止める間もなく行ってしまって、えー、まだ増えるの……と呆然としている。


「はい、行くよー」

「はーい……」


手を引かれて大人しくついてくる美月が可愛すぎる。

メンバーに注目されつつユニット曲のリハが終わって、ステージ上の移動等の細かい部分を確認した後に全体での休憩になった。人数が多いから、分散してお昼休憩を取る事になっていて、もう先にお昼を食べ終えているメンバーもいるはず。


「このタイミングで全体の休憩……」

「皆見てくれてたもんね。せっかくだから感想聞いておく?」

「え、聞かなくていいよ。フリとかじゃなくて、ほんとに聞かなくていいからね??」


かなり歓声が聞こえてたから、反応は良さそうだった。楽屋に戻ると、若手メンバーが多く居て、視線は感じるけれど、美月が心配するような絡んでくるメンバーは別の場所にいるみたい。


「陽葵さん、美月、お疲れ様です! 見てましたよー!!」


あ、柚葉ちゃんが居たわ。先輩後輩関係なく馴染んでて気が付かなかった。お弁当とお茶を持って空いている席に座る。


「見てくれたんだ? どうだった?」


隣に座った美月がえ、聞くの? という顔をしているけれど、ここで触れない方が変でしょ? 私たちの関係を知らない子ばっかりなんだから、堂々としてないと怪しいって。


「見ちゃダメ! って中学生メンバーの目を隠そうかと思いましたけど、手が足りなくて、自分で隠してもらいました」

「あはは、結構攻めた振りだからね」

「皆ちゃんと隠した?」


柚葉ちゃんが中学生メンバーを見るとサッと目をそらす子達。これは見てくれてるな。


「隠されると余計見たくなるもんね?」

「はい!! 指の隙間から見ましたけど、なんかもう大人ー!! って感じでした」


きゃあきゃあ盛り上がる子たちが可愛らしい。チラ、と横の美月を見ると、すました顔でお弁当を食べ始めているけど、内心は凄い照れてるんだろうな。からかいたいけどここは我慢。


「ん? 開かない? 貸して」


見ていた私に気づいて、ちょうどお茶を持っていたから開かないと思ったのかサッと開けてくれた。開けてもらおうと見ていた訳じゃなかったけれど、気遣いが嬉しい。


「美月ありがと。皆リハーサルどう?」

「楽しいです!!」

「こんな大きいところでライブなんて初めてで緊張します」


今年が初めての周年ライブの子もいるし、こういう時にしかゆっくり話せない子もいるから、色々と話を聞いてみたい。私も初めてのライブは緊張したし、気持ちはよくわかる。

話題が変わったからか、美月も会話に参加してわいわいしながら休憩時間を過ごした。


休憩が終われば次は全員参加の曲で、人数が多いから立ち位置の確認も一苦労。

前後が入れ替わる時にぶつかったり、振りを間違える子がいたりして時間がかかる。今はほとんど無くなったけれど、最初の頃は1期生みんな出来なくて、よく先生に怒られてたな……懐かしい。

今はどうしたら喜んで貰えるかなって考えて、美月とイチャついてみたり、随分余裕を持てるようになった。


「リハーサルありがとうございました。本番もよろしくお願いします」


一通りリハーサルが終わって、それぞれ帰り支度を始めている。私も美月もこの後別々に仕事があって行けないけれど、この後遊びに行くメンバーもいるみたい。元気だなー。


*****

未央視点


ユニットのリハを終えてお昼を食べていると、そろそろ陽葵さんと美月さんのリハが始まるよって同期が呼びに来てくれた。

里香がレッスンの後に陽葵さんと美月さんのユニットを見たって興奮気味に電話してきて、ずっと見たいと思っていた。その日に早く帰ったことを後悔したもん。知ってたら何としても残ったのに。


「え、早く行かなきゃ!」

「もう見たでしょ?」


里香は、見たけど何回でも見たい!! と既にテンションが上がっている。結局楽屋にいたメンバーほとんどが見に行くことになって、客席に座るとタイミング良く始まるところだった。

陽葵さんの歌い出しからもう引き込まれて、美月さんと向き合っただけなのにドキドキする。


「もうやばい……」

「もう既に見ちゃいけない感じ」


曲が進むにつれメンバーの悲鳴のような歓声が響いて、思わず口を押さえている子もいる。その気持ちわかる。でも押し殺せないよね。


「まさかの陽葵さんが攻め……!! 手つきエロ……!!」

「え、キス?! キスした??」

「いや、寸止めじゃない??」

「こっちからだとしてるように見えた」

「やばいって!!」


角度によってはしてるようにも見えて、メンバーの中でも意見が割れている。どっちなんだろう??


「ねぇ、美月さん可愛すぎる」

「普段とのギャップやばい!!」

「それを言うなら陽葵さんのギャップもやばい」


普段は陽葵さんが甘えてる姿を見ることが多いけれど、本来の姿はこうなのかなって思っちゃうくらいしっくりくると言うか……


雑誌も凄かったけれど、実際にこうして見るとお互いを見る目がもう……

妄想が止まらないのはきっと私だけじゃないと思う。演技なのかガチなのか……? これは確かに何回でも見たい。当日はモニターの前が渋滞しそう。


「これは凄い……凄いしか出てこない。里香が電話してくるのも分かる」

「でしょ?! もう家に帰ってからもテンション上がりすぎてて思わずかけちゃった」


逆だったら私も誰かに電話したくなったかもしれない。周りにいるメンバーも明らかにテンションが上がっていて、きゃあきゃあ盛り上がりながら楽屋に戻っていく。

楽屋に戻ってお弁当の続きを食べていると、陽葵さんと美月さんが戻ってきた。ついじっと視線を送ってしまったけれど、私だけじゃなくて皆同じ状態で、視線が2人に集中している。


「陽葵さん、美月、お疲れ様です! 見てましたよー!!」


同じテーブルについていた柚葉さんが早速話しかけていて、2人がお弁当を持って近づいてくる。


「見てくれたんだ? どうだった?」


陽葵さんが空いている席に座りながら、ニヤリと笑って柚葉さんと話しているのに対して、隣に座った美月さんは一瞬嫌そうな顔をしたけれど、何も無かったようにお弁当を開けている。


「ん? 開かない? 貸して」


話の途中でチラ、と美月さんのことを見たな、と思ったら美月さんが陽葵さんの持っていたお茶を取ってキャップを開けてあげている。イケメンすぎ……!!


確か前にもこんな光景を見たような……ユニット決めの打ち合わせのときだったかな? あの時もイチャイチャしてたけれど、自然すぎて見逃しそうになる。

わいわい話しながらだとあっという間に休憩時間が終わって、全員参加の曲のリハーサルになった。


周年ライブみたいな大きいライブに参加するのが初めてのメンバーはミスも多くて、リハが何度も止まってしまうけれど、陽葵さんを中心にしっかりフォローしていていいグループだなって実感する。

私も未だにミスが多いけれど、落ち込んでいると先輩たちがすぐに気づいてくれて励ましてくれる。周りを見られてて凄いなって思うし、後輩も入ってきたから自分もそうなれるように頑張ろう。

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黒狼と銀狼
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