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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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16/99

16.お知らせ配信

この前陽葵ちゃんと撮影をした雑誌の発売日が決まった。撮影の後に少し見せてもらったけれど、あの写真が実際にたくさんの人の目に触れると思うと物凄く恥ずかしい。


『雑誌の発売日決まったって聞いた?』


ちょうど収録が終わって楽屋にいる時に陽葵ちゃんからメッセージが入った。陽葵ちゃんも聞いたみたいで連絡をくれたみたい。忙しいのにマメだよね。


『聞いた! 2週間後には発売になると思うと恥ずかしい……』


返事を送ると、電話がかかってきた。メンバーがいるし、外行こ。


「美月、電話って陽葵から?」


外に出ようとしたら凛花さんに呼び止められた。


「……そうです」

「わざわざ外行かなくてもここで話したら?」


凛花さん、絶対面白がってる。にやけてるの隠せてないですよ……

仕方ない、ここで出るか。


「もしもし?」

『おつかれー』

「お疲れ様です」

『あれ、周りに誰かいる?』

「今収録終わりの楽屋で」

『楽屋で電話取るなんて珍しいね?』

「凛花さんに見つかって……」


チラ、と凛花さんを見るとニヤニヤしながらこっちを見てきている。もう隠すのやめたんですね……


『あ、そういうこと』

「今日はどうしたんです?」

『予定より早く帰れそうだから、美月が良ければ22時くらいから一緒にお知らせの生配信しないかなって。今日は終わりだったよね?』

「この後は帰るだけなので大丈夫です」

『お、良かった。それなら先にうち行っててくれる?』


陽葵ちゃんが帰ってくるまで時間がありそうだし、買い物して何か作ろう。予定外に会えることになって、分かりやすいくらいにやけているかもしれない。


「分かりました。何か食べたいものありますか?」

『え、作ってくれるの? 作ってくれるならなんでも! ……って言ったら困る?』


え、可愛いんですけど……!!


「困りませんよ。残りのお仕事頑張ってくださいね」

『ありがと!! 会えるのを楽しみに頑張るわ』


電話を切ると、ガヤガヤしていた楽屋は妙に静かで、至る所から視線を感じる。誰とも目を合わせずに帰ろう。そうしよう。


「じゃ、おつかれさまでしたー」

「なにしれっと帰ろうとしてるの?!」


リュックを取ろうとしたら、先に柚葉に確保されてしまった。


「柚、リュック返してー」

「だめー! 陽葵さんのお家に行くの?」

「うん。雑誌の発売が決まったから、お知らせの生配信しようって」


そう言うと、みんな内容が気になっていたのか一気に賑やかになった。


「うわ、絶対見なきゃ! 何時から?」

「一応、22時予定」


そう言うと、ちょうどスマホの通知が鳴った。


工藤 陽葵

今日22時から美月と生配信をします。

お知らせがあるので、お時間がある方は是非見てください。


「食べたいもの聞いてたけど、夜ご飯何作るの?」

「任せられたから、買い物して決める。リュック返してー」


この後の仕事がないメンバーはみんな見ると言ってくれたけれど沢山のメンバーに見守られてるとかやだな……

皆でわいわい盛り上がっていて帰る気配がないので、柚葉からリュックを受け取り楽屋を出る。


買い物をして陽葵ちゃんの家に着くと予想通り私の方が早かった。ご飯を作り始める前に、陽葵ちゃんの投稿を借りて私も生配信のお知らせを投稿しておこう。


もうそろそろ出来上がりという所で玄関が開く音がした。


「みつきたーん! ただいまー! カレー? いい匂い」


ぱたぱた駆け寄ってきた陽葵ちゃんが抱きついてくるのを受け止めて、ぎゅっと抱きしめ返す。甘えたい時にはみつきたんって呼んでくるから、ちゃんと甘やかしてあげるんだ。


「おかえり。うん。今日はカレーです。もう出来るから手洗ってきちゃって」


はーい! って返事をして手を洗いに行った陽葵ちゃんが可愛すぎる。そういえば、私といる時にしか見られない、甘えたな陽葵ちゃんが配信で見れるのが楽しみってコメントが来ていたな。


テーブルにカレーとサラダを並べると陽葵ちゃんが戻ってきて、2人並んで座る。配信まで1時間くらいはあるから、ゆっくりしても大丈夫そう。

ご飯を食べ終わって、お皿を洗い終えて時計を見ると配信まであと20分くらいある。この前買ったピアス、渡そうかな……でも陽葵ちゃんお揃いとか嫌じゃないかな?

嫌そうだったら自分で2つ使えばいいか、とリュックからピアスを取り出す。


「お、ピアス買ったの?」

「うん。里香ちゃんと未央ちゃんとの収録の時に気に入って。陽葵ちゃんにも似合うかなって……良かったら片方貰ってくれる?」

「え? お揃い?! 嬉しい。今付けよ」


早速付けてくれて、どう? って見せてくれる陽葵ちゃんが嬉しそうにしてくれてほっとした。


「うん。やっぱりよく似合ってる」

「あれ、美月は付けないの?」


付けたい気持ちはあるけど、並んで映る時に同じピアスだと目立つよね。別々の日に付けてたとしても、ファンの方はよく見ていて、お揃いじゃないかってネットに載ったりするけれど……


「配信でお揃い付けてたら目立つかなって」

「私は髪下ろしてたら見えないし友達同士とかでもお揃いはするから、一緒につけよ?」


一緒につけよ、ってかわっ……!! これは拒否できない。私がピアスを付け替える様子をニコニコしながら見ていて、付け終わるとお互いのピアスが映るように写真を撮った。

私が左耳で、陽葵ちゃんが右耳。何枚か撮った中に私の右頬に陽葵ちゃんがキスをしている写真もある。


「ありがとう。大事にするね」

「こんなに喜んでもらえると思わなかった。私こそありがとう」


迷惑かなって思ったりもしたけど、渡してよかった。


「美月がお揃いにしたいって思ってくれたことがまず嬉しい」

「かわっ……!!」


もう可愛すぎる。また今度お揃いの物をプレゼントしよう。


「そろそろ配信の準備しよっか。テーブルにスタンド置いてラグの上に座るでいいかな?」

「うん。そうしよ。緊張してきた……」


冷蔵庫からラベルを剥がしたお茶を持ってきて近くに置いておく。特に必要なものはないよね?


「1分前ー!これってここ押したらもう始まるの?」

「うん。タイムラグはあるけどすぐ始まるよ」


2人だけでの生配信はこれが初めてになるから、緊張するけどどんな感じになるか楽しみでもある。


陽葵「もう始まってる? タイムラグあるって言ってたからまだかな?」

美月「もうちょっとかも? あ、でもコメント来てるから始まってそう」

陽葵「こんばんはー見えてますか?」


コメント

:こんばんは

:始まった!

:こんばんは

:××さん他○人が参加しました

:可愛いー!

:何時まで配信しますか?

:こんばんは

:お知らせって何ー?

:2人とも顔面強すぎ

:見えてる

:見えてます


陽葵「早速コメントありがとうございます。工藤 陽葵と」

美月「山内 美月です。こんばんはー」

陽葵「今日はお知らせがあるんですが、もう最初に言っちゃっていいかな?」


コメント

:お知らせ気になる

:いいお知らせですよね?

:陽葵ちゃんスマホケース付けた?

:2人の配信って実質これが初めて?

:こんばんは


美月「あ、陽葵ちゃんスマホケース付けた? ってコメントが」

陽葵「付けてない。あれ、この前買ってどうしたかな……ちょっと画面から消えますね」

美月「陽葵ちゃんファンの皆さんすみません、少しの間私で我慢してください」


コメント

:スマホケース……前回の事故か

:むしろ裏側見せてくれていいんですよ

:ちゃんと買ってる陽葵ちゃん偉い

:美月ちゃん髪型似合ってる

:こんばんは。今来たけど陽葵ちゃんは?

:あれ、陽葵ちゃん居ない


美月「髪型似合ってる、ありがとうございます! 今来た方は状況分からないですよね。今陽葵ちゃんスマホケース取りに行ってて」

陽葵「みつきー、見つからないー」

美月「え、そこの引き出しに入れてなかった?」

陽葵「だよね? ないーどこー?」

美月「あ。1回開けてあっちの台の上に置いてたっけ?」

陽葵「ほんとだ、あった!」


コメント

:始まってすぐから可愛すぎる

:そこ、あっちで伝わる夫婦感

:甘えたな陽葵ちゃん可愛すぎ

:陽葵ちゃんの彼女感


陽葵「お待たせしました、ちょっとケース付けちゃいますね」

美月「やろうか?」

陽葵「大丈夫。……出来た! これでバッチリ」


コメント

:ケースつけてるだけなのに可愛い

:美月ちゃんの彼氏感

:さり気ない気遣い、イケメンか

:ドヤ顔の陽葵ちゃん可愛い


陽葵「さて、では本題を。この前美月と雑誌の撮影をしてきたのですが、発売日が決まりました!」

美月「2人で雑誌に掲載してもらうのは今回が初めてです」


コメント

:おめでとう! 絶対買う

:買う!

:欲しい!

:楽しみ

:いつ発売?

:おめでとう!!


陽葵「買う、楽しみ、ありがとうございます!」

美月「ありがとうございます!」

陽葵「再来週発売なので是非手に取って頂けたら嬉しいです」

美月「配信後にもお知らせ載せますね」

陽葵「しかも表紙までさせて頂いてます」

美月「ありがとうございますっ!」


コメント

:再来週楽しみ

:表紙おめでとう

:予約する

:どんな感じの撮影でしたか?

:イチャイチャしてきたんですね


陽葵「どんな感じ……美月に押し倒されました」

美月「ちょ?! 言い方……!」


コメント

:押し倒す……?!

:え、

:これは買うしか

:!?

:決定的証拠?!

:ちなみにそれはどこで……?

:ベッドシーンってことですか


陽葵「場所は見てからのお楽しみということで。ちなみにカップル設定で撮影してきてます。インタビューで裏話とか色々話してきたのでそちらも楽しみにしてくださいね。今日はこれをお伝えしたくて生配信をさせてもらいました」


コメント

:設定いる?

:もうカップル

:設定ってなんだっけ

:もはや公認

:美月ちゃん喋らなくなった

:設定にしなくても漂うガチ感

:裏話……

:美月ちゃんの声聞きたい


陽葵「美月、喋らなくなったって」

美月「や、ちょっと動揺が」

陽葵「配信前からもずっと緊張してたもんねー?」

美月「……ニヤニヤするのやめてもらってもいいですか」


ねー? と言いながら頬をつつかれて緊張してたことをバラされた。陽葵ちゃんと生配信なんて緊張するに決まってるじゃん……陽葵ちゃんは余裕過ぎてちょっと悔しい。

緊張しすぎてコメントをそのまま読んで陽葵ちゃん呼びしちゃうし、もう生配信無理……


コメント

:イチャついてる

:ラブラブですねー

:視聴数凄い

:二人の関係は?

:何時まで?

:陽葵ちゃん美人すぎる

:美月ちゃんピアス似合う


陽葵「今日の本題は終わっちゃいましたが……」

美月「終わっちゃいましたね」

陽葵「何時まで? うーん、長くて23時くらい?」


コメント

:歌ってー

:スクショタイムしてー

:お互いの好きなところは?

:夜ご飯何食べた?

:今日は泊まり?


陽葵「夜ご飯何食べた? 夜ご飯はカレーとサラダ食べましたよ。私の方が帰りが遅かったので美月が作っておいてくれました」


コメント

:彼女じゃん

:手料理羨ましい

:今どこから配信してる?

:合鍵か

:この前はお風呂一緒に入ったの?


美月「げほっ」

陽葵「え、何、大丈夫?」


ちょうどお茶を飲んだ時にお風呂のコメントを見てしまって思いっきりむせてしまった。


陽葵「何見たの?」


これ、と私のスマホでコメントを見せると、納得したように頷いた。


コメント

:めっちゃむせてる

:何飲んでるのー?

:どのコメント?

:背中さすってあげてる


陽葵「何飲んでるのー? だって」

美月「お茶です」


ラベルを剥がしたお茶を見せると、陽葵ちゃんが手を出してきたので渡した。


陽葵「うん。お茶だね」

美月「いや、だからお茶ですって」

陽葵「お茶なんてあったっけ」

美月「え、普通に冷蔵庫にありましたけど」


コメント

:間接キス

:飲みかけ……

:冷蔵庫の中身把握してない陽葵ちゃん

:2人とも可愛すぎ


美月「冷蔵庫の中身把握してないって言われてますよ」

陽葵「え、むしろ皆さん冷蔵庫の中身把握されてます?」


コメント

:してないかも

:してる

:してない

:あると思ってたものがなかったりする

:気づいたら賞味期限切れてる


陽葵「ほら! 結構皆さん把握されてないということですよ」


ね、ってドヤ顔しちゃって可愛い。つい微笑ましげに見ちゃう。


コメント

:ドヤ顔

:ムキになる陽葵ちゃん

:美月ちゃんの視線が優しい

:見つめあっちゃって可愛い

:この間のソロコン最高でした


美月「ソロコン最高でしたって」

陽葵「ありがとうございますー!!」


コメント

:ライブビューイングのMCで言ってたドッキリ見ましたよ

:配信で見ました

:次も楽しみにしてます

:会員登録しました


陽葵「MCで何言ってたの?」

美月「美南ちゃんと望実ちゃんが見逃し配信の宣伝してて」

陽葵「ちゃっかりしてる」

美月「登録ありがとうございます」

陽葵「今メンバー見てくれてるんだっけ?」

美月「何人かは見てくれてると思いますよ。いますかー?」


コメント

田崎 凛花

:イチャイチャしすぎ

木村 美南

:もちろん見てます!! もうラブラブすぎですよありがとうございます

石川 望実

:会員登録ありがとうございます

:コメントからも伝わる美南ちゃんのテンション

井上 柚葉

:夜ご飯カレーにしたんだね!

佐藤 里香

:美月さーん!

小野 未央

:こんばんはー

:コメントがメンバーだらけ

:コメントに個性が出てる


陽葵「おお……みんな見てくれてありがとうー」

美月「ありがとうございます!」


雑談をしていたらいい時間になってきたから、そろそろ終わりかな。


陽葵「今何時?」

美月「今は22時56分ですね」

陽葵「あと4分ー」


コメント

:早い

:もう終わり?

:終わらないでー!

:最後にスクショタイム欲しい

:次回配信は?

:ほんとに終わり?


陽葵「次回配信ですか? 何か話題があったらまたやりますね」

美月「その時はまた見に来てください」

陽葵「では、そろそろ23時になるので終わりにしようと思います。見ていただいてありがとうございました」

美月「ありがとうございました。おやすみなさーい」

陽葵「おやすみなさい」


2人で手を振って配信を切る。配信が切れたことを確認して思わずため息が漏れた。無事に終わってよかった。SNSを更新して、お風呂に入ったらもう日付変わっちゃうな……明日も早いし、早く更新しちゃわないと。

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黒狼と銀狼
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