表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/99

30.ダンスレッスン

陽葵ちゃんを見送ってから時間があったから洗濯をして、食生活が不安すぎて簡単なおかずの作り置きを冷凍庫に詰めたりと彼女っぽいことをしてみた。


家事をやりつつ、甘えたな陽葵ちゃんを思い出してずっとニヤニヤしてしまった。普段からも甘えてくれるけれど、誘ってきてくれたのは破壊力が凄かった。しばらく思い出してにやけちゃうかもしれない。


やることが無くなったし、テレビでも見ようかな。陽葵ちゃんが居ない家に一人でいるのは寂しいけれど、鍵を預けてもらえて、こうして家に居られる状況が嬉しかったりもする。


初めの頃は陽葵ちゃんが居ない時に合鍵を使うのもドキドキして、居ていいのかってそわそわしてしまっていたけれど、随分慣れたものだなと時間の流れを感じる。

お互いの家を行き来するようになって、私物も沢山置いてあるから陽葵ちゃんの家でも何不自由なく生活ができる。

体型も同じような感じだし、服もシェアしようと思えばできるしね。系統が違うから、借りたりするとすぐにバレるんだけれど。


家を出る時間になったからきちんと施錠して収録に向かう。陽葵ちゃんの家から仕事に行くことにもすっかり慣れた。慣れってすごい。


収録を終えてレッスン場に向かうと、自主練をしているメンバーや雑談をしているメンバーで賑わっていた。


「美月お疲れ様。 あれ、今日って陽葵さん来る日だよね?? どこか行ってるの?」


ストレッチをしていたら柚葉が近寄ってきて、陽葵ちゃんを探してキョロキョロしている。


「いつも一緒なわけじゃないよ? 今日は途中から来るって」

「なんか2人はセットって感じだから。でもちゃんと予定は知ってるんだね?」


昨日もお泊まりだったんでしょ? ってニヤニヤしながらからかってくるのやめよう?


「お疲れー! あれ、陽葵は?」

「凛花さんまで陽葵ちゃんがいると思うんですね?? 今日は途中から来るそうです」


皆なんで陽葵ちゃんがここにいると思うの?


「大抵美月がいる所にいるからさ。陽葵に会いたい時は美月といるのが1番って皆分かってるよ」


確かに一緒にいることが多いけれど、それって共通認識なの?! え、それでいいの??


「それって大丈夫なんですかね……」

「何が??」

「いや、キャプテンが1人のメンバーとずっといるって」


凛花さんが不思議そうに聞いてくるけれど、なんとも思わないのかな??


「キャプテンっていってもオフの時は自由でいいと思うよ。陽葵は公私混同するタイプじゃないし、オンとオフの切り替えがハッキリしてるしね」

「本当に切り替えが凄いですよね。最初びっくりしましたもん」


皆が気にしてないならいいけれど、オフの陽葵ちゃんを私が独占しちゃって申し訳ないと思う半面、隣は誰にも譲りたくないし、一緒に居られるのが嬉しいと思う。

オンとオフの切り替えは2人が言うように凄くて、テレビで見る陽葵ちゃんしか知らない人は皆最初は驚くんだよね。最近はイベントとかドッキリとかで知られてきているけれど。


「オフになって美月と居るとデレデレだもんね」

「ずーっとイチャイチャしてますからね」

「キャプテンが幸せそうで何より」


2人で盛り上がっているからストレッチの続きでもしようかな。間違いなくからかわれるから、レッスンが始まるまでちょっと離れておこう。



「遅れてすみません」

「陽葵、次の曲から入れる?」

「大丈夫です」


レッスンが始まって30分くらい経った頃に陽葵ちゃんが入ってきて、ストレッチを始めた。次の曲から陽葵ちゃんが入るからか、そわそわしているメンバーもいる。


陽葵ちゃんがセンターに入ると、レッスンに出れていないなんて感じさせないくらいに上手くて、ソロパートは思わず見蕩れてしまった。私だけじゃなくて他のメンバーも同じような状態だったと思う。

レッスンが終わってみれば、陽葵ちゃんに関して言えばほぼ完璧なんじゃないかってくらいで、そんな陽葵ちゃんを見て、メンバーの目つきも変わった気がする。


1番忙しいのにこれだけの仕上がりを見せつけられたら、皆もっとやれるって思うよね。もちろん私ももっと出来る。というかやる。


陽葵ちゃんは先生に細かい部分の振りを確認しているようで、まだ満足していないことが分かる。きっとまだまだって言うんだろうな。

この後自主練しよう、という声が多く聞こえてきて、かなりの人数が自主練に残るんじゃないか? と嫌な予感がする。今日は早く帰って欲しいんだけど……


まだ先生と話してそうだし、飲み物でも買ってこようかな。何人残るのか分からないから多めに買って戻ると、陽葵ちゃんを中心に輪になって座ってカードゲームをしているらしく、誰よりも騒いでいた。こういう時に1番盛り上がってるのって大抵陽葵ちゃんだよね。


「え?! これそんな名前だった?! 誰がつけたの?」

「確か里香ちゃんじゃなかったっけ?」

「里香ちゃんのネーミングセンスやばい!!」

「え、可愛くないですか?」


里香ちゃんが名付けたモンスター? の名前が面白かったらしく、床を叩いて爆笑している。


「美南ちゃん早っ!!」

「名付け親ですから」

「うわドヤ顔ー」


美南ちゃんが言うのが早かったらしく、悔しそうにしているし。負けず嫌い出てるよ?


「ねえ、柚葉ちゃん声でかすぎ」

「陽葵さんだって負けてないと思いますよ?!」

「え、そんなに? めっちゃうるさいじゃん」

「それ酷くないですか?!」


うん、どっちも同じくらい騒がしい。


「今のは私早かったんじゃない??」

「でも間違ってたよね?」

「合ってるって! ××でしょ?」

「ちょっと惜しい!」


名前を間違えていたらしく、もう××でいいじゃん! 改名しよ! って凛花さんとじゃれ合っている。周りで見ているメンバーも楽しそうで、いい雰囲気だなって嬉しくなる。


「うわ、負けた……」

「勝ちー!」

「悔しいー!! あ、美月戻ってきてる」


楽しそうな様子を椅子に座って眺めていたら、負けた陽葵ちゃんが駆け寄ってきて、泣き真似をしながら縋り付くように抱きついてきた。あざと可愛いな!!


「みつきたーん!! 負けたぁ……悔しい」


私の胸元に頬をつけて、眉を下げてしょんぼりしているのが可愛くて顔が緩みそうになるけれど、みんなも居るしあんまりデレデレなところは見せられない。冷静を装って、宥めるように背中をさする。家だったら抱き締め返してあげられるんだけれど……


「ふふ。でも楽しそうだったね?」

「楽しかった! 今度一緒にやろ?」


頬を離して、上目遣いで見上げられたら、拒否なんて出来ない。そもそもするつもりもないけれど。それにしても、床に膝をついて、足痛くないのかな?


「いいよ。ね、その体勢足痛くない?」

「ちょっと痛い……」

「やっぱり。横座ったら? 飲み物買ってきたから選んで?」

「やった!」


ぽんぽん、と椅子を叩くと立ち上がって横に座って、嬉しそうに飲み物を選んでいる。ほんと可愛い。


「そこ、なにイチャイチャしてるのー?!」

「誰かさっきの動画撮ってません?! ナチュラルにイチャついててやばいんですけど! こんな時に限ってメイキング用のカメラなんで入ってないの?!」

「え、尊い……」

「陽葵さんの彼女感すご……」

「美月さんの彼氏感すご……」


色々言われてるけど、距離があるし聞こえなかったことにしよう。


「よし、ミルクティーにしよ! 美月は?」

「んー、コーラにする。飲み物置いとくんで欲しい人いたら持っていってくださいー!」


全員分はないから早い者勝ちってことで。それにしても、今何人いるんだろ? 残りすぎでしょ……


「今日は自主練多い?」

「うん。きっと皆陽葵ちゃんに触発されたね」

「ほんと? それなら嬉しいな」


皆いつもより集中できてた気がするし、やっぱりチームの中心は陽葵ちゃんだなって実感する。


「皆何時まで練習するのかな……」

「もう諦めたら?」


なんなら今からやる? なんてニヤニヤしながら言ってくるけど、絶対楽しんでるよね? 陽葵ちゃんは恥ずかしくないのかな……


「やだよ。陽葵ちゃんは恥ずかしくないの??」

「うーん、恥ずかしくないわけじゃないけど、反応が楽しみかな」

「え、変態?」


確かに普段から周りの反応を楽しんでる感じあるもんなぁ……自分から供給していくというか。


「確かに変態かもしれない。でもせっかくなら私のって見せつけておきたいじゃん?」

「待って、何言い出すの?!」

「騒ぐと目立つよ?」


誰のせいだと思ってるの?? 近くにメンバーがいるのに変なこと言い出さないで欲しい。隠す気ある??

慌てる私をにんまりと見ている陽葵ちゃんに勝てる気がしないし、何を言っても喜ばれる気がする。


「はぁ……ユニット曲以外の練習してくる!」


鏡の前に向かおうと立ち上がって歩き出すと、今日置いていかれるの2回目! って不満そうな声がしたけれど、置いていかれるようなことするからでしょ。


自主練を始めて1時間くらい経ったけれど、なかなか人数が減らない。もう夜ご飯の時間帯だし、食べてからまた戻ってくる? それとも家に帰ってから合わせる? 今日は泊まれないのに、家でなんてそういう雰囲気になっちゃうこと間違いないよね……今日を逃すと次は会場でのリハーサルになっちゃうから合わせておきたい。


「美月、どうした? 考え事?」


ぼーっと考え込んでいたからか、陽葵ちゃんが覗き込んできた。


「皆頑張るなぁ、と思って……」

「あー、全然減ってないか。一旦ご飯でも食べに行く?」


さっきはからかってきたけれど、陽葵ちゃんは私が本気で嫌がることは絶対にしない。

疲れてるはずなのに、私の我儘を聞いてみんなが帰るまで待たせてるのが申し訳なくなる。本当ならユニット曲だけ合わせてもう帰れてるはずなのに。明日は朝早かったはずだし、もう覚悟を決めるしかないか……


「付き合わせちゃってごめんね。1回合わせて、すぐ帰ろう!!」

「へ? 突然どしたの??」


私の勢いにポカーンとしている陽葵ちゃんが珍しくて、思わず笑ってしまった。


「合わせるって、ユニット?? いいの??」

「うん。陽葵ちゃん明日朝早いでしょ? みんな帰るまで待ってたら遅くなっちゃうから」

「確かに早いけど、あんなに嫌がってたのに……」


遅く帰る日なんて珍しくないし平気だよって言ってくれて、自分のことより私の事を優先してくれようとする気持ちに心が暖かくなる。


「終わったら皆に捕まる前に即帰るからね!! ダッシュで!」

「なんかまた置いていかれる予感がする……そしたら3回目……」


このままの勢いで終わらせちゃおう! という私の勢いに押されつつ、陽葵ちゃんが曲の準備をしてくれる。


「いい? 流すよ?」

「うん。お願い」


陽葵ちゃんと向き合うと、周りから視線を感じたけれど、陽葵ちゃんだけに集中する。恥ずかしくて、とても周りなんて見られない。

とにかく役になりきろうと頑張って、大きなミスもなかったと思うけれどどうだろう?


「この部分さ、もう少し強めに腕引っ張ってもらって大丈夫」

「これくらい?」

「うん。あとは……」


陽葵ちゃんの腕を引いて振り向かせて、見つめ合うところがあるんだけれど、普段こんなことしないから力加減が難しい。


「とりあえずOKかな。あとは会場でのリハで調整しよ」

「うん。よし、帰ろ!! お疲れ様でした!」


他にも細かい部分の調整を終えてから足早に2人分の荷物を持ってドアを開けて、陽葵ちゃんを待つ。陽葵ちゃんはメンバーに囲まれて何やら話していたけれど、少しすると、やっぱり置いていかれた、と苦笑しながら追いついてきた。


「荷物ありがとう。おつかれ」

「陽葵ちゃんもお疲れ様。夜ご飯どうする?」

「食べて帰ろ。何食べたい?」


陽葵ちゃんは明日早いし、私はラジオの仕事が入っているから、今日はご飯を食べたら解散。


「陽葵ちゃんが決めていいよ?」

「うーん、ハンバーガーにする!」


何頼もうかなーってウキウキしている陽葵ちゃんが可愛くてずっと見ていられる。今日のSNSに載せる写真はハンバーガーを頬張る陽葵ちゃんの写真にしようかな。絶対かわいい。


ご飯を食べ終わって、駅で1人で電車を待つのがちょっと寂しい。さっき撮った写真を眺めていたら電車がホームに入ってきて、見る感じ比較的空いていて座れそう。騒ぎになっちゃったら困るし、陽葵ちゃんの方も空いてるといいけれど。

本人は全然バレないって言ってるけど、気づかれててもそっと見守られているだけだと思う。テレビにも沢山出ているから知名度も高いし、マスクして帽子をかぶってても隠せてないもん。


電車に乗ると、広告の中に陽葵ちゃんを見つけて、この前CM撮影するって言っていたやつかな、とまじまじと見つめてしまった。さっきまで一緒にいたのに変な感じ。

ソロで活躍している陽葵ちゃんが遠く感じてしまうけれど、そんなこと言ったら、寂しいの? なんてここぞとばかりに弄られそうだし、広告見たよって言うだけにしておこう。


家に帰ってシャワーを浴びて気持ちを切り替えて、残りの仕事も頑張りますか。私の仕事が終わる頃に陽葵ちゃんは起きるだろうから、モーニングコールでもしたら喜んでくれるかな、なんて考えて1人で照れてしまった。怪しいから気をつけよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★新作もよろしくお願い致します★
黒狼と銀狼
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ