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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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20/99

20.ルームウェア

戸惑い気味の美月を笑顔で見送って、そわそわしながら戻ってくるのを待つ。甘やかしてくれようとしているのが分かったから、ここしかないと思ってルームウェアを着てくれるようにお願いした。

撮影の時、可愛すぎてこのまま押し倒したいなって何度思ったか……美月はいっぱいいっぱいで、私がそんなこと考えてるなんて思いもしていなかっただろうけれど。


寝室のドアが開いて、顔だけ出した美月と目が合った。おずおずと寝室から出てきて、1人分くらい空けてソファに座る。他のところに座ることも出来るのに、ソファに来てくれるところがツンデレだよね。

やっぱり良く似合うな、とじっと見つめていると、スマホをいじり始めた。何事もないようにしているけれど、ほのかに赤くなった頬から、照れているのがわかる。

横顔が綺麗で、飽きもせず眺めていると、さすがに無視できなくなったのかこっちを向いてくれた。


「……なに?」

「可愛いなって」

「陽葵ちゃんの方が可愛いし。もう着ないと思ってたのになんで買ってくるの……」


文句を言いながらもちゃんと着てくれて、見せたから終わり、と脱ぐことも出来るのに、わざわざ買ってくれたからって恥ずかしいのを我慢してくれているんだろうな。

優しさにつけ込むようで罪悪感があるけれど、次はいつ着てくれるか分からないからもう少し堪能させて欲しい。


「みつきたん、写真撮ろ」


1人分空いていたスペースを詰めてぎゅっと抱きつくと、仕方ないなぁ、なんて言いながらも持っていたスマホの画面をカメラに切り替えてくれた。

頬を擦り寄せると、目を細めて笑う美月が画面越しに見えて、このまま押し倒したくなった。甘えると、自然に肩を抱き寄せてくれたりして、イチャイチャしながら何枚も写真を撮った。


「雑誌が発売されたら投稿しようかな」

「ダメでーす」


可愛いのに。家でも着てるって知られるのが恥ずかしいのかな? でも、私だけの秘密っていうのもありかもしれない。


「じゃあ待ち受けにする」

「それもダメでーす」


言い方がいちいち可愛い。後でこっそり変えちゃおう。送ってもらった写真を見てニヤニヤしていると、隣でSNSを開いて何やら検索をし始めた。


「投稿って言えば、ユニットコーナーのアンケートのお知らせをしないといけないんだよね?」

「そうそう。公式アカウントからお知らせが出てるから、そのまま使っちゃえば大丈夫」


本当は美月とユニットがやりたいって書きたいところだけれどそれは出来ないから、私はお知らせだけにした。美月も自分からアピールするタイプじゃないし、きっとお知らせだけかな。


「よし、投稿終わり」

「お疲れ。私の方のコメントは美月とのユニット希望が多いけど、実際選ばれたらどう?」


曲も示し合わせたかのように絡みが多いやつに集中してるし、みんなそんなに見たいの……? 寸劇って書いている人もいたけどもはや曲じゃない。

雑誌が発売されたら更にそっち方向に集中するんじゃないかって不安もある。撮影でもあんなに恥ずかしがってたのに、決まったら美月はやってくれるのかな?


「凛花さんに、今のうちから覚悟しておけって言われた。選ばれたら嬉しいけど、普通の曲にして欲しいな……」


凛花、絶対楽しんでるな。


「選んで貰えたら頑張ろうね」

「……うん」


さて、これからどうしよう。投稿はさっきしたし、寝るには早いし。ベッドに行く前にこの姿の美月とイチャイチャしたい。甘えてくれないかな……

そういえば美月が好きそうな甘いお酒を買っておいたことを思い出した。明日はお互い打ち合わせで遅めの集合だったよね。よし、飲ませよう。


「時間あるし、軽く飲むけど美月はどうする? 好きそうなのあったから買ってあるけど」

「うーん……甘いやつなら飲む」


少し悩んで、スマホを開いておそらく明日のスケジュールの確認をして、問題ないと思ったのか飲むって返事が帰ってきた。


「苺か桃どっちがいい?」

「桃かな」


待ってて、とお酒を作りにキッチンへ向かう。

私もたまにはビール以外も飲もうかな、とオレンジジュースで割って2つ同じものを持っていく。


「はい、ファジーネーブル。ジュース多めにしたけどお酒入ってるからね」

「ありがと。あ、美味しいー」


気に入ったのか、ニコニコしながら飲んでいる姿が可愛い。

私はラグに座ってドラマを見ていて、美月はソファでスマホゲームをしていたけれど、飲み足りなかったのか追加を作りに行った。


「陽葵ちゃんのも作ってきたから置いておくよ」

「お、ありがと。今のやつ飲み終わったら貰う」


ドラマが終わって、美月が作ってくれたのを飲んでみると、明らかにさっきのよりもリキュールが多い。え、分量おかしくない?


「ねえ、これ……」


振り返ると、ソファに横になって寝ている美月の姿があった。あー、寝ちゃったか……

ここで寝たら風邪ひくし、可哀想だけど起きてもらおう。


「美月、大丈夫? 起きて」


それじゃなくても寝起きが悪いのに、そう簡単に起きるわけないよね。失敗したなぁ……ちゃんと確認しておけばよかった。


「んー? ひまりちゃん? なにー?」


何度か声をかけていると、やっと目を開けたけれど、少し酔っているのかふわふわしている。


「寝るならベッド行こ。気持ち悪いとか頭痛いとかない?」

「へーき。おやすみ」


そう言ってまた目を閉じるけれど、無防備すぎる。私がいない時とか迎えに行けない時には外で飲まないようにしてもらっているけれど、これからも継続だな……


「駄目だって。ほら、水飲んで」

「いらない」


持ってきておいた水を持たせて飲ませようとするけれど、全然飲んでくれない。


「んっ?!」


起きない美月が悪いよね、と口移しで何度か水を飲ませると、完全に目が覚めたのか軽く睨まれた。飲みきれなかった水が零れて、手で拭う姿がいい感じにえろい。


「何するの?!」

「美月が起きないからでしょ? 目覚めた?」


起きなかった自覚はあるのか、気まずそうに目を逸らされた。


「うん、覚めた。ごめん……」


はい、素直で可愛い。チラ、って上目遣いでみてくるとか誘ってる? 気分も悪くないみたいだし、襲ってもいいかな? いいよね?


「っ?! えーっと……歯磨きしてくるね? 陽葵ちゃん、どいて??」


私の目の色が変わったことに気づいてか、のしかかっている私をどかそうとするけれど、全然力が入ってない。

予定とは違ったけれど、無防備な美月が悪いってことで、ルームウェアに手をかけた。


*****

陽葵ちゃんが作ってくれたお酒が美味しくて、自分でも作ってみたけれど分量を間違えたのか濃い。

飲めないほどではないからそのまま飲んでいたら眠くなってきた。


まだドラマの途中だし、少し横になろうかな、と思ったら寝ちゃったみたい。

陽葵ちゃんの声に目を開けると、心配そうに体調を聞いてくれた。気分は悪くないけれどふわふわする。

もう少し寝ようと目を閉じたら、また起こされて水を渡された。そんなことより眠い……


水を取り上げられて、寝かせてくれるのかなって思ったら唇が重ねられて水が入ってきた。しかも何回も……


「何するの?!」

「美月が起きないからでしょ? 目覚めた?」


飲みきれず零れた水を拭って思わず睨んでしまうと、冷静に諭された。完全に私が悪いです……ごめんなさい。


「うん、覚めた。ごめん……」


気まずくて目を逸らしていたけれど、怒ってるかな、とチラ見してみたら悪い顔をした陽葵ちゃんと目が合った。待って、色気がやばいです……


のしかかられているし、もしかしてこのままここで?

力が入らないし、お酒のせいなのか身体が熱い。


「っ?! えーっと……歯磨きしてくるね? 陽葵ちゃん、どいて??」


とりあえず退いてくれるようにお願いしたけれど、ニヤリと笑ってルームウェアに手がかけられた。こんな時に限って防御力が低い……!!



陽葵ちゃんが満足するまで攻められて、ぐったりする私をご機嫌で膝枕してくれている。頭を撫でてくれる手が気持ちいい。


「美月、私がいないところでお酒飲まないでね?」

「分かってる。陽葵ちゃんも飲みすぎちゃダメだよ?」


私は飲まなくても平気だし、弱いのも分かっているからいいけど、陽葵ちゃんの方が心配。潰れるような飲み方はしないだろうけれど飲まされちゃうかもしれないし……


「うん。ちゃんと気をつける」


そういえば、陽葵ちゃんが酔っているところって見たことない気がする……酔うとどうなるんだろう? 今度は私は飲まないで陽葵ちゃんを酔わせてみたいな。


楽しみでニヤニヤしてしまったら心配されてしまったけれど、本当のことなんて言えないから誤魔化しておいた。

次は陽葵ちゃんの番だから覚悟しておいてよね!!

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黒狼と銀狼
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