80話 熱心な理由
大休止を終え出発して1時間余り、分かれ道が指呼の間まで迫ると、はっきりと判る事があった。
ジア王国方面に続く街道を見ると路面は綺麗なものだが、サニア王国方面に続く街道を見ると随分と荒れている。
「ふむ。どうやら里を襲った魔王軍はサニア王国方面から来た様だな」
一応確認を兼ねて周りにそう告げると、エスリナ達はその様ですね、と頷きケイド王子達は、
「あの軍勢がジア王国を通って来ていたのなら途中の町など一溜りもなかったでしょうから、我々にとっては朗報ですね」
というライガの話に頷いている。
そしてジア王国方面へと向かい途中で小休止を挟み、夕刻前に精霊樹の里とジア王国の領界となっている垰の入り口に到着した。
木々で途中までしか見えないが、九十九折りの険しい坂道に入る前にある広場で今日は野営することとし、宿泊コンテナを並べる。
まだ夕食時まで多少時間があるため、分隊毎に訓練を行い時間を潰している間に私は密かにC班の2人と連絡を取りながらバイパス造成工事の手順を頭の中で組み立てていた。
手順がおよそ組み上がりまだ夕食時まで少し時間があるため、先に最初のトンネルだけでも造っておこうと思い移動しようとすると、フィリフィアが近付いて来て、
「フレデリック様、ひょっとして今からトンネルを造られますか?宜しければ直ぐ近くで観察したいのですが…」
と、上目遣いでお願いして来た。
そんな姿に普通の男なら忽ち陥落するだろうと思いながら許可を出し、始点の近くからトンネル造成魔法を起動した。
今回は時間があるのと観察のためにゆっくりとしたスピードでトンネルが掘られていき、その様子をフィリフィアが掘削中の直ぐ後ろをついて行きながら観察していた。
「しかし彼女は随分と意気込んでる様だが、いつもああなのかね?」
私がエスリナに訊くと、
「里が『社』…小さな村から大都市全てに大抵あって、怪我人や病人を治療したり孤児達を養ったりする組織なのですが…を運営している関係上、治癒魔法士が一大勢力で、
次いで精霊魔法の使い手となっているので、フィアが研究している空間や時間に干渉する魔法などの傍流の研究者は肩身の狭い思いをしていたのです。
それがフレデリック様を喚び出した魔法の元になった勇者召喚の魔法の改変を行ったのがこの様に大成功しましたので、一躍脚光を浴びて、しかもフレデリック様が私達とは系統が違う魔法を使われるものですから、参考にすれば更なる成果も出せそうというのもあると思います…もちろん、研究馬鹿というのもありますが」
と、最後は苦笑しながら説明してくれた。




