84話 町の手前で
「里の方から来る場合はここは昼遅く位になるのですが、今は5刻(10時)になったかどうかですね…疲労も少ないですし、本当に凄い…」
独り言の様に言うフィリフィアに苦笑しているエスリナに、
「ちなみに、ここで西端の町までの道程の何割ほどになるのかな?」
と訊くと、
「今まででしたらここで6割方となりますので、またトンネルや橋を造られるのでしたら昼には町が見える位置まで着くのではないかと思います」
との答えだったので、
「いきなりこの軍が町に近付くと問題があるだろうから、ケイド様、お手数だが町に近くなったら先触れを出してもらえるだろうか?」
ケイドに町が無用な警戒しない様に依頼すると、
「分かりました、幸い援軍要請の時に町に一泊しましたので、町の多くの者達と面識があるのでスムーズに済むでしょう」
とライガが先触れを買って出た。
小休止が終わり、盆地から再び自然林の中を進む。
【エリア・サーチ】には大小の動物や魔物が周囲にいる事を示しているが、流石に近寄ってくる事はない。
そうして1時間近く進むと、山が行く手を遮る様に現れたのでトンネル掘削魔法を起動してトンネルを掘削し、1㎞少々でトンネルを抜ける。
300m少々のアーチ橋を造って次の山に繋げ、しばらく法面を削りながら道路を造りつつ進み、その間に次の山との間に橋脚を6本伸ばしておく。
行軍が止まらない様に橋桁を伸ばし始め、先頭が橋に進入する迄には800m余りの橋が完成していた。
そして2㎞近くになったトンネルを抜けると、領界となっている垰を抜けてジア王国へと入った。
緩やかな下りとなっていて、太陽が中天に差し掛かり木漏れ日が照らす街道をしばらく進んでいると、
《陛下、町に300ほどの不審な者達が東から接近しております。恐らく盗賊かと思われます》
空中から先行偵察しているC班の2人と繋ぎっぱなしにしている【テレパシー】で報告が入った。




