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アイドルの恋愛事情~アイドルカップルの日常~  作者:
本編

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15/99

15.攻守逆転?

最近美月を見上げることが多いね、なんて笑ってみたけれど、見つめてくる美月の視線が熱くて、本当は余裕なんてない。

年上の意地というか、どちらかと言えば私が攻めたいし、リードしたい。


この前といい、今日といい美月に主導権を握られることが増えてきた気がする。付き合いたての頃はそういう知識もあんまり無くて戸惑ってばかりだったのに。

私は知識だけはあったから自然と攻めになったし、何より感じている美月を見るだけで充足感がある。触れられるのは嫌じゃないし嬉しいけれど、何だか落ち着かない。


いきなり深くキスをされ息が上がる。美月を見ると、優しい目で私を見ていて、反応を注意深く観察されているようでドキドキする。抵抗するつもりなんてないし、嫌じゃないって伝わってるかな?

今度はゆっくり唇が重ねられて、首筋や胸元にもキスが降ってきた。今回もキスマーク付けられるのかなって思ったら、美月も同じことを考えたみたいで、今回はつけないからって照れたように言われた。笑顔が可愛すぎるでしょ。


可愛いなんて思えたのはそこまでで、さっきの仕返しかと思うくらい啼かされた。え、いきなり成長しすぎじゃない? この前は探り探りって感じだったのに、このペースで色んなことを吸収されるとそのうち攻守逆転もあり得る……? 若さって怖い。


「美月、最近積極的だね?」

「嫌だった?」


さっきまであんなに容赦なく攻めてきたのに心配そうにするところが美月らしい。嫌ならそもそも触れさせない。


「そんなわけないでしょ。美月にならきっと何されても嬉しい」

「えっ、何されても……ぅわぁ」


何を想像したのか、美月が真っ赤になってしまった。こういう反応はまだまだ可愛い。


「何想像したの? えっち」

「っ!! 陽葵ちゃんが変な事言うからでしょ?!」


真っ赤になっちゃって可愛いー!! と抱きついてキスをしたらまた組み敷かれた。あれ? なんか目の色変わってません?


「陽葵ちゃん、もう1回できる?」


え、嘘でしょ? もしかしてスイッチ入れちゃった? 色気がやばいんですけど。もう目つきがエロい。ファンの女の子が見たら卒倒するよ?! いや、見せないけれども。


「明日も仕事だし寝た方がいいんじゃないかなー?」

「私も明日仕事って言ったけど加減してくれなかったのは誰かな?」


はい、私ですね。でも美月が可愛いのが悪いと思う。


「それは美月が可愛いから……んっ」

「黙って感じてて?」


今日の美月どうしたの?! イケメンすぎるでしょ……普段とは違うSな美月に胸の高鳴りが止まらない。


結局また抱かれて、少し寝てしまっていたみたい。頬を撫でられて、抱き寄せられる感覚に目が覚めた。

美月に包まれる安心感と、触れる素肌が気持ちよくて擦り寄ると、背中に回った手の力が強くなった。


「愛してる……ずっと傍にいさせてね。いつかちゃんと言うから」


囁かれたその言葉に、胸がいっぱいになった。顔が見たいけれど、美月は私が起きてるなんて思ってないだろうし我慢。いつかちゃんと言ってくれるのを待とう。


ツンデレでなかなか言葉はくれないけれど、いざと言う時には真っ直ぐ目を見て気持ちを伝えてくれて、沢山の愛情を示してくれる美月が愛しい。


こんなにも愛しく思える人が、同じように思ってくれるなんてこれ以上幸せなことは無い。女同士で将来結婚は出来ないけれど、ずっと一緒にいたい。満たされた気持ちのまま、もう一度目を閉じた。


翌朝、目覚ましの音で目が覚めると目の前に美月の顔があった。あどけない顔をしてぐっすり眠っている。

もう少し寝せてあげたいけれど、準備を考えるともうあまり時間が無い。


「美月、おはよう。起きてー!」

「うん。あと5分」


うんって言いながら5分って起きる気ないでしょ……


「時間なくなるよ?」

「うー、眠い。おはよー」


目を擦りながら、美月が起き上がる。裸なことを思い出したのか、布団を手繰り寄せて慌てて胸元を隠している。

散々見ているのに、明るいところで裸を晒すのは恥ずかしいらしい。投げ捨ててあった下着とシャツを渡してあげて、私は裸のままベッドから出ると美月がうわっ?! なんて声を上げるから笑ってしまった。昨日とは別人みたい。


着替えをしてキッチンに向かい、昨日の夜ご飯のお皿を洗っていると美月が追いついてきて、申し訳なさそうに謝ってくる。私がそのままでいいって言ったから気にしなくていいのに。気遣いは嬉しいけれど。


「朝ごはん何食べる? って言ってもシリアルかパンくらいしかないけど」

「んー、トーストにする。陽葵ちゃんもトーストでいい?」

「うん。ありがとう。私はコーヒー用意するね」

「やった!」


自然と分担ができて、朝の支度もスムーズに進むからすごく楽。私が入れるコーヒーが好きと言ってくれるからコーヒーを入れるのは私の担当。


「やっぱり陽葵ちゃんのコーヒーが1番美味しいー! 久しぶり!!」


嬉しそうな美月を見ているとこっちまで嬉しくなる。甘えるのは苦手なくせに、こういう事は素直に口にするんだもんずるいよね。


「一緒に住むようになったら毎日入れてあげる」

「……ありがと」


照れたように笑う美月が可愛い。一緒に住める日が待ち遠しい。


「美月は今日収録だっけ?」

「そう。里香ちゃんと未央ちゃんと街歩きしてくる」


よりによってその2人……2人とも美月に懐いていて、ガチ恋なんじゃないかって心配になる時があるんだよね。


「あんまりイケメンな対応しないでよ?」

「いつもしてないよ」


分かってたけど、無自覚だからタチが悪いんだよ……どれだけの女の子を惚れさせてきたことか。


「陽葵ちゃんどうしたの?」


よほど険しい顔になっていたのか、美月に心配されてしまった。


「みつきたん、浮気しないでね?」

「え?! ないない!! 絶対ない!!」


狙ってやっているわけじゃないと思うけれど、全力で否定されて気持ちが軽くなった。私が嫉妬してるなんて思ってもいないんだろうな。


「うん。信じてるよ」

「そういう陽葵ちゃんこそ気をつけてよね? 陽葵ちゃんを狙ってる人なんてそこら中にいるんだから」


そんなことないと思うけれど、否定すると自覚が足りないって怒られるから神妙に頷いておいた。

もうそろそろ家を出なきゃいけないから早く準備しちゃわないと。


*****


陽葵ちゃんと途中で別れて、今は移動の車内でスタッフさんから今日の流れの説明を受けている。ランチの場所は決まっているみたいだけれど、それ以外は基本的に私たちが気になった所に行っていいらしい。

それを聞いて、里香ちゃんと未央ちゃんはあれもこれも、とやりたいことを話している。高校生って若いなぁ……


「美月さん、プリクラ一緒に撮って欲しいです!!」

「プリクラ苦手なんだよなー」

「えー、そう言わずに撮りましょうよ!!」


あったらね、と軽く流したけれど、ありそうだな……


目的地に到着して、早速通りを歩く。今は少し離れたところから撮影されているから3人で遊びに来ているみたいな感覚。


「そういえば、美月さん髪切ったんですね!!」

「昨日写真見ましたけど実物の方が断然かっこいいです!!」

「ほんと? ありがとう」


2人は私がどんな髪型の時でも褒めてくれるからあんまり当てにならない気がする。なんでか分からないけれど懐いてくれているんだよね。


「あ。昨日ストーリー見ましたけど、本当に陽葵さんとお風呂入ってないんですか?」

「え?! 入ってない入ってない」

「陽葵さんと美南さんのやり取りが意味深でしたもんね」


ほら、陽葵ちゃんがふざけるからメンバーにも疑われてるじゃん……まだ若い2人に下手なことは言えないから気をつけないと。


「2人はメンバーとお風呂入れるタイプだっけ?」

「全然入れます」

「私もです」


2人とも入れるのか……泊まりの撮影とかで大浴場があるとみんなで入ったりするけれど、私は部屋のお風呂で済ませちゃうから知らなかった。

陽葵ちゃんは抵抗ないタイプだけれど、私と付き合うようになってからは時間をずらしたり、部屋で済ませるようにしてくれている。申し訳ないと思いつつメンバーにも裸を見せて欲しくないからそういう配慮が嬉しい。


「あ、ゲームセンターありました!」

「美月さん、行きましょー!」


早速あるんだ……テンションの高い2人はもう向かっていて、苦笑しつつゆっくりついて行く。

 

「どれにしますか?」


里香ちゃんに聞かれたけれど、正直全く分からないしどれでもいい。


「分からないから2人に任せるよ」


2人に委ねると、きゃあきゃあ盛り上がり始めた。


『美月さんは行かないんですか?』

「若さについていけないです。こういうの苦手で」


馴染みのスタッフさんに聞かれたので答えると、そんな感じがします、と笑われた。


「美月さーん! これにします」


呼ばれて中に入ると、早速2人が色々と選んでいて、すぐに色々とポーズの指示をされる。この指示ってみんな守ってるの?

やらないでいたら、美月さんもやってくださいって言われて渋々ポーズを取った。

そんな様子も撮影されていて、なんだか恥ずかしい。


「美月さん書きますか?」

「いや、私は大丈夫」


撮り終わって、2人が落書きをしているのを眺めていると、よくそんなに書くことがあるなって言うくらい沢山書いてくれていた。


「やばい、この美月さんイケメンすぎる」

「せっかくなら美月さんとツーショット撮りたかったねー」


ん? なんか視線を感じるような。


「美月さん、今度は1人ずつ撮ってもらってもいいですか? こんな機会もう無いかもなので!」

「え、もう一緒に遊んでくれない感じ?」


もう無いってそういう事だよね? 懐いてくれてると思っていたのにちょっと寂しい。


「え?! 遊んでくれるんですか?」

「遊ぼ遊ぼー」

「え、私とも遊んでください!」

「もちろん」


そう言うとものすごく喜んでくれて、可愛い後輩だなって微笑ましくなった。

結局それぞれともプリクラを撮って、撮ったものを半分貰う。

陽葵ちゃんとも撮ってみたいな、と思ったけどとても誘える気がしないし、2人でプリクラなんて絶対ドキドキしちゃって無理だわ……


ゲームセンターを出て少し歩くと雑貨屋さんとアクセサリーショップがあってそれぞれ気になるものを見ていると、惹かれるピアスを見つけた。普通に買い物してもいいかな? 陽葵ちゃんにも似合いそうだから片方ずつ付けてもいいかも。


「美月さん何買ったんですか?

「ピアス。2人はいいのあった?」

「ありました!」


ピアスを買って雑貨屋さんへ向かうと、2人もそれぞれ欲しいものを買っていたみたい。なんだか普通に買い物を楽しんでしまった。


そろそろ予約の時間なので、と声をかけられ、唯一決まっていた釜焼きピザのお店に案内される。


「好きなの頼んじゃっていいんですか?」


スタッフさんに確認すると、OKを貰ったので3人でメニューを覗き込む。どれも美味しそうで悩む……


「これってどれくらいの大きさなんでしょう?」

「待ってて。聞いてくるよ」


未央ちゃんがサイズで悩んでいたので店員さんに聞いてみると、Mサイズで大人1人で食べられるくらいってことだった。食べきれない分の持ち帰りもできるとか。


「Mサイズだと大人1人で食べられるくらいみたいだよ。余ったら持ち帰っていいって」

「ありがとうございます!!」


3人分の注文を終えて2人に向き直る。ちなみに、席は里香ちゃんと未央ちゃんが並んで座って、正面に私が座っている。

雑談をしていたらすぐにピザが運ばれてきた。


「うわ、美味しそう!! 2人とも写真撮るからお皿持って? うん、可愛い。後で送るね」


可愛く撮れた、と満足していたら2人から一緒にと言われたからスタッフさんにお願いして3人の写真も撮ってもらった。

雑談しながらピザを食べて、今日の収録はここで終わりになる。ただ遊んで食べてって緩い感じだったけど大丈夫かな? 特に面白いことも起きなかったし楽しんでもらえるのかが不安……こういう収録があると、他のメンバーの方が盛り上げられたんじゃないかって毎回思っちゃう。もっと頑張ります……


このお店のピザが凄く美味しくて、陽葵ちゃんにも食べてもらいたいなって思ってしまった。気づけば陽葵ちゃんのことを考えてしまう私はどこまでも陽葵ちゃんに溺れている。

釣り合わないんじゃないかって不安になることも多いけれど、いつかは自信を持って隣に立てるようになりたいな。

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★新作もよろしくお願い致します★
黒狼と銀狼
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