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75話 夕食

万が一にもないと思うが、一応出陣部隊の幹部達を士官用部屋の空きがある宿泊コンテナに分散させ、部屋決めも終わった者達に昼に続いて再び出した小型コンテナから夕食に使うモノを取り出して貰う。


今回のコンテナは冷凍庫となっており、物珍しげに入った夕食担当の者達は唇を青くし、小刻みに震えながら出てきた。

そんな様子にある者は笑われ、またある者は揶揄(からか)われたりしながらも行軍時の定番である鍋の準備をしていく。


付属の魔晶石に魔力を込めてスイッチを入れると熱を発する魔道具(光翼連邦製)の上に鍋を置き、鍋の中に私の説明通りに冷凍コンテナから取り出した肉や魚の鍋の具材をスープごと冷凍させたモノをそのまま入れた。

加熱と共に冷凍されたスープが溶けていき、5分ほどすると温められたスープから良い香りが漂ってくる。


更にしばらくすると具材も全て解凍されて火も通り、食べることが出来る様になった。

予め各自準備が出来次第食べ始める様に通達してあるので、それぞれ思い思いに具材を玉杓子で自分の(わん)へとよそった。

あちこちから満足げな声が上がり、食べながらの雑談にも花が咲いていく。


「同じ鍋でも行軍中出るのは普通は粥なのだが…差が凄いなあ…」

私やエスリナ達と鍋を囲みながら、感嘆する様にケイド王子は言った。

「我が国では、前の戦争辺りから具材を大体食べ終わったら、米や(あわ)を入れて粥を作って食べているぞ」

と私がケイド達に言うと、

「そんな贅沢な鍋は貴族でもなかなか食べれませんね」

苦笑いしながらライガが応えた。


鍋を食べ終わって片付けた後、分隊毎に宿泊コンテナに入り今日の出陣部隊の日程は全て終了した。

夜も更けた頃、先行偵察に向かわせたC班の者から《通信球》で報告を受ける。

それによると、攻城軍は人間族およそ4万5千、魔王軍およそ5万、ゴブリンが2万7千余りで第一城壁は陥落していて第ニ城壁の攻防が行われているとの事だ。


私は到着早々の報告を(ねぎら)い、見つからない様に慎重に探る様に告げ通信を終えた。

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