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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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23/99

23.振り入れ

ユニットの振り付けが完成したと連絡をもらい、今日は美月と一緒に振り入れをすることになった。レッスンスタジオに入ると、他にもメンバーが振り入れをしていて、がやがやしている。


少し待つと、この前打ち合わせをした先生ともう1人先生が来てくれて、まずは実際に見せてもらえることになった。


曲が流れて先生が向き合った瞬間、ガラッと雰囲気が変わった。絡みが多くて、予想を上回ってきたなっていう印象。

チラ、と美月を見ると真っ赤になってわーわー言いながら指の隙間から覗き見をしているような状況で、実際にこの後振り入れがあるのに大丈夫かなって心配になるくらい。


キスするのかなってくらい近づいたけれど結局キスシーンは無さそうで、安心したような残念なような……


「今見てもらった感じなんだけど、大丈夫そう?」


先生の視線は明らかに美月の方を向いている。美月は曲が終わった今もまだ照れちゃって先生の方を見れていない。


「正直大丈夫じゃないですけど、頑張ります……」

「よし、頑張ろう! で、どっちが攻める? やっぱり美月かな?」


先生の言葉に、美月と顔を見合わせる。先生も美月が攻め側だと思ってるのね……

美月と目が合うと、自分が攻めることを想像したのか顔を覆ってしゃがみこんでしまった。


「え、無理。ライブでこれを……?」


雑誌の撮影でも大変そうだったのに、この感じだと美月に攻め側は無理だと思うな……


「うーん、陽葵の方が良さそうじゃない?」

「この感じだと陽葵の方が良さそうか。じゃあ陽葵は私とね」


攻め側を見せてくれた先生と一緒に離れたところに移動する。

ある程度覚えた所で、美月と合わせるために戻ると、まだ美月は振り入れの途中だった。さっきまではあんなに恥ずかしがっていたのに、いざ練習を始めれば真剣で、つい見蕩れてしまった。


「わ、陽葵ちゃん見てたの?!」


振り入れが終わって私に気づくと、さっきまでの真剣な表情がガラッと変わって慌てだした。ギャップがありすぎでしょ。


何度か合わせて形になったところで、先生は他のユニットの振り入れに行ってしまったから、ここからは2人での練習になる。もちろん、離れたところには先生もメンバーもいるから2人きりではないけれど。


先生が居なくなった後に1回合わせてみたけれど、終わるとなんだか照れる。美月も照れているのか、全く目を合わせてくれない。


「なんかさ、曲が終わると照れるね」

「本当に。曲中は恥ずかしがってられないなって必死だから余計に……って何ニヤけてるの?!」


私が攻め側だけれど、美月からの誘い受け的な感じもあって、思い出してニヤニヤしてしまった。


「いや、誘い受けやばいなって。今度家でやって?」

「……はっ?! 何考えてるの?! 絶対無理!!」


無理、ってことは嫌では無いってことだもんね。今度やってもらおう。


「美月はどんな仕草で誘ってくれるのかなー」

「ーっ!! 変態っ!!」


はー、可愛い。先生達の予想に反して私が攻め側になったけれど、私的にはこっちが本来の形だから楽しくて仕方がない。

メンバーやファンの皆がどんな反応をするのか今から楽しみ。


*****


ユニットの振り入れをするためにレッスンスタジオに来て、先生から見本を見せてもらったのだけれど、なんというか、もう凄い。語彙力皆無で凄いしか出てこない。

直視出来なくて、でも見なきゃ覚えられないから頑張って見ていたのだけれど、きっと真っ赤になっていたと思う。先生達が近づく度にわーわー声が出てしまって、1人で大騒ぎしていた。

待って、これを陽葵ちゃんとやるの……?


「今見てもらった感じなんだけど、大丈夫そう?」


先生に聞かれているのは分かっているけれど、さっきのを思い出してしまって先生の方を見れない。


「正直大丈夫じゃないですけど、頑張ります……」


色気ってどうしたら出るんだろう? 私にできる気がしなくて、つい情けない返事になってしまった。


「よし、頑張ろう! で、どっちが攻める? やっぱり美月かな?」


先生の言葉に、陽葵ちゃんと顔を見合わせたけれど、恥ずかしくて目を逸らしてしまった。え、私が攻めるの? 雑誌でもあんなに恥ずかしかったのに、ライブで出来る……?

やばい。恥ずかしすぎて顔を上げられない。


「え、無理。ライブでこれを……?」


さっき頑張るって言ったばっかりだけれど、無理かも。受け側ならできるって訳じゃなくてどっちも無理……!


「うーん、陽葵の方が良さそうじゃない?」

「この感じだと陽葵の方が良さそうか。じゃあ陽葵は私とね」


私がうだうだしている間に先生たちの中で話がついて、陽葵ちゃんは向こうに行ってしまった。


「さて、大丈夫そ?」

「ふー、すみません、大丈夫です」


せっかく選んでもらったし、振り入れもそんなに時間をかけられる訳じゃない。羞恥心は捨ててちゃんとやらなきゃ。


少しでも先生に近づこうと、必死で覚えていたから陽葵ちゃんが戻ってきていたことに気が付かなかった。

合わせてみようか、と先生に言われて、やっと陽葵ちゃんに見られていたことに気づいた。


うわ、恥ず……!! 

慌てる私をよそに、先生達が仕上がりを確認していて、まずは1回合わせてみようということになった。

陽葵ちゃんと向かい合うと照れが先に来てしまったけれど、これは仕事だし、プライベートは関係ない。ちゃんと切り替えないと。


羞恥心は捨てて、先生に教えてもらったことを意識しつつやり切った。1曲踊っただけなのにものすごい疲労感……本番はこれに歌もあるんだもんね。


先生が他のユニットの振り入れに行ってからも陽葵ちゃんと合わせて、一通り終わった後がものすごく恥ずかしい。さっきまでの私は自分だけど自分じゃない……!!

陽葵ちゃんを見られなくて、目を逸らしてしまった。


「なんかさ、曲が終わると照れるね」

「本当に。曲中は恥ずかしがってられないなって必死だから余計に……って何ニヤけてるの?!」


陽葵ちゃんも照れてたんだな、って思って見てみれば照れてると言うよりニヤけてる。なんかまた変な事考えてるの?!


「いや、誘い受けやばいなって。今度家でやって?」


……家で? 何を??


「……はっ?! 何考えてるの?! 絶対無理!!」


あれを家でやれってこと?! いや、無理だって。そんなキャラじゃない。


「美月はどんな仕草で誘ってくれるのかなー」

「ーっ!! 変態っ!!」


そんなにうきうきしたってやらないからね!! 私が恥ずかしがったばかりに受け側になっちゃって、結局は陽葵ちゃんを喜ばせることに……

きっと私が攻めだと思われてるのに、逆でどんな反応をされるんだろう? 私としては不本意だけれど、陽葵ちゃんが攻めなのは正直違和感がない。

あくまでも演技だから実際の時とは全然違うけれど、活き活きしているし、色気がやばいし、皆に見せたくないなって思ってしまう。絶対みんな魅了されちゃうから。


私じゃないメンバーとこの曲を陽葵ちゃんがやったら絶対嫉妬するだろうなって考えたら、選ばれたのが私でよかったって心底思う。期待されている通りの仕上がりになるかは自信が無いけれど、本番までに魅せ方を勉強しなきゃ。

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