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72話 昼食

時節柄往来の全くない街道となっているが、一応街道を塞がない様に停留場を造り、その外に一定間隔で小型の3メートルコンテナを配置した。


各小隊にコンテナを開けてもらい、中から食糧…缶詰を取り出してもらう。

《テレパシー》で開け方を説明(と言ってもプルタブを引っ張るだけだが)し、5人分が入っている大きめの缶詰3種類を開けてもらい、コンテナに一緒に入っていたトレーに中身を配り始めた。


「先ずは一番大きな缶詰に入っているのは、見た目の通りでパンだ。

次に、魚は一角鮪(いっかくまぐろ)という中型魚の身で、肉はフレイムリザードという我が国で一般的に食べられている肉になっている。

全て火が通っているから、そのまま食べられるぞ」

エスリナやケイド王子達にも《テレパシー》と平行して口頭で説明していると、10分ほどで配食が完了した。


そして皆食べ始めると、「保存食なのにパンが柔らかくて結構美味い…」「肉も魚も、味付けはシンプルだけど素材の味を引き立てていて美味しいわ」などの感想が聞こえた。


「ううむ、行軍中の昼食など我が軍では特に支給しておらぬが、支給出来れば士気なども上がるだろう…だが、用意するのにも時間がかかると……」

毒見もさせずに昼食を食べながら独り言の様に言うケイドに、苦笑しながら食事の続きを促すライガ。


「さすがに缶詰を用意するのはまだ難しかろうが、パンなら軽いから工夫次第で携帯出来るのではないか?」

思案に気を取られ、なかなか食の進まない様子のケイドに一応アドバイスを送る。


「なるほど!今まで行軍食と言えば(あわ)としか考えてなかったので、帰ったら研究させましょう!」

一応思考に区切りがついた様で、ケイドは本格的に食事を再開した。


「私達も野外で昼食と言っても、木の実や携帯食を摂る程度なのでとても新鮮ですね」

そんな様子を見ていたエスリナが微笑んで言う。

「我が国の兵は強力だが、その分食べる量が多い者が多いから、行軍中の食糧事情がそのまま士気に直結するし、嫌ならさっさと脱走することも昔はしばしばあったからな(今はそれ以上に戦いが大好物の者も多いけど…)。

夕食も期待していてくれ」


「ええ、それはもう楽しみです!」

ケイドの大声での返答に笑いが起こり、和やかな時間が流れていった。

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