60話 どこまでOK?
乾杯と共に宴が始まると、この3日間限られたメンバーとしか顔を合わせていなかったため、里の有力者達が続々と挨拶に来てその応対に追われる事となり、下手な戦闘より疲労感を覚える。
(うーん、この分体は戦闘用にステータスを割り振ったから、普通より疲れる気がするね…)
などと心の中でボヤきながら応対を続けていると、ようやく人の波が途切れた。
グラスを軽く傾けて喉を潤し、幾つか料理を摘んで密かに一息つく。
その頃合いを見計らってスーリオンが近づいて来て、
「フレデリック様、ご苦労をおかけして申し訳ありません。
彼らがどうしても挨拶がしたいと言うのを戦を理由に抑えておりましたし、明後日から出陣なさるので今日がチャンスとばかりに一斉に押し寄せてしまいました」
と、申し訳なさそうな顔をして言った。
「なに、他国を訪問した時は多かれ少なかれこうして挨拶を受けるのだから慣れているよ」
内心を噯気にも出さず、涼しい顔をして応え、
「この場で訊くのは少々場違いだが、明後日行軍する時に道路を整備しながら進んでも良いかな?」
「それはこちらとしては有り難い事ですが…何故わざわざお聞きになられるので?」
「行軍の便を良くする為に、馬車3台は並んで走れる道路や、山や渓谷を迂回する様な場所ではトンネルや橋を掛けて、出来るだけ最短距離で進むつもりだからな。
ただそうすると、仮に敵軍が攻めて来る場合でも、スムーズにここまで来れてしまうという事になる。
なので国や領によっては、わざと境付近の道を整備しなかったりする場合もある。
なので、訊いておかねばならぬ」
と説明すると、スーリオンは驚きながら、
「道路は想像出来ましたが、トンネルや橋までとは…いや、今更ですな。
そうですな、この里の領域までは自由に造られて大丈夫ですぞ。魔王軍は里の歴史の中でもあくまで例外ですからな。
交通の便が良くなった方が、我等が里にとってもメリットが大きいので是非よろしくお願いします」
最後はにこにこしながら許可を出した。
「そうか。ではジア王国との境界までは最短で行けるとして…ケイド王子にも今、話しておこうか」
私は少し離れた所にいるケイド王子達に近寄って、同じ話をしてどの程度まで許可出来そうか考えてもらう事にした。




